10月定例会報告
(日 時)10月18日(土)14:00〜17:00
(会 場)オンラインで実施 ※直前にオンラインのみでの実施に変わりましたが、多くのみなさんが参加してくださいました。
(参加者)一幡、今井、金岡、金平、川窪、木村た、木村大、久保田、千野、藤内、中村俊、中村友、西脇正、野口、長谷川、花城、林、保坂、山本留
計19名(会員17名、会員外2名)
1.脚本研究(1)
高学年用脚本「真(まこと)の心」 作・保坂弘之さん
○あらすじ
極悪人とされている岩田三茂(幼名ゆきち、モデルは石田三成)の墓を掃除していた村長(むらおさ)が子どもたちに三茂の生涯を語る。
ゆきちが幼い頃、幼なじみの虎ぞう、市まつはけんかばかり、三茂は学問好きで頭のよい子だった。成長した3人は木下英俊(モデルは豊臣秀吉)の家来になって
活躍した。3人はそれぞれ活躍し、岩田三茂、佐藤清忠(モデルは加藤清正)、福村正明(モデル福島正則)となった。
英俊に会うためにやってきた津南為則(モデルは津軽為信)を三茂は丁重に扱う。病になった小谷吉次(モデルは大谷吉継)をいたわる。
英俊が亡くなり、徳田家元(モデルは徳川家康)が勝手に物事を進めるようになり、三茂は不満を抱く。
しかし幼なじみの清忠、正明は家元側に付いた。三茂は追い詰められていき、戦を仕掛けることとなったが敗れ、一族は死罪となった。
津南為則とその妻(三茂の娘)が墓参りに訪れ、墓を守る村長に礼を述べる。
○作者から
モデルは石田三成。興味があって書いてみた。歴史は勝者が残すが、負けた側の視点で描いた。再来年の劇の会でできたらやりたい。
○参加者から
・子どもたちにどんなことを伝えたい?どのような成長を願っているのか?
→作者:三成は実は真面目だったが、負けたために悪者にされてしまった。それが歴史。それを受け取ってもらいたい。
・実際にやると30分以上かかる。会話だけのやりとり。動きがない。
・ダイジェストにしたらおもしろくない。部分をクローズアップすべき。みんなが知らない裏を描かないといけない。そうしないと上演可能にならない。
・むずかしい。せりふの意味を考えないと理解できないし、人名がむずかしい。子どもと村長のかけひき。動きがない。敵対するなら事件が必要。
大きな争いの場面がないといけない。歴史上の人物の名前をそのまま出せばわかりやすい。地名もそのまま出せばいいのではないか。
・幼なじみの三人だったが、大人になってからは敵対関係になる。次第に気持ちが離れていった話などにしないとわからない。
・歴史物は本名出したらまずいの?→作者:話がフィクションだから実名にしなかった。
・名前を変えたことでわかりにくくなっている。名前は変えなくてもいいのでは?
・本名でいい。歴史の事実は踏まえてどこか一部に絞ってやるのがいい。
・歴史物は事実と事実の隙間を埋めていけばいい。かつて、大仏建立の話を劇にしたことがある。作ったけど開眼式によばれなかった人たちを描いた。
事実をふまえて本名で組み立てていくのがいいのではないか。→作者:どれが本当かはむずかしい。描き方をなやんでいた。
・悪者として描かれている部分をやったあと、実はその裏にこういう思いがあったという構造にするとおも しろいのではないか。
・主人公が義を貫いたことがメインではないか。いろんなところが説明されないと関係性がはっきりしない。むずかしいなあと思った。
わざわざ墓参りに来てくれる必然性が見えない。墓参りに来た息子から話が始まるのはどうか。
・自分の学級で「三匹の子豚」を狼側から描いた本を子どもが紹介してくれた。反対側の視点から描くおもしろさはある。
・昔は情報の伝達速度が遅い。そういうことも視点として見せたらおもしろい。そういう角度も子どもたちに伝えたい。今だったどういう噂の伝わり方をするのか。
・三成のお茶の話をつかったらどうか?
