「なかったことにされた高校生の2人芝居がきっちり面白かったので自分たちでさくっとやってみる会」とは?

「なかったことにされた高校生の2人芝居がきっちり面白かったので自分たちでさくっとやってみる会」とは?

俳優の光瀬指絵(ニッポンの河川|スイッチ総研)が自身の「タメ語で話せる恩師」である劇作家・演出家の鈴江俊郎より『明日のハナコ』上演の誘いを受け実施を即決。大阪で行われた鈴江・玉村両氏のリーディング上演を観てこの芝居の「面白さ」と「存在を不当に隠されてるなあ」を確信し、俳優仲間の田中祐希(ゆうめい)と森谷ふみ(ニッポンの河川)を誘い賛同を得て結成。

「自分たち」とは「俳優」であり「完璧な答えなど持っていないが何もしないよりはまし!だよね!?とビビりながらも面白がって動いてみる人」でもある。カジュアルで敷居の低い運動があってもいいじゃない!という望みを掲げ、演劇人にもお客さまにもさくっと参加&観劇して貰えたら嬉しい会。気軽にしかし本気で面白く。メンバーは、and more!!になっていく予定あり。

参加メンバー

有吉宣人

【ひとこと】
『明日のハナコ』と、この作品をつくりあげた皆さんにまつわるお話を伺ったとき、想像が及びませんでした。「なかったこと」にされたことで、一体どんな思いをされたんでしょうか。

僕が自分にできること、したいことは、「なかったこと」にされたこの作品を伝えることです。より多くの人に。そして、特にこの作品がつくりあげられたのと同じ、高校演劇の関係者の方に。高校生の皆さんに。

そして創作を通して、自分自身もこの作品のことを知りたいです。

そのために出来ることを考えて、仲間と練って、出来うる限り行動に移していきます。


【プロフィール】
俳優、ドラマトゥルク、演劇ワークショップ進行役。1991年生まれ。
2010年、慶應義塾大学文学部入学と同時に演劇活動を始める。こまばアゴラ演劇学校・無隣館第三期修了。
主な出演作に、ままごと『あたらしい憲法のはなし』、青年団+無隣館『革命日記』、スイッチ総研の作品、世田谷パブリックシアター 子どものためのリーディング+ワークショップ公演『ホーム』など。
また、世田谷パブリックシアターなどの劇場施設、全国の学校施設と連携して演劇ワークショップを実施。演劇経験を問わない(いわゆるプロではない)人びとと、ワークショップを通して創作を重ねている。また、目黒区公立中学校演劇部の指導員としても活動している。


石倉来輝

【ひとこと】
この企画の説明を受けた時、指絵さんは赤色のワンピースを着ていて、私はそのちょい前までマトリックスを見ていて、それを理由に、まずは参加を決めました。

次に、どのようになら私は関わることができるか、を考えました。
この作品の根っこには、空想ではない、福井の礎(いしずえ)があります。
その礎ー生まれた土地の歴史を、「私が」語る、というところがこの作品の好きなところです。
積み重なっているはずの時間、そばにある原子力発電所、これまでの自然災害、その延長に立っている私という存在についてーそれを「私が」口にするのはとても勇気のいることだと思うので、おもしろいと思いました。

次に、この作品には、私が演劇をやっているという理由だけでは、越えてはいけない、越えられない問題が(私は「女子高生」ではない、というような類のそれとは、全く違うレヴェルのものとして)あるように思いました。
この作品中の「礎」を「私」として代弁できる資格をもち合わせていないように思ったんです。
つまり、この作品に記されていることは、私個人の生活にとって、まだ、フィクションだったということです。これはとても恥ずかしいことで、問題です。

それで、私は今回、この問題を私個人の生活に取り込むために、2つの方法でこの作品と対峙する、というスタンスでこの企画に参加することになりました。

1つ目の方法は、今一番近くにいる人とこの作品に取り組みます。
現在、一緒に暮らしているパートナーの大介くんに協力をお願いしたところ快く引き受けてくれました。ありがとう。
二人でこの作品を生活の営みの一部として設定し、話をしたり、考えたりしながらしばらく過ごしてみようと思います。

2つ目は、「俳優」としてこの作品に取り組みます。
俳優は越境する力を持っていると思います。とはいえ、それは乱暴に行われていいものと思いません。
この作品の「越えてはいけない、越えられない問題」と思った部分を、「俳優とは何なのか」という視点から模索してみようと思います。

