オオバンについて

オオバン Fulica atra ツルクイナ

雌雄同色の真っ黒な水鳥.カモではない.白い額盤がめだつ.額盤の大きさをはじめ,体の各部位の大きさについて,雌雄間で有意差はあるが,測定値はオーバーラップしているため断定は難しい.

分布や生態

日本ではかつては非常に稀な鳥であったが,1990年から2000年代にかけ,越冬数が急激に増加,分布も拡大し,最近は普通種となっている.世界的な分布から見ると,日本の多くの都道府県で繁殖が確認されているため,留鳥と記載されていることが多い.実際,繁殖数や繁殖分布は増加拡大傾向にあるが,越冬数ほどではなく,少数であると考えられる.したがって,日本で越冬しているオオバンのほとんどは大陸から渡ってきた個体群である可能性が高いが,詳細は不明である.


食性は,主に植物である.農地が近い湖や川などで越冬しているオオバンは,冬に植えられたばかりの麦などを食べており,食害が報告されている.



参考文献

橋本啓史(2019)オオバンの分布拡大と越冬数の変化.私たちの自然. Vol. 60

Hashimoto H & Sugawa H (2013)  Population trends of wintering Eurasian Coot Fulica atra in East Asia. Ornithol Sci 12: 91 – 105 

Minias P (2015) Sex Determination of Adult Eurasian Coots (Fulica atra) by Morphometric Measurements. Waterbirds: 38(2)