ここではBlenderを触ったことがない人に向けに、Blenderの操作の基本の基本をご紹介します。
ここではあくまで操作のみで、具体的な3DCGの作り方については扱いません。
3DCGの作り方の概要は、書籍7章をご覧ください。
Blenderは、DCC(Digital Content Creation)ツールと呼ばれているソフトで、3DCG制作に必要な機能が一通り揃っています。
Blenderで出来ること(詳しくは書籍7章をご覧ください。)
モデリング(かたち作り)
シェーディング(質感づけ)
リギング(骨入れ)
アニメーション(動きづけ)
エフェクト(効果や物理演算など)
ライティング→レンダリング
Blenderはショートカットを覚えることで、効率よくサクサク操作できるようになります。とはいえ、いきなり無数のショートカットを覚えるのは大変なので、まずは画面のUI(ボタンやマウス)で操作し、慣れてきたらショートカットを覚えていくのがオススメです。
【1】Blenderでは、メニューや操作できるものの上にマウスをホバーすると、ショートカットが表示されます。この図の例では、Gキーを押すことで移動モードにできます。ショートカットがない場合は、表示されません。
【2】最下部にも現在使えるショートカットの一部が表示されています。
【3】ショートカットは、画面左上のメニュー[編集→プリファレンス]を開いて、[キーマップ]から変更することもできます。他のDCCツールに慣れている場合は、[キーマップ]上部のリストから業界標準に似せたプリセットにすることもできます。
[業界標準]キーマップは、チュートリアルとショートカットがズレて分かりにくくなるから、あまりオススメしないよ!
【4】メニュー等を右クリックすると、ショートカットを割り当てたり、「お気に入りツール」に登録できます。
【5】お気に入りに登録したツールは、[Q]キーからすぐにアクセスできます。
▼ 大厳選!めちゃよく使うショートカット!
【1】回転: 3Dビュー右上のギズモをドラッグすると、回転します。
ショートカット: 中ドラッグ
【2】[Nキー]もしくは3Dビュー右上端にあるアイコンをクリックして、パネルを開きます。
[ビュー→ビューのロック→カメラをビューに]をオンにすると、カメラ視点のときビュー操作をすると、カメラが視点についてきます。
【3】ズーム: 3Dビュー右側の虫眼鏡アイコンをドラッグすると、ズームイン・ズームアウトします。
ショートカット: ホイール
【4】平行移動: 3Dビュー右側の手のアイコンをドラッグすると、平行移動します。
ショートカット: Shift+中ドラッグ
【5】カメラビュー: カメラからの視点に切り替えたいときは、3Dビュー右側のカメラアイコンをクリックします。
【6】並行透視切り替え: 3Dビュー右側のマスのアイコンで、透視投影・平行透視(パースの有り無し)を切り替えられます。
ショートカット: テンキー5
【7】3Dビュー右上のギズモの、[X]をクリックするとX軸(右横)からの平行透視になります。逆側の[-X]をクリックすると、真反対からのビューになります。
ショートカット: テンキー3、Ctrl+テンキー3
【8】[Y]をクリックするとY軸(正面)からの平行透視になります。同様に、逆側の[-Y]をクリックすると、真反対からのビューになります。
ショートカット: Ctrl+テンキー1、テンキー1
【9】[Z]をクリックするとZ軸(真上)からの平行透視になります。これも同様に、逆側の[-Z]をクリックすると、真反対からのビューになります。
ショートカット: テンキー7、Ctrl+テンキー7
【1】BlenderのUIは「エリア」の組み合わせでできています。
【2】各「エリア」の中身(エディター)は左上のアイコンから切り替えることが可能で、非常に柔軟な設定が可能です。
【3】たとえば、右側のプロパティエリア左上のアイコンから、3Dビューを選ぶとこのエリアが3Dviewになります。
【4】プロパティに戻しましょう。
【5】エリアの辺をドラッグすると、エリアの割合を変えられます。
【6】エリアの四隅をドラッグすると、エリアを分割したり統合することが可能です。
【7】上にエリア配置のプリセットがあります。このプリセットも自由に変更・追加可能です。
【8】これらのレイアウトは保存した.Blendデータごとに保存されています。初期レイアウトは、[ファイル→デフォルト→起動ファイルを保存]で保存できます。
【1】3Dビューの[追加]でプリミティブモデルやカメラ、ライトを追加できます。
ショートカット:Shift+A
【2】ここで追加できるオブジェクトは「プリミティブモデル」といわれ、これらを基本にモデリングを始めていきます。
3Dビュー右上のアイコンから、3Dビューのシェーダー(レンダリング方式)を変更できます。(ショートカット:Z)
