R3年度 卒業研究
研究概要:スマホアプリとは,スマホで動くソフトのことで,インターネットの進化とスマホの普及とともにスマホアプリ開発は盛んに行ています。スマホはiPhoneやAndroid端末(OSが異なる)があります。一般にAndoridアプリを開発する際には「Java言語」の知識と「Android Studio」のプログラミングスキルが必要であり,iPhoneとiPadのアプリを作成する場合は,SwiftやXCodeなどのコードの仕様やiOSの動き方のメカニズムなどを把握する必要があります。
卒業研究では,スマホでアプリ開発にあたり,①どのようなアプリの開発(例えば,技大生の生活に関するアプリ(e-gidai)とか);②開発に必要なもの;③新規プロジェクト作成;④開発したアプリの起動・検証・リリースを通して,スマホアプリ開発技術を身につけ,また,OS依存しない高効率のプラットフォームを研究します。
キーワード:Webアプリ,ネイティブアプリ,ハイブリッドアプリ,クロスプラットフォーム
(2)Excel VBAによる数値計算ツールの実装
情報システム技術科 濵田 臨太郎,横田 脩
研究概要:身近なマイクロソフトExcelは完成度の最も高い表計算ソフトとして,標準アプリケーションとしてパソコンにインストールされていています。Excel VBA(Visual Basic for Applications)は,BASIC言語でExcelの操作を効率よく自由自在に操ることができ,特にマクロ機能を用いれば,様々な処理・操作・計算などを自動的に実行してくれます。
卒業研究では,まずExcelによる数値計算法,ExcelのVBAとマクロ機能を学び,方程式と連立方程式の解法,補間法,数値積分法、常微分方程式の解法を中心に数値計算ツールを開発し,専用な数学ソフトが必要なく、一般的な数値計算問題がマウスだけを動かせば、ほとんど解決できます。
キーワード:数値計算,VBA,マクロ機能
電子情報技術科 松永 大輝
研究概要: 1/f ゆらぎとは,信号のパワースペクトル密度が周波数 f に反比例するゆらぎのことで,自然界には1/f ゆらぎが多く存在する。心臓の音,ろうそくの炎のゆれ,波の感覚,雨音,小鳥のさえずり,電車の揺れなど,特にネットワーク情報流も1/f ゆらぎ特性をもっており,奥深いゆらぎである。1/f ゆらぎの効果は多く研究されており、生体のリズムと人間の五感を通して,1/f ゆらぎを感知し,人間の感覚に「適度に」,「心地よい」との相関性を持ち,「美しさ」「快適感」が検証されています。
卒業研究では,信号の採集,サンプリングと量子化,フーリエ変換(FFT),1/f ゆらぎ特性の解析,1/f ゆらぎ特性を人工的にもたせます。その研究の結果を家電製品・環境音楽・照明等の商品開発などに応用できます。
キーワード:1/f ゆらぎ,スペクトル密度,FFT
ご卒業,おめでとうございます!新天地で頑張ってください。
R4年度 卒業研究
情報システム技術科 内田 夢人, 樅木 真斗
研究目的
情報社会において,情報セキュリティ技術が必要不可欠である。情報セキュリティ技術中の暗号技術が,情報を暗号化して盗聴・漏えいを防いだり,相手の身元を認証したりすることができる。本研究目的は,暗号技術,特にハイブリッド暗号方式について学び,Pythonを用いてハイブリッド暗号方式を実装し,情報セキュリティのスキルをアップすることである。
研究内容
1.背景
情報社会の進展及びインターネットの利用は,われわれの生活に大きな恩恵をもたらしている。インターネットは世界中のWebサイトから有益な情報を入手したり,自分が所有する情報を世界に向かって発信したりすることができる。しかし,インターネットの発展・普及につれて,いろいろな脅威・危険が存在する。例えば,サイバー攻撃,盗聴,改ざん,不正アクセス,なりすましなどが挙げられる。これらの脅威・危険性を回避・防止するために,情報セキュリティ技術,特に暗号技術が重要な役割を果たしてる。
2.研究方法