発表はあくまでもそれぞれの成果発表として、位置づけできたらと思っています。

どうぞよろしくお願いします。


2022年3月29日 石倉来輝

【プロフィール】
1997年10月18日生まれ。東京都出身。
2016年、東京都立総合芸術高校 舞台表現科を卒業後、フリーランスとして俳優活動を始める。古舘寛治、岡田利規、森栄喜、本谷有希子などの作品創作に参加する傍ら、2018年より、集団創作を継続的に行うための拠点として、劇団ままごとへ加入。
近年では、映像作品や、発表の形態を問わない創作活動など、活動の範囲を拡張させながら、俳優の枠組みにとらわれない主体的な関わり方で「個人/集団のあり様と場所」について模索している。

川田希

【ひとこと】
なぜこの作品に出るのかと問われれば、そこに面白い台本があったから!
(正確には指絵ちゃんが面白い台本を送ってくれたからです)
面白い台本を読んだら演じたくなるし、それをたくさんのお客様に見て頂きたいのが役者の性です。
『明日のハナコ』はそんな役者心をくすぐるとても面白い台本です。
これを高校演劇で上演したなんて、とってもとっても素敵です。見てみたかったです。
でも、なかった事にされたそうです。
なんでだろう?って考えながら、まずはただただ役者として精一杯演じます。
この作品の素晴らしさがたくさんの方に届きますように。

【プロフィール】
19歳の時に北区つかこうへい劇団に入団した事をきっかけに本格的に演劇を始め、ナイロン100℃、KERA・MAP、劇団本谷有希子、劇団☆新感線、ハイバイ、演劇集団キャラメルボックス、柿喰う客、劇団チョコレートケーキ、ミクニヤナイハラプロジェクト、少年社中、JACROWなど数々の人気劇団に出演し幅広い役柄を演じる。
中国、タイ、メキシコ、NYなど海外での公演にも参加し高い評価を得た。
また、舞台に留まらず映画やTVドラマ、CMにも多数出演。
最近では、ドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』で主人公の母親役でレギュラー出演、そして映画『今はちょっと、ついてないだけ』が4月8日公開予定。

黒澤たける

【ひとこと】
「なんとなく」が横行する社会で、俳優たちが様々なリスクを背負って会場を借りて『明日のハナコ』の発表を選び取ったことに賛同します。過去と今とこれからをなかったことにしない俳優を、過去も今もこれからも応援します。今回ばかりはサクッと応援させてください。

【プロフィール】
フリーランスの制作として商業から現代演劇まで幅広いマネジメントを行う。大学で現代ビジネスを学び、舞台芸術の制作業務に応用している。

田中祐希

【ひとこと】
今回この企画に参加しようと思った個人的な理由が2つあります。


1つは、福井県高校演劇祭『明日のハナコ』の周りで起きたことを知っただけで終わらせないようにするためです。知ったつもりになってどんどん忘れていったり鈍感になってしまわないように、自分なりに行動に移してみたいと思いました。


2つめは、俳優として一生懸命になれる場に誘ってもらえたのでとにかくやってみたいと思ったためです。


「なかったことにされた高校生の2人芝居がきっちり面白かったので自分たちでさくっとやってみる会」で一生懸命、さくっと表現したいと思っています。

【プロフィール】
俳優。ゆうめい所属。

高校時代からお笑いが好き。医師への憧れも強く持っていたのでパッチ・アダムスのような笑いでみんなを元気にする医者になろうとするもあえなく三浪。医学部へは進めなかったがパッチ・アダムスへの憧れは捨てきれず、パッチ・アダムスを演じていたロビン・ウィリアムズのような俳優を目指し演劇の道へ。

2015年ミエ・ユース演劇ラボ(構成・演出:岩井秀人)に参加。以降、所属する劇団での舞台活動を中心に、スイッチ総研(演出:光瀬指絵)、NOISE OPERA「カスパー」(企画・構成・振付・演出:芥正彦)、五反田団「新年工場見学会2017」内「しずこさん」(作:川面千晶 潤色:岩井秀人)などに出演。映像での出演はEテレ『シャキーン!』『デザイン「あ」』『ねこのめ美じゅつかん』、テレビ東京『出没!アド街ック天国』など。

これまでの経験をルーツとした何くそ根性で打ちのめされても舞台に立つ。

https://www.yu-mei.com/tanakayuki

福永マリカ

【ひとこと】
答えのない出ないことを答えの出ないままに、誰かと共有できるのは、演劇の好きなところです。

『明日のハナコ』の高校生2人は、答えの出ないことを答えの出ないまま、だけど正直に誠実に向き合い、悩んでいました。決して誰かや何かを他人事として否定することなく、自分ごととして全身で受け止めているからこそ、正しさを決めかねていました。

そうやって、「どうしたらいいんだろう」と悩むことさえも表現できなくなってしまったら、本当にどうしたらいいんだろう。どうしたらいいんだろう。

自分の、誰かの、「どうしたらいいんだろう」をかき消すことなく、拾い上げて、渡し合い続けられないかなと思っています。何ができるかわからないけれど、ひとりじゃないし、やってみます。

