ばら積み物体の位置姿勢推定とは,ばら積みされた物体を汎用ハンドを用いて一つずつピッキングを行うために必要となる技術であり,三次元計測センサから計測されたシーンのデータと推定対象物体の三次元モデルから個々の物体の位置と姿勢を認識することである.本手法ではスパースモデリングを応用し,ばら積み物体のシーン画像は少数の辞書画像で再構成されるという仮定に基づいて,位置姿勢推定手法を行う.手法の利点として,局所特徴量を用いた手法と比較するとチューニングパラメータの数が少なく,深層学習を用いた手法と比較するとネットワークの学習に必要となる膨大な学習データと計算リソースが不要であることが挙げられる.
移乗介助や歩行介助などでは,被介護者の位置姿勢や障がいの度合いなどの現在状況に対して適切な介護動作を行う必要がある.しかし,介護初心者が現在状況に応じて適切な介護動作を習得するために,熟練介護者の指導の下に長時間の練習を行う必要がある.そこで本研究では,センサにより現在状況を認識し,現在状況に応じて適切な介護動作を複合現実デバイスを装着した介護者に教示することができる,介護教示システムの新たな枠組みを提案する.