セール・ロンダーネ山地の様々な地点から採取した土砂サンプルの細菌群集構造を、培養法と非培養法の両方で解析しています。培養法では希釈平板法を用いて、細菌を単離・同定しています。非培養法では次世代シーケンサーを用いて調査しています。これまで、ユキドリ営巣跡、地衣類生息地、ナンキョクカワノリ生息地、無生物地点などの土砂サンプルの細菌群集構造を解析してきました。南極は生物にとって極限環境ですが、環境条件ごとに群集構造が異なることがわかってきました。
南極の土砂サンプルから
単離した細菌
南極セール・ロンダーネ山地から単離した細菌の生理活性
南極セール・ロンダーネ山地の土砂サンプルから単離した細菌の生理活性を調査しています。南極の極限環境に適応した形質に着目しています。
南極土壌からの藻類の分離
共同研究者の大谷教授が南極昭和基地周辺から2000年~2008年の計9年間にわたって採集された土壌から藻類を分離し、形態的特徴から同定してきました。しかし、属レベルで同定が留まっている株が多く残されています。そこで、18S rRNA、18S-28S ITS(internal transcribed spacers)領域、rbcL(Rubisco ラージサブユニット)の塩基配列を決定して種レベルでの同定を行っている。特に、多数分離された、黄緑藻類のXanthonema属、Botrydiopsis属の遺伝学的分類を進めています。
Xanthonema属、Botrydiopsis属の遺伝学的分類
Xanthonema属の藻類は4つの系統に分かれることがわかりました。一方、Botrydiopsis属は3つの系統に分かれることがわかりました。共にこれまでに報告されているXanthonema属藻類、Botrydiopsis属藻類の遺伝子配列とは差異があり、南極独自の系統ではないかと推察されます。