「歯石をとるには何回かかりますか?」
よく患者様からお聞きする言葉ですが、初対面の方にいきなり聞かれても、返答に困ります。
なぜなら、どのくらい歯石がついているのか分からないからです。
そもそも、歯石どのくらいついているのか、ということを数値化することは出来ません。
ただ、歯周病は、基本的には歯石の内部の細菌により進行する病気ですので、歯周病の進行具合を検査することで、どのくらい歯石がついているのかを推測することは出来ます。
そして進行具合を知るにはポケット探針を用いた
「歯周ポケット検査」が最も基本的な検査です。
これがポケット探針です。ポケットの深さが測定できるように目盛りが付いています。
実際にポケットに入れたところです。一見健康そうな歯肉にもポケットは存在します。
この絵の左側は歯石が付着して感染により周囲の骨などの組織が破壊されたため、ポケット探針が容易に深くまで入ります。
右側は破壊されてないため、2mm程度しか入りません。
イラストは断面図ですので、どのくらい歯石があるのか明確ですが、実際に目にするのはイラストの左側ですので、歯石は歯肉にかくれて見えません。
ポケット探針を歯と歯肉の境目(ポケット)に入れ、その深さを測定すると、どのくらいまで歯石がついているのか(=感染が進んでいるのか)、が推測できます。
感染がすすんでいる、ということを書きました。
どういうことかというと、歯の根に歯石がついている部分というのは、根の表面のセメント質と呼ばれる部分にまで細菌が侵入した状態です。
あるいは歯石の付いている部分に面した歯茎、この中にも細菌は進入し感染を起こしています(=歯茎が赤くなる)
感染を起こし、細菌が進入したセメント質や歯肉をそのままにしていては歯周病は治療できません。
ある程度進行した歯周病に対しては、セメント質あるいは歯茎の内面に対する処置が非常に重要になってきます。
つまり、はじめの「歯石をとるには何回かかりますか?」に対する答えとしては、
歯石がほとんど付いていない方は数回の治療で終了するでしょうし、たくさん付いているならば治療回数も多くなる、ということです。
歯周治療とは・・・
歯周治療とは歯周病を治すための治療ですが、その原因は
ちゃんと歯が掃除できていない
ということなので、いくら歯科医院で治療をしても、毎日のブラッシング(=歯垢の除去)ができていなければ、すぐに悪化してしまいます。
ですので、「ブラッシング指導」というのは、歯周治療において最も重要な治療の第一歩である、といえます。
そして、「歯石を除去する」という治療も、先天的、あるいは全身疾患が関与した歯周病に対しても、そのウエイトの差はあるものの、重要な治療となってきます。
ただ、治すといっても完全な治癒が期待できるのは、歯周病の非常に初期のステージだけであり、それ以外のステージでは現状の維持ができるかどうかが治療となっていきます。
それ故に、出来るだけ早い時期に検査をして、自分の口腔内の状態を知っておくことは、状態が良いにしても、悪い場合でも大切なことです。
全く健康な状態
そして歯茎を取り除くと、このようになっています。
歯茎の内部には歯を支えている骨があります。
歯周病が進行すると、下のイラストのように、細菌により歯を支える骨が溶かされ、歯がグラグラになっていきます
ただし、表面から見ても、骨が溶けていることはわかりません
表面上に見える歯石は、ごく一部でしかありません