ここではDaVinci Resolveを触ったことがない人に向けに、DaVinci Resolveの基本の基本をご紹介します。
映像の編集、VFX、カラーグレーディング、オーディオ編集、エンコード(=映像の書き出し)が可能な統合型のポストプロダクションソフトです。
DaVinci Resolveを使い始めた多くの人の最初の疑問は、「プロジェクトデータ、どこに保存されてるの?」でしょう。
DaVinci Resolveは、多くのソフトで採用されている単一ファイル(.blend .psd .prproj .aep など…)によるプロジェクト管理ではなく、データベースと呼ばれる場所に一箇所に集めて保存する方法を採っています。
とはいえ、ファイルブラウザ等からデータベースのプロジェクトデータを見たり、編集することは推奨されていません。代わりに、DaVinci Resolveはソフトウェア内でプロジェクトを扱います。また、以下の方法でプロジェクトを別のDaVinci Resolveに持っていくことができます。
起動時・もしくは[ファイル→プロジェクトマネージャー]でアクセスできるプロジェクトマネージャーで、プロジェクトを右クリックします。
▶[Export Project]… 編集データ(.drp)のみを書き出す。軽いデータになるが、映像などのメディアは再リンクする必要がある。
▶[プロジェクトアーカイブの書き出し]… 編集データと、使用しているメディアをすべて一箇所にまとめて(.drp)書き出す。映像などのメディアも含むため、確実にプロジェクトを他の環境でも開けるが、重くなる。
【1】DaVinciでプロジェクトを開くと、画面下部に機能ごとに分かれた[ページ]のアイコンが表示されます。これは、ポストプロダクションの工程順に並んでいます。
【2】[メディア]ページは、映像やCGのメディアを整理するためのページです。このあとSTEP2で解説するメディアプールにデータを移動し、このプロジェクト用に整理していきます。
【3】[カット]ページは、映像をすばやく編集するためのページです。効率化のために機能が絞られており、すばやく編集することに特化した作りになっています。
【4】[エディット]ページは、映像を編集するためのページです。[カット]ページより機能が豊富で、操作も一般的な編集ソフトと似た作りになっています。
【5】[Fusion]ページは、モーショングラフィックスやVFXなどの加工をするためのページです。本書でよく使います。
【6】[カラー]ページは、カラーグレーディングを行うためのページです。グレーディングについては、6章で解説しています。
【7】[Fairlight]ページは、音の処理を行うためのページです。ミックス、パンやリバーブ、EQなど、あらゆるエフェクトや機能が備わっています。
【8】[デリバー]ページは、映像の書き出しを行うためのページです。DaVinci Resolveで編集した映像を、PCやネット等で再生できる形式に書き出すことができます。
DaVinci Resolveには、メディアプールという機能があります。これは「プロジェクト用の映像の置き場」です。HDDやSSDのストレージ上にある、あらゆる素材を一箇所にまとめて表示することで、作業をしやすくします。
【1】メディアストレージやPCのファイルブラウザから、ドラッグ&ドロップでメディアプールに映像を配置できます。
【2】メディアプール上で右クリックし、[新規ビン]でビン(フォルダー)を作ることが出来ます。
【3】メディアプール上で右クリックし、[新規Fusionコンポジション]で、Fusion用の空のコンポジションを作ることも出来ます。
タイムラインとは、時間軸に沿って映像を並べるための枠組みです。
【1】メディアプール上で右クリックして[新規タイムラインを作成]をクリックするか、[カットページ]や[エディットページ]のタイムラインに何かしらのメディアを配置することで、「タイムライン」が作成されます。
【2】タイムラインはこのように、横が時間軸、縦が素材リストを示しています。同じ時間に複数の素材を置くと、重なって表示されます。
タイムライン上でのFusionは特殊な仕様があるため、扱いには注意が必要です。
【1】特に何もせずFusionページに移動すると、現在タイムラインのバーがある最も上のクリップ(素材)に対してFusionエフェクトを加えることができます。
【2】ただし、ここでの編集はタイムライン上のみのもので、メディアプールには何も作られません。
【3】一方、メディアプール上で右クリックすることで[Fusionコンポジション]というものを作ることもできます。
【4】メディアプール上で作った[Fusionコンポジション]をダブルクリックすると、自動的にFusionページに移動し、空のFusionコンポジションが開かれます。
【5】このようにメディアプールで作った[Fusionコンポジション]は、タイムラインに配置しないと書き出すことはできません。
【6】このとき、タイムラインに置いた時点のFusionコンポジションがコピーされて配置される点に注意が必要です。
例えば、タイムラインに一度Fusionコンポジションを配置します。その後メディアプール上のFusionコンポジションを編集してから再びタイムラインに配置してみます。すると、別バージョンのコンポジションがタイムライン上に並びます。
【7】Fusionコンポジションをダブルクリックすると、Fusionページでコンポジションが開かれます。ただし、ここでの編集内容はタイムライン上にコピー配置したものには反映されません。
【8】コンポジションをダブルクリックせず、そのままFusionページに移動した場合は、タイムライン上のバーがあるFusionコンポジションのみが編集されます。
要するにメディアプールのFusionコンポジションとタイムライン上のFusionコンポジションはいつでも別物ってことだけど……ややこしっ!