暗号化の方式は,公開鍵暗号方式と共通鍵(秘密鍵)暗号方式に分けられている。ハイブリッド暗号方式は,この両者を組み合わせた暗号方式で,公開鍵暗号方式の安全性と共通鍵暗号方式の高速度処理を備えたため,いろいろな認証技術,例えば,HTTPS通信(HTTP over SSL/TLS)などに使われている。公開鍵暗号方式と共通鍵暗号方式が数多くあり,その組み合わせも多様である。本研究は次のステップで進んでいく。
①暗号技術を学習し,特にハイブリッド暗号方式に
②各種のハイブリッド暗号方式の効率解析と評価(強度と処理速さ)
③効率よいハイブリッド暗号方式を選び,Pythonで実装
⑤実装したプログラム性能の評価と発表
期待される成果
1.情報セキュリティにおいて,暗号技術の重要さを理解する。
2.いろいろな暗号方式と比較して,ハイブリッド暗号方式のメリットを理解する。
3.Python言語を暗号技術に取り組む。
4.研究のプロセス(自ら調べ,自ら提案,自ら検証,自ら発表)を身につく。
■R4年中間発表PDF(一部分読込めない可能) ◆発表場面1 ◆発表場面2
■研究成果をWebサイトで公開中
情報システム技術科 上田 一稀, 春日 聖也
研究目的
数値計算法は,誤差許容範囲でいろいろな数学問題を数値で近似的に解く手法である。数値的な解はその物理的な意味が分かりにくく,近年数値計算法における解の可視化の研究が盛んに行われている。本研究では,Python言語を用いて,可視化数値計算ツールを研究・開発することが目的であり,高価な専門数学ソフトを使わずに一般的な数値計算問題が簡単に求められる。
研究内容
①背景
数値計算法は,数学と情報処理に跨る分野で数学の問題を解析的に解けない,または,直ちに解けない場合の数値近似解法である。数値計算の諸問題(方程式の解法,補間と近似法,連立方程式の解法,数値積分,微分方程式など)は,コンピュータを用いて,誤差許容範囲で数値的な近似解を簡単に求められる。このような数値解をグラフや図などで表現する可視化研究は,数値計算法における重要な急務となっている。
②研究方法
Pythonは,現在AI分野で活用されている言語で,数値計算にも非常に適している。数多くの無料オープンソースとライブラリが利用でき,Numpy,Scipy,Matplotlib,Seabornなどを用いれば,解を求めるだけでなく,解の可視化も実現可能である。本研究は,次のようなステップで行う。
(1)数値計算法の学習
(2)Python言語の把握,プログラミング能力向上
(3)Pythonによる解の可視化できる数値計算ツールの研究・開発
期待される成果
1.Pythonを使いこなし,プログラミングスキルの向上
2.数値計算法の理解と応用
3.Pythonのグラフ機能を用いて解の可視化の実現
4.Pythonによる可視化数値計算ツールの開発
■R4年中間発表PDF(一部分読込めない可能) ◆発表場面1 ◆発表場面2
■開発した数値計算可視化ツールをWebサイトで公開
卒業生は全員83名,その中で情報システム技術科24名です。牧岡先生から卒業生の名前を読み上げます。
この賞は,卒業研究の内容と取り組む姿勢が特に優秀と認められた学生に対して授与されます
ご卒業,おめでとうございます。
学校で学んで知識と技術,卒研で磨いた研究能力を職場で発揮してください。
情報システム技術科 寺本 樹, 武藤 竜輝
研究目的
本研究では,PythonでExcelの操作自動化の方法を研究した上で実装する。PythonとExcelの両方の潜在的機能を発揮し,データの解析・可視化によりDX推進に貢献することが目的である。
研究内容
①背景
Excelは,いろいろな分野でデータの可視化及びデータの解析に活用されている.また,VBAによるマクロ機能を用いれば,Excelの操作を自動化することもできる。Pythonは,高水準のプログラミング言語で科学技術計算やAIなどによく使われている。PythonでExcelの操作を自動化すると,VBAにより実行が速く,Excelファイルの処理やデータの可視化・解析をより簡単に行うことができる。
