二級河川新井田川水系を流域とする世増ダムは、青森県八戸市南郷大字島守に位置します。昭和40年代から調査が始められ、平成10年からダム本体工事に着手し、平成15年度に完成しました。
世増ダムの基本的な役割は、青森県八戸市・階上町・岩手県軽米町の畑に必要な水を安定して供給する「かんがい用水の供給」、新井田川沿川地域の洪水被害の軽減と流水の正常な機能を維持するための水量を確保する「洪水の調節(治水)・河川流水の正常な機能の維持」、八戸圏域水道企業団(青森県八戸市ほか10市町村)と岩手県種市町へ飲み水を安定して供給する「水道用水の供給」の3つがあります。
ダムによって出来上がった人造湖は「青葉湖」と命名されました。世増ダムの建設によって水没した地域には、平重盛公が父清盛公への諫言がいれられず、この地に逃れてきたという伝説が伝えられています。青葉湖は、平重盛公が持参したとされる青葉の笛に因んだ湖名で、人々から喜ばれ、親しまれる湖の愛称として340人の応募の中から選出されました。
頭首工とは、河川から取水するための取り入れ口で、小さなダムのような形をしています。堤体とゲート、取水口、魚道などから構成されています。
ここから取水し、揚水機場(ポンプ場)に水を供給します。
揚水機とはポンプのことで、八戸平原の場合は電動機を使って回しています。揚水機は各系統に2台づつ設置されており、交互運転することにより、継続的な送水が可能となっています。
頭首工、世増ダムから取水された水は、揚水機によって高台にある吐水槽(タンク)へと送水され、そこから用水路に配水されます。
揚水機(ポンプ)によって吐水槽(タンク)に蓄えられた水は、用水路(パイプライン)によって、各地の給水栓へと配水されます。
給水栓は各用水路の最末端に設置されている施設で、大きな蛇口のような形をしています。ハンドル操作により、最大15リットル毎秒の水を給水可能で、トラックに積んだタンクへも給水しやすいよう、布ホースが取り付けられています。