【プロフィール】
1992年1月4日生まれ。神奈川県出身。俳優。
2002年、10歳より俳優として活動を開始。2008年、16歳の時、BS-TBS『東京少女 岡本杏理「家出のススメ。」』で脚本家デビュー。同年『東京少女 福永マリカ』で、全4作の脚本・主演を務める。2013年頃より演劇を中心に活動。主な出演作に、演劇ユニット鵺的『悪魔を汚せ』、スイッチ総研『象の鼻スイッチ』、『中島鉄砲火薬店』、『銀河英雄伝説 Die Neue These』、NHK大河ドラマ『龍馬伝』、映画『漫画誕生』などがある。また、朝のカフェで朝食を食べながら観る演劇「朝劇下北沢」を主宰し、脚本・演出を担当している。
marikateenono.blogspot.com/

茂木大介

【ひとこと】
「明日のハナコ」のことは来輝から聞いて気になっていました。実際に観てみたいと思っていましたが役者?として演じることができることとても嬉しく思います。
生まれてから演劇に携わったことの無い私が「明日のハナコ」を通じて感じたことをみなさんに共有できたら…と思っています。

2022年3月29日 茂木大介

【プロフィール】
楽器店勤務の社畜もどき。
来輝と知り合ってから演劇に興味を持った。そのため演技は全くと言っていいほどの素人。
趣味は音楽鑑賞とお菓子作り。レシピに頼らないで自分の勘で作る料理には定評がある。
オーボエとサックスを嗜む。
最近気胸で入院して少し前に退院したばかりなので、肺に穴が開かないか心配しているが、いたって健やか。

森谷ふみ

【ひとこと】
1月末、光瀬指絵さんから会に誘ってもらった時の事を思い出してみました。


森「で、放送されない事を聞かされた時、高校生はなんて?」

光「ただただ泣いてたって」

森「今は?どう思っているのかなぁ…?」

光「顧問の先生が学校を辞めて二人と連絡が取りにくくなっているらしくて詳しくは分からない…」

森「……」


こんな会話をしたのを覚えています。


ただただ泣いていた彼女たちは

今どうしているかしら…?


時間が経った今、最早忘れたい出来事になっていたりやしないか?

周りの大人達だけが騒いでいたりやしないか?


そんな事を考えながらも私は、

あの時あなた達がやった事はなかった事にされなくても良いと思うんだよね…と伝えたいと勝手に思っている。


まずは同じように演ってみたいと思った。


46歳だけど、

46歳だから、

ま、やってみます。


【プロフィール】
俳優

主に舞台を中心に活動をし始めて20年以上になります。


座長が仕事をダブルブッキングしてしまいヘリコプター移動をした、

新宿コマ劇場「天翔ける獅子〜義経と弁慶〜」の出演が私の大劇場デビュー作品でした。


2009年より、TVドラマ、CM、映画などの映像作品にも出演。

中でも再放送の多いTVドラマ「相棒」は、放送されるとだいたい知人から「死んでたね」と連絡が来ます。

「よく分かったね!」と返します。


2007年、今回この公演の発起人である光瀬指絵と福原充則と共にニッポンの河川を旗揚げ。

光瀬指絵

【ひとこと】
トップページのご挨拶でしゃべり過ぎました!完璧な答えなど持っていないが何もしないよりはマシだよね?!精神でがんばります!よろしくお願い申し上げます。

【プロフィール】
俳優。スイッチ総研所長。カムカムミニキーナ、猫のホテルを経て、2007年に作家・演出家の福原充則、俳優の森谷ふみと共にニッポンの河川を旗揚げ。2015年、俳優の大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)と「鑑賞者がスイッチを押すと始まる一瞬の演劇」を上演する団体、スイッチ総研を結成し脚本と演出を担う。唯一無二の作風が話題となり各地の芸術祭や公共劇場に招聘される。六本木アートナイト、東京芸術祭、瀬戸内国際芸術祭、あいちトリエンナーレ、豊岡演劇祭などで地域の俳優や市民とともにその場ならではの作品を上演し好評を得ている。俳優として、東京デスロック、劇団、本谷有希子、快快、ままごと、財団、江本純子、劇団かもめんたる、ミクニヤナイハラプロジェクトなどに出演。鈴江俊郎とは二本の舞台を共にし「タメ語で話せる心の師匠」と思っている。近年はフェスティバルディレクターや教育機関におけるワークショップ講師、JR西日本と協働した鉄道周遊型演劇の企画創作など活動の幅をさらに広げている。
http://switch-souken.tumblr.com/