②研究方法
Pythonは、Excelファイルの操作を自動化するための優れたツールで,PythonでExcelを操作することは、(1)Excelそのものを操作することと,(2)Excelファイルに対しての操作をすることである。いずれにしても,PythonからExcelを読み書きしたり,グラフを描いたり,Excelのマクロを実行したりすることができる。Pythonで下記の操作が容易に実現できる
■Excelファイルを読み取る
■Excelファイルに書き込む
■Excelファイルを編集する
これらの基本的な操作を使用してExcelの操作を自動化することができる。
研究方法として,Pythonのライブラリ:
①openpyxl(処理が高速)
②pandas(Excelを操作することはできる)
③xlwings(Excelを直接操作する。特にExcelのマクロを実行できる)
を利活用して,PythonでExcelの操作自動化を研究・実装する。
期待される成果
1.Pythonを使いこなし,プログラミングスキルの向上
2.Excelのデータの可視化,データ解析の学習,ExcelでDXを進めていこう
3.PythonでExcelを操作するライブラリを調査・評価
4.PythonでExcelの操作自動化ツールを実装,PythonとExcelのそれぞれのメリットを発揮させる。
情報システム技術科 田鹿 蓮,西 瞭太朗
研究目的
情報セキュリティのため,暗号技術が利用されている。本研究目的は,ロジスティックス写像で生成したカオスを用いて,高品質の疑似乱数を生成し,よりセキュアなストリーム暗号方式を研究・検証する。
研究内容
①背景
データ(平文)を暗号化するとき,データをブロック(一定の長さ)に分けて処理するか,または,ビット(バイト)単位で処理する。前者をブロック暗号方式,後者をストリーム暗号方式という。ストリーム暗号方式には疑似乱数が必要である。真の乱数であれば,ストリーム暗号は安全で解読不可能と証明されている。真の乱数の生成は難しいから,一般に精度よい疑似乱数を代用して,ストリーム暗号方式を構築している。カオス(chaos)とは,混沌や無秩序,システムの振る舞いが予測不可能な状態のことである。カオスを利用して,真の乱数に近い疑似乱数が生成できる。本研究では,ロジスティックス写像で生成されたカオスを利用して,より安全なストリーム暗号方式を研究する。
②研究方法
カオス現象を引き起こす有名な関数はロジスティックス写像 x_{n+1}= a*x_{n}(1-x_{n}) である。関数のパラメータaにより,a>3.56995のとき(一般にa = 4とする),x_{n+1}のとる値に規則性がなくなり,予測不可能になる。この性質を利用して,品質の高い疑似乱数が生成される。
①暗号化する平文を1ビット(または1バイト)単位でm1, m2, …, mnに分ける
②カオスによる疑似乱数r1, r2, …, rn と平文m1, m2, …, mnをXOR(⊕)して,平文のデータを完全に撹乱し,暗号化する
③ ストリーム暗号文: c1=m1⊕r1, c2=m2⊕r2 …, cn=mn⊕rn を作り出す
④カオスによるストリーム暗号方式をPythonで実装する
このような方法でできたストリーム暗号方式は,セキュリティ性が高く,ストリーム暗号の中で最も高速であると言われている。
期待される成果
1.情報セキュリティのため,暗号技術を学習し,特にストリーム暗号方式の把握
2.各種の暗号方式の効率解析と評価(強度と処理速さ)
3.カオスの特性(変化の不可測性,初期値の敏感性)の認識,Pythonでシミュレーションと応用
4.Pythonでカオスによるストリーム暗号方式の開発
2024年3月16日
2024年3月16日
電子情報技術科と情報システム技術科(II群)
3月16日 ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