2.実践研究
誕生!ランチBOXレボリューション ~閉幕までの軌跡~
テーマ:「劇で『楽しい』ってこういうことじゃない?」 報告・川窪章資さん
○報告者から
・行事が増えている。それが森村の売り。ぼくがいる限り続ける。
・二月に入ってから取り組んだ。台本読みまくり。十日前に配役をして通し練習に入った。
・学習環境は基本担任が指導。1,2年生は6人で指導。視聴覚室、体育館。練習場所の取り合い。5、6年生は先にとる。
予行は丸一日。6年生が2月スキー学校に行き、現地で練習することもある。
・学習者の状況 毎年担任が変わる。子どもは3~6年はクラスそのまま。
・脚本づくりについて・・・普段からアンテナをはっている。題名だけでもメモ。歌も大事。心の中は歌にすることが多い。作曲は音楽の先生にお願いしている。
4年生は児童創作が多いが、見ていておもしろくない。何をいいたいのか?自分としては疑問だった。
・今年は子どもたちに選ばせた。(A担任が書く B担任と子どもで C子どもの創作 D既成作品) 子どもたちはBをやりたがった。
・冬期セミナーで同室の池田さんから意見をもらい、2月脚本研究会で提出した。「ランチボックスレボリューション」誕生。
・クラスの女子と恋バナをしたとき、「男子ほぼみんなジャガイモ」という発言があった。
そこからみんなをおかずにしようというアイデアが生まれた。クラスは弁当箱。役を決め、4×4のラップを作った。
・執筆するときの心がけ・・・キーのせりふはだれがいうか。シンプルに。せりふは短く。親しみやすい言葉回し。根本はドリフ。一幕一場。
○上演DVD視聴
・声が良くでていて、はっきり聞き取れる。
・歌がいい。
・たこさんウインナー、コロッケ、ハンバーグ、卵焼きなどラップでおかずを紹介する。ミニトマト、ブロッコリー、白米、梅干し、唐揚げも登場。
・冷凍か揚げたてかを巡って、観客から笑いが起こる。
・お昼の時間になり暗転。ざわざわ。みんなひっくり返っている。落としたんだ。
・ごはんは敷き詰められて無傷。拍手 梅婆はふたの裏にくっついていた。
・捨てられるかもでもめる。
・混ざり合って新しい個性が生まれた。これがレボリューション。
・弁当は愛なんだと歌。
・見た目を整えようとすると暗転。
・「あーあ、落っことしちゃった。」ランチボックスを開ける。「ぐちゃぐちゃだ。」おかずが手をふる。食べる。楽しいクラスの歌。
○報告者から
・配役決め・・・みんなせりふが入っている状態までいった。この役はこの子がいいんじゃないという感じになりオーディションやらない。
・本番当日唐揚げ役が体調不良で早退したが乗り越えた。読み合わせが大切。
・衣装はシンプルに。動きを制限しないようにした。
・ドリフのアイデアは担任が出した。
・子どもたちに練習の様子を撮影したビデオを見せて「どう?」と考えさせた。
・クラスの歌を総合で作ったのでそれを使った。
・劇づくりは集団づくり、人間関係づくり
○参加者から
・あの脚本がこうなったんだ。うれしかった。ドリフと「欽ちゃんの仮装大賞」を思い出す。一人一人の表現力の豊かさはどこから?
→報告者:声が出ない子はいない。届かない子はいた。国語で音読を重視している。
・一人一人が自信を持って楽しんでいるのが伝わってきた。
・森村の学芸会見に行ったことある。よく様子が伝わってきた。練習を重ねるとエネルギーが落ちていくことがあるが、どう乗り越えた?
→報告者:本格的にやったのは2週間前から。常に同じではないからそれもよかったかも。予行からも変わっていった。
ぐちゃぐちゃになるシーンは毎回変わった。リズムのところはいつも練習していた。
・許されている表現を懐の深さを感じた。板付きの指導がまだ多いが、それと違って対極。
弁当箱が開いたとき、オフステージフォーカスの手法を生かしている。→報告者:先輩方のアイデア、とても役に立った。
・なんで弁当箱を落としたんだっけ?理由があったほうがいい。もっと混ぜてもよかった。
・ほぼ全員舞台に出ているので、お互いに見てアドバイスできない。映像で振り返るまで間ができる。どう工夫したか。
→報告者:撮ったものをクラスルームで流していた。コメント書き込みした。
・テンポよく楽しかった。クラス劇は魅力的。自分の学校は5年だけクラスで和太鼓。担任の力量で差が出てしまう。
他のクラスへのかかわりはあったのか?
→報告者:隣のクラスに入った。(元担任として)
・個性全開が伝わってきた。
3.脚本研究(2)
4年生用脚本「喜怒哀楽」 中村由香さん・作
中村さんは8月の演劇教育夏期大学第1分科会「脚本をつくる」の参加し、発表会用の脚本を書き上げました。
○あらすじ
喜怒哀楽を表すダンスで幕が開く。子どもたちがキックベースを始める。主人公の信は審判をする。判定を巡ってもめ事になり、みんなから責められる。
信は悲しくなり、段ボール箱の中に閉じこもる。責められるうちに怒りの感情がわいてきて、暴れる。
その後無反応になり、じん以外は怖くなってみんな逃げてしまう。
じんが信を慰め、落ち着かせようとする。しかし段ボール箱から出ることができない。
子どもたちが現れ、キックベースをやろうするが、審