アステ望遠鏡による広域探査で得られた波長1.1 mmの画像。明るい点一つ一つがサブミリ波銀河。右上の拡大図はサブミリ波銀河の想像図。
天文学における重要な課題の一つは、宇宙における銀河の形成・進化の歴史、そして星形成活動の歴史を明らかにすることです。遠方の宇宙では、塵(ダスト)に隠された星形成活動の割合が大きくなるため、ミリ波・サブミリ波といった塵による吸収を受けない波長帯での観測が重要になります。私たちは、南米チリ共和国に設置されたアステ望遠鏡を使って大規模な探査を行い、今から100億年以上前の宇宙には塵に隠された爆発的星形成銀河(サブミリ波銀河)が大量に存在することを発見しました。さらに、世界最高性能のミリ波・サブミリ波干渉計「アルマ」を駆使して、より高感度・高精細な観測を行い、遠方宇宙における星形成活動の詳細な研究を進めています。
超高光度超新星 SN 2017egm が発生した銀河の可視光画像(左)と、アルマ望遠鏡がとらえた分子ガスの分布(右)。
超高光度超新星 PTF10hgi 領域でとらえられた電波放射(左図の等高線、背景はハッブル宇宙望遠鏡による可視光画像)と、VLAによるモニター観測でとらえられた電波強度の変化(右)。
ある日突然現れたり、急激に明るさが増大して観測される「突発天体」。近年の大規模な観測によって、新たな突発天体が続々と発見されていますが、その性質はまだ多くの謎に包まれています。私たちは、電波観測を通じて、その謎に迫っています。
突発天体のうち、特に星の終末に起因する現象は、星の進化や高エネルギー現象、重力波天体の理解など、さまざまな分野との関連があり、盛んに研究が行われています。中でも、ガンマ線バースト (γ-ray burst; GRB) や、超高光度超新星 (superluminous supernova) 、高速電波バースト (fast radio burst) は、その高いエネルギーや光度、そして希少性から、大きな注目を集めています。私たちは、星の材料である分子ガスに着目し、突発天体が起きた環境について詳しく調べることで、その起源に迫っています。
長期間にわたる観測から、突発天体の明るさがどう変化するかを調べることができます。突発天体のエネルギー源や、周囲の物質の性質、そして発生メカニズムを解明するための鍵となります。