複雑な数式を含む文書を作成する際に最も多く用いられていると思われるものは LaTeX2e (以後、単に LaTeX と表記する) である。 数学の論文などはほとんど LaTeX を用いて書かれ、 大学の数学教員が用意するプリントなどもほとんどが LaTeX を用いて書かれている。 学生の修士論文やその発表の際に用いられるプレゼンテーション用の資料もそうである。 また出版されている本なども LaTeX を用いて作成されたものが増えており、 必ずしも数式を含まなくても利用されるようになってきている。
LaTeX は無料で利用でき、また多くの OS で利用できる。 しかし、そのベースは unix にあり、例えば MS Windows で利用するにはやや不便なことも多い。 特にそのインストールでは苦労する人も多いようである。
ここではクラウド上で利用できる CloudLaTeX または OverLeaf を利用することを想定する。どちらもメールアドレスで登録して利用することができる。日本語を使うならば CloudLaTeX の方が使いやすい。
LaTeX のソースの書き方などはインターネット上にたくさんの情報があるので、それを参考にしてほしい。
特に注意してほしいのは「体裁などは基本的に LaTeX に任せる」ということである。例えば「タイトルは大きな字で中心揃えで」などと自分で指定するのではなく、LaTeX に「これはタイトルだから、よろしく」とするのがよい。最終版を作るときには、結局は自分で細かい指定まですることもあるかもしれないが、まずは LaTeX に任せよう。
演習:LaTeX で簡単な文書を作りなさい。pdf ファイルを作成し、それをダウンロードしなさい。
演習:LaTeX の文書に「タイトル、著者、日付」を付けなさい。\documentclass{article} と \documentclass{book} を試し、同じ本文の仕上がりがどのように変わるかを確認しなさい。
(1) \documentclass{article} でいくつかの「節」を作成してみなさい。
(2) \documentclass{book} でいくつかの「章」および「節」を作成してみなさい。まだ目次を作成してみなさい。
(3) \newtheorem で定理などを作ってみなさい。また「定理1」,「補題2」のように違う環境で通し番号が付けられるようにしなさい。
(4) 「定理1.1」のようにする方法も調べなさい。
演習:参考文献リストを作成しなさい。また bibtex の使い方を調べ、それを利用した参考文献リストを作成しなさい。(mathscinet のデータから bib ファイルを作成しなさい。)