ゲーテ自然科学の集いは、1968年に三木成夫、千谷七郎、菊池栄一らによって創立された学際的研究団体です。ドイツの詩人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの自然研究を出発点に「自然」「文明」「人間」といったテーマを包括的に考えようと努めています。日本学術会議にも「協力学術研究団体」として協力しています。
第58回ゲーテ自然科学の集い
総会およびシンポジウムのご案内
ゲーテ自然科学の集い総会・シンポジウムを神戸大学にて開催いたします。入場無料・申込不要ですので、よろしければお越しください。
記
日時:2025年11月8日(土)13時から18時
会場:神戸大学文学部C棟5階 大会議室(エレベーターで5階までお上がりください。)
(会場アクセスはこちらをご覧ください。http://www.lit.kobe-u.ac.jp/information/access.html)
“圏域”としての自然界 ー 人間の生きる空間について
Sphären in der Natur. Zum Lebensraum des Menschen
私たちの生活する圏域は、幾重もの意味で根本的な変容を経験しつつあり、巨大で恒久的な危機に突入しつつあるように見えます。自然環境の面でも、文明論的な意味でも、政治的な側面においても、我々の生きる空間は、近い過去において示していた相貌とは全く違う様相を見せています。私たち人間は、どのように考えれば、自分たちの生きる圏域を捉え直し、これからよりよく生きていくことのできる場所に作り変えていけるのでしょうか。
今回のシンポジウムでは、3つのセクションにおいてこのテーマについて話し合います。第一のセッションでは、現象学的なアプローチから都市や建築のHumangeographieを展開するユルゲン・ハッセ教授に、ゲーテのイタリア旅行にみられる場所と感情の関係についてお話しいただきます。続いて、ゲーテからその世界観と文明観を学び、ウルム造形大学に留学を経て、デザインの領域横断的な新しいタイプの人材の育成とデザイン学の形成に尽力した先駆者向井周太郎氏を、向井氏の御令娘でありデザイン・アート教育に携わる向井知子氏とともに振り返ります。さらに、ゲーテ研究の大家であり、多面的な文明史家として知られるマンフレート・オステン氏に、ゲーテが世界を「巨大な病院」として考察していた世界観と文明論についてお話しいただきます。最後に、提示された様々な観点をまとめていく形で総括のディスカッションを行います。
*使用言語:日本語およびドイツ語(翻訳付き)
第1セッション:Goethes Italienreise – ohne emotionale Beteiligung? 13:00-14:00
ユルゲン・ハッセ氏(フランクフルト・ゲーテ大学退任教授、人文地理学)
第2セッション:向井周太郎の遺産 14:15-15:15
向井 知子氏(空間演出/デザイン・アート教育)
第3セッション:Die Welt als ein großes Hospital und ostasiatische Lebensansichten 15:45-16:45
マンフレート・オステン氏(文化史家、作家、元アレクサンダー・フォン・フンボルト財団事務局長)
コメンテータ:粂川麻里生氏(慶應義塾大学:ドイツ文学)
第4部 総括討論 17:00-18:00
司会:久山雄甫氏(神戸大学:哲学、ドイツ文学)
ゲーテ自然科学の集いは、人文科学と自然科学の創造的な融合に関心をお持ちの方の入会をお待ちしております。
学会誌『モルフォロギア』(年一度発行)に投稿できる正会員は年会費5000円、学会誌を購入し、情報を共有する賛助会員は年会費2000円です。入会金はありません。
お問い合わせはoffice@goethe-natur.infoまでお願いいたします。