第6回 2026年2月18日(水)
講演①(15:30~16:30)
講演者:木村 匡志(第一工科大学 准教授)
タイトル:ブラックホールの準固有振動
アブストラクト: 連星ブラックホール合体直後に放出される重力波はリングダウン期と呼ばれる減衰振動となり、最終状態のブラックホールの準固有振動モードの重ね合わせでよく記述される。リングダウン期の波形から準固有振動の振動数を読み取ることで、最終状態のブラックホールの質量や角運動量、ブラックホール時空が従う重力理論の情報を得られるため、重力理論の検証を行うことができる。本講演では、準固有振動の物理的意義や、計算方法について紹介し、その後に最近の進展について議論する。
講演②(16:30~17:30)
講演者:渡慶次 孝気(東京大学宇宙線研究所 研究員)
タイトル:初期宇宙と確率過程
アブストラクト:水中の粒子や株価の変動など、自然界は確率過程でモデル化される時間発展にあふれているが、初期宇宙も例外でない。(1) インフレーション宇宙では量子揺らぎが生成されるため、宇宙の進化が確率過程で記述される。(2) インフレーション後の宇宙に増幅された揺らぎが存在した場合、原始ブラックホール形成に至るが、その質量を決定するために確率過程の理論が用いられる。本セミナーではこれら二つの独立したトピックを概観し、最近の研究成果も紹介する。
第5回 2025年10月1日(水)
講演①(14:30~15:30)
講演者:岩田 英人(群馬高専)
タイトル:漸近公式の誤差項に対する解析的アプローチ
アブストラクト: J.KaczorowskiとK.Wiertelakは2010年に, Eulerの関数の漸近公式の誤差項に対して第二種Volterra 型積分方程式を考え, 誤差項を方程式の解となるパート (arithmetic part) とそうでないパート (analytic part) に分け, それぞれに対して下からの評価を得た. なお, analytic partについてはRiemannのゼータ関数に対するRiemann予想と密接に関係がある. さらに, J.Kaczorowskiは2013年にassociated Euler totient functionと呼ばれるEulerの関数の一般化を定義し, 漸近公式等の一連の結果を証明した.
本講演では上記の先行研究と関連した講演者の結果として, ある特別な条件を満たす数論的関数と呼ばれる関数とassociated Euler totient functionのそれぞれに対して第二種Volterra型積分方程式を考え, 方程 式の解や誤差項の分解を得たいと考えている. なお, 時間が許せば講演者が最近取り組んでいるarithmetic partとanalytic partの下からの評価に関連する取り組みについて紹介したいと考えている.
講演②(15:50~16:50)
講演者:成子 篤(群馬高専)
タイトル:ベクトル場の4番目のモードについて
アブストラクト:4次元ではベクトル場は4成分あるため、力学的自由度は最大で4つとなります。一方、通常の電磁場を考えると、力学的自由度は電場と磁場の2つのみです。これは、電磁場の運動項を記述する電磁場テンソルが反対称テンソルであるため、電磁場の空間3成分の運動項は持つものの、時間成分の運動項はもちえないからです。加えて、質量を持たない光・電磁場は、U(1)のゲージ変換に対するゲージ対称性を持ち、さらに力学的自由度が減り、その結果として2自由度となります (光は縦波成分はなく、横波のみです)。
光が質量を持つと(光の質量は実験で、m<10^{-18}eV=10^{-51}g、と非常に厳しく制限されていますが)、ゲージ対称性が失われて1自由度復活し、3自由度の理論となります。
さて、ベクトル場に対して非自明な運動項(例えば重力場との結合など)を考えると、一般には4番目のモードが励起されることになります。ところが、私のごく最近の研究によると、4番目のモードには不安定性が潜んでいるようです。
セミナーでは基礎的なところから始めて、最新の結果まで紹介したいと思います。