本書「HelloVFX」は、刊行時の安定版であるDaVinci Resolve19を使用してスクリーンショットを作成しています。
この記事では、新しく公開されたDaVinci Resolve20を使う場合の変更点をご紹介します。
全体の変更点はBlackmagic公式サイトをご確認ください。
変更ページ 全章共通
メディアプールやプロジェクト設定で選択できる[ACES入力トランスフォーム]のリストが、DaVinci Resolve20で見直され分類や名称が変わっています。
変更点① ACES入力トランスフォームの移動
[ ACES入力トランスフォーム→ColorSpaceConversion] フォルダ内
[ACEScc], [ACEScct], [ACEScg], [ADX10], [ADX16]
▼
[ ACES入力トランスフォーム→ACES]フォルダ内
[ACEScc], [ACEScct], [ACEScg], [ADX10], [ADX16]
変更点② ACES入力トランスフォームの移動
[ ACES入力トランスフォーム→ColorSpaceConversion] フォルダ内
[sRGB (Texture) -CSC], [sRGB (Linear) -CSC]
▼
[ ACES入力トランスフォーム→Utilities] フォルダ内
[sRGB (Texture) -CSC], [sRGB (Linear) -CSC]
変更点③ ACES入力トランスフォームの移動&名称の変更
[ ACES入力トランスフォーム→Inverse Display] フォルダ内
[Rec.709]
▼
[ ACES入力トランスフォーム→Inverse Display→D65] フォルダ内
[Inverse Rec.709 BT.1886]
変更ページ 全章共通
プロジェクト設定で選択できる[ACES出力トランスフォーム]のカラースペースの名称が、DaVinci Resolve20で見直され変わっています。
変更点④ ACES出力トランスフォームの名称の変更
[プロジェクト設定→カラーマネジメント→ACES出力トランスフォーム]
[Rec.709]
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[プロジェクト設定→カラーマネジメント→ACES出力トランスフォーム]
[Rec.709 BT.1886]
変更ページ 全章共通
このあとご紹介するマルチレイヤーのサポートの影響で、シングルビューワーアイコンがデフォルトだと隠れてしまっている場合があります。
本書ではシングルビューワーにする方法を記載していますが、DaVinci Resolve20だと、デフォルト状態だとシングルビューワーアイコンが見当たらない場合があります。
その時は、ビューワー中央の分割線をドラッグして左にずらすことで、隠れていたシングルビューワーアイコンが表示されます。
変更ページ p.152
Cryptomatteが、有償版のDaVinci Resolve Studio20で公式機能としてサポートされました。
本書で紹介しているサードパーティ製プラグインのPsyopCryptomatteは引き続き無償版・有償版ともに利用可能ですが、公式でサポートされたCryptomatteはより使いやすいものになっています。
FusionにCryptomatte(Crypto)ノードが追加されました。
基本的な使い方は本書で紹介しているPsyopCryptomatteと同じですが、ビューワーLUTをオフにしなくて良い点や、つなぐだけでCryptoを認識する点など、細かいところで使いやすくなっています。
マットを選択→ +マークの付いたスポイトアイコンをクリックしてから、マスクしたい箇所をビューワー上でクリックして選択します。
Output to Alphaにチェックを入れることで、アルファチャンネルに結果が出力されます。
変更ページ 5章
5章で扱っているマルチレイヤーEXR機能が、有償版のDaVinci Resolve20で強化されました。
ビューワーのタブから表示するレイヤーを選択できるようになったほか、追加されたノードでより簡単かつ便利にマルチレイヤーを扱えるようになりしました。
本書 5章 p.252~では、レイヤーごとにノードを複製して(もしくはツールで自動で作成して)配置していました。
DaVinci Resolve Studio 20では、Swizzlerノードを使用して、一つのメディア入力ノードから、レイヤーをスイッチ分岐させて処理できるようになりました。
これにより、以前は画像を差し替えるときすべてのレイヤーのノードを作り直す必要がありましたが、今回からは同じレイヤー名で画像が保存されていれば、根本の一つのメディア入力ノードを差し替えるだけでよくなりました。これでマルチレイヤーをより柔軟かつ便利に使うことが出来ます。
[メディア入力]ノードの[レイヤー]と同じように、Swizzlerノードではノードに接続しているメディア入力のレイヤーを[Source Layer]で選択できます。
Swizzlerノードを通ったあとは、選択したレイヤーのみが表示されます。複数レイヤーを持った画像に対して、Swizzlerノードがフィルターのように特定のレイヤーのみを抽出して下層に流すイメージです。
このSwizzlerノードは、Nukeでは「Shuffle」ノードが近い動作をします。
他にも、ColorCorrectorノードなど、ノードのインスペクタ(プロパティ)内に [設定→レイヤー→レイヤーに影響] という設定項目が増えています。
ここでレイヤーを指定することで、複数レイヤーを持った画像の一部レイヤーのみに影響を与えることもできます。