「年金等情報コーナー」を設けました
年金等情報コーナー
疑問にもお答えします
◆令和7年度の退公連の改革要望はどんな内容?
■日本退職公務員連盟(日公連)では、高齢者が安心して暮らせるように年金、医療、介護等の改善に関する要望や陳情を、毎年、政府や国会に対して行っています。
■また、岐阜県退職公務員連盟(岐阜県退公連)においても要望書を地元選出の国会議員へお渡しし、要望事項の実現を要請しています。
■本年度(令和7年度)の社会保障改革要望の骨子は、次のとおりとなっています。
■特に、青色文字の②、③、⑤の3つは、本年度新たに追加された項目(昨年12月に緊急要望として要望した3項目を昨年度要望に追加したもの)です。
こうした要望が実現されるよう早期の法律改正等を期待します。
〔令和7年度社会保障改革要望(骨子)〕
①多様で有為な人材が集う公務員制度の確立
②マクロ経済スライドによる調整の早期終了、名目下限措置の維持、慎重な積立金拠出
③安定雇用と着実な経済成長による社会保障給付費の財源確保
④年金生活者の過重負担とならない社会保障制度の維持改善
⑤基礎年金の拠出期間の延長等による給付水準の底上げ、国庫負担相当分の財源確保
⑥社会保険料等を控除したモデル年金と現役世代賃金との比較の実施等
⑦積極的な少子化対策、高齢者・女性・子育て世代の労働環境の改善整備
これら要望事項の詳細は、下記から確認していただけます。
◆所得代替率50%って、少なくない?
令和6年度のモデル年金の所得代替率は61.2%です。
所得代替率は、マクロ経済スライドにより、今後、継続的に引き下げられていきますが、法律により「手取り収入に対して50%を上回る給付水準を将来にわたり確保する」と定められており、50%を下回ることはないとされています。
とはいうものの、仮に、現在の61.2%から50.0%へと調整されれば、実質的な受給額は2割程度も減少することとなります(令和6年度の財政検証による「過去30年投影ケース」では、今後徐々に引き下げられ、令和39年以降50.4%になると見込まれています。)。
この調整による抑制は、将来の安定した年金財政を確保するためにやむを得ないものですが、しかし、所得代替率を少しでも向上させて次世代に引き継いでいく必要があります。
このため、退公連(日公連)では、令和7年度の社会保障制度改革要望において、
・マクロ経済スライドの調整の早期終了
・基礎年金給付水準の底上げ
・安定雇用と着実な経済成長
・積極的な少子化対策の推進、高齢者・女性・子育て世代の労働環境の改善整備
等の実現を要望しています。これら要望事項はいずれも所得代替率の向上に結びつくものです。将来の所得代替率も、現在と同じレベル(60%程度)を維持したいものです。
そのためにも、会員を拡大し、これら要望事項を私たちの大きな声として国等へ届けましょう。
マクロ経済スライドとは、少子高齢化により、年金を支える働き手が減少する一方で、年金を受給する者が増加していくため、将来の年金財政の持続と安定を図ることを目的に、支え手の負担をできるだけ軽くするとともに、年金の支給額を調整(抑制)していくものです。
このため、私たちの年金は、被保険者(支え手)数の変動と高齢化の進展に応じて、原則、毎年調整され、マクロ経済スライドが続く限り、年金の給付水準は徐々に低下していきます。
この年金の抑制は、年金財政を将来も破綻させないためのやむを得ないものですが、この年金の抑制は、いったいいつまで続くのでしょうか。
抑制がいつまで続くのかは、経済成長による賃金の伸びや少子高齢化の進展度合いなど、現在及び将来の経済や人口の動向などにより左右されます。
抑制がいつまで続くのかなどの見通しを行うのが、5年に一度実施される財政検証です。昨年(令和6年)実施された財政検証での見通しでは、
・経済が最も成長すると見込まれるケース(高度成長実現ケース)で、令和21年(2039年)まで
・経済成長率が過去同様の低成長のケース(過去30年投影ケース)で、令和39年(2057年)まで
などとなっています。
ここで特に問題なのは、抑制が長く続けば続くほど年金の給付水準が低くなってしまうということです。
つまり、マクロ経済スライドによる調整が長引けば長引くほど年金受給額の実質的目減りが大きくなってしまいます。
このため、退職公務員連盟(日公連)では、令和7年度の社会保障改革要望において、「マクロ経済スライド調整の早期終了」とこれを実現するための「基礎年金の拠出期間延長等の実施」などを求めています。
皆さん、自分たちのためにも、次世代の人たちのためにも、マクロ経済スライドの調整を早期に終了させ、年金水準の低下を防ぐよう国等へ要望し、実現させましょう。
そのためには、多くの仲間の声が必要です。会員数の維持、拡大に取組みましょう。
◆年金額が1.9%引き上げられます
でも、なぜ、物価上昇率よりも低いの?