【1】4つあるシェーダーアイコンの最も左のアイコンをクリックすると、ワイヤーフレーム表示になります。もっとも軽量でシンプルな表示です。
【2】左から2つ目のアイコンをクリックすると、ソリッド表示になります。軽量ですが、マテリアルは反映されません。
【3】左から3つ目はマテリアル表示です。これにはEEVEEレンダラーが使われており、EEVEEレンダラーに切り替えた際の設定が反映されています。マテリアルは表示されますが、Cyclesのようなレイトレースレンダリングは行われません。
【4】一番右はレンダリング表示です。レンダラーをCyclesに設定シているバイは、Cyclesによるリアルタイムレンダリングが行われます。
Blenderには大きく以下のデータ構造があります。
[シーン]▶[コレクション]▶[オブジェクト]▶[メッシュデータ]
このうち[オブジェクト]を編集するのが[オブジェクトモード]、[メッシュデータ]を編集するのが[編集モード]です。「オブジェクト」と「メッシュデータ」は同じ3Dデータなので似ていますが、単体で動かせるひとかたまりのモノを「オブジェクト」、その「オブジェクト」の形状をメッシュデータとするイメージで捉えるとよいでしょう。例えばコップのCGを作るとしたら、[編集モード]でコップのメッシュを作り、[オブジェクトモード]でコップを机の上に配置したりライティングしたりします。
【1】3Dビュー左上のタブからモードを変更できます。
ショートカット:TAB(オブジェクトモードと編集モードの切り替え)
【2】編集モードのときは、左側の扱えるツールが変わり、メッシュ自体を変形できるようになります。
【3】編集モードのときは、選択モードも3Dビュー左上のアイコンから[頂点選択モード][辺選択モード][面選択モード]の3つを選べます。
【4】ほかにも、スカルプトモードというモードもあります。これは彫刻のようにメッシュを変形できるモードです。有機的なものや地形をモデリングするときに便利です。
Blenderには、各オブジェクトやプロジェクト全体に対してあらゆるプロパティ(ユーザーが変更できる要素)が存在します。例えばメッシュあればマテリアル(質感)、ライトであれば強さ、カメラであればレンズの種類や画角などです。
【1】メッシュを選択時、右のプロパティエリアに[マテリアルプロパティ]アイコンが表示されます。[マテリアルプロパティ]の[新規]をクリックするとマテリアルが追加され、オブジェクトの色や質感を調整できます。
【2】ライトを選択時、右のプロパティエリアに[ライトプロパティ]アイコンが表示されます。ライトの種類や色、強さを調整できます。
【3】カメラを選択時、右のプロパティエリアに[カメラプロパティ]アイコンが表示されます。焦点距離やセンサーサイズ、被写界深度設定などが可能です。
一眼とか実際のカメラを触って学ぶと、このカメラプロパティの意味や感覚が分かるのでオススメ!
【4】[パーティクルプロパティ]からは、パーティクルの設定が可能です。パーティクルを使うと、キラキラした粒子の表現や炎、煙などの表現が可能なほか、ヘア―でキャラクターをもふもふさせたり、髪の毛を生やすことも可能です。
【5】[物理演算プロパティ]からは、あらゆる物理演算の設定ができます。物理演算を使うことで、重力によって落下させたり、破壊、液体、布など、物理的な挙動を作ることが出来ます。
【6】常に調整できる[ワールドプロパティ]というものもあります。これは背景の色や強さ、HDRIを設定できるものです。HDRIについては3章で詳しくご紹介しています。
【7】[レンダープロパティ]からは、レンダラーの選択やレンダリング設定ができます。
レンダラーとは、3DCGのデータをディスプレイに表示するために画像にする処理のことです。これはカメラで映像を記録するのに似た工程です。
Blenderには、標準でCycles・EEVEE・Workbenchの3つのレンダラーが搭載されています。主に使うのはCycles・EEVEEです。本書ではCyclesを使います。
エリアのエディターの中に、ジオメトリノードという機能があります。
これはノードベースでプログラミングのように形状を編集する機能です。動的に形を作れるので、無数の異なるパターンを作ったり、大量にオブジェクトを配置したり、幾何学的に動くアニメーションを作ったり、独自のツールを作ったり、あらゆる使い道があります。
使い道は無限大。ジオメトリノードを制するものはBlenderを制す……かも!
エリアのエディターの中に、アセットブラウザという機能があります。
アセットライブラリは、自分で作ったオブジェクトやジオメトリノードを保存できる機能で、プロジェクトをまたいで繰り返し使うものを保存できます。
アセットブラウザに登録したアセットやツールは、3Dビューポートにドラッグ&ドロップすることで使うことが出来ます。