■ 令和7年度の年金額が、令和6年度から1.9%引き上げられます(R7.1.21厚労省年金局年金課発表)。
これにより、令和7年4月からの国民年金等の年金額は、次のとおりとなります。
★ 国民年金(老齢厚生年金(満額))
69,308円(対前年度比+1,308円)
(但し、S31.4.1以前生まれの方は、月額69,108円(対前年度比+1,300円))
★ 厚生年金(注)
232,784円(対前年度比+4,412円)
(注)夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額(モデル世帯の年金額)
■ 令和5年度から3年連続の引き上げとなります。ただし、物価変動率が+2.7%に対しての1.9%の引き上げですので、実質的な価値は目減りとなります。
■ 年金が実質的に目減りする理由は、マクロ経済スライドが適用されることによるものです。マクロ経済スライドは、少子高齢化が進む中で、年金の支出(給付)と保険料収入(負担)を均衡させて、安定的な年金財政を確保しようとするものです。このマクロ経済スライドが適用される限り、年金の引き上げ率は、基本的に、物価上昇率を下回る(目減りする)仕組みとなっています(既裁定者)。
■ 年金給付を受ける高齢者の平均余命が伸びる一方で、少子化により保険料を負担する被保険者数が減少する現状において、マクロ経済スライドによる年金額の目減りは、安定的な年金財政確保のための「年金受給者による応分の負担」として、やむを得ない面もあります。
■ しかし、だからこそ、現行の年金制度の維持はもとより、年金額のさらなる増額等、より安心して暮らすことのできる年金制度に改善していく必要があります。
退職公務員連盟は、これまでも、年金制度の改革に取り組み、
☆基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1へ引き上げ
☆年金払い退職給付制度の創設(職域加算部分廃止後の新たな年金)
☆在職老齢年金支給停止調整額の引き上げ(28万円→47万円)
等々について、国に要望し、これを実現してきました。
■ 岐阜県退職公務員連盟は、引き続き、(一財)日本退職公務員連盟及び各都道府県の退職公務員連盟と連携して国への要望活動を行い、年金制度の改善に取り組んでまいります。
■ なお、令和7年度から、在職老齢年金支給停止調整額も50万円から51万円に引き上げられます。
◆公的年金制度は、本当に破綻しない?
ご安心ください。日本の公的年金制度は破綻しません。
少子高齢化が進み、保険料を納める支え手が少なくなる一方で、年金受給者が増加していくことから、「負担と給付のバランスがくずれ、公的年金制度が破綻する」と心配する声も聞かれます。
しかし、日本の公的年金制度は、こうした事態を予測し、将来にわたって制度を安定させるための各種の仕組みを導入しており、日本という国が存在する限り公的年金制度が破綻することはありません。
具体的には、日本の公的年金制度には、
●少子高齢化に伴う公的年金加入者の減少や平均寿命の延びなど、社会の人口・経済の状況を考慮して、給付と負担のバランスを自動的に調整する仕組みがある。(マクロ経済スライドによる調整)
●これらのバランスがとれているかどうか確認するため、少なくとも5年ごとに、最新の人口や経済の状況を反映した、長期にわたる財政収支の見通しを行い制度の持続可能性を確認している。(財政検証)
ことなどから、破綻しない制度となっています。
しかし、制度としての破綻はないものの、マクロ経済スライドによる調整により、年金は今後継続して抑制され、将来の年金給付水準は現在よりも2割程度も低くなる可能性があります。
このため退職公務員連盟(日公連)は、毎年、国や関係機関等に対して「社会保障制度改革要望」を提出し、より良い年金制度等社会保障制度の改善・充実を目指しています。
こうした要望活動による社会保障改革の実現性を高めるため、一人でも多くの方が私たちの仲間として加わって頂きたいと思います。
◆将来受け取る年金額について
皆様が心配されている将来受け取る年金額については、令和元年8月発表の「年金財政検証」によれば、経済の高成長と高齢者の就労が進むと想定したケースでは、年金水準の引き下げは2046年~2047年に終わり、その時の所得代替率(受け取る年金給額/現役世代の年収)は50.8~51.9%となり、経済成長と就労が一定程進むケースでは44.5~46.5%、低成長で就労が進まないケースでは36~38%まで下がることが示されました。高齢化と人口減少が進み、受け取れる年金の水準低下が避けられないという現実を突きつける内容でありました。
◆年金生活者の生活費と社会保障制度について
私たちの生活も以前より随分変わりました。年金支給額が減額される一方、ガソリンはじめ食品等諸物価の値上げ、介護や障害・福祉サービス料金及び65歳以上の介護保険料の値上げもされています。更に「国家公務員法改正案・検察庁法改正案」が成立し国家公務員の65歳定年制が確定しました。更に「医療制度改革関連法」により、年金収入が単身世帯で200万円以上、複数世帯で320万円である75歳以上の高齢者には医療費の窓口負担が2022年10月から2割となりました。高齢者にとっては、生活が苦しくなり、暮らしの不安が増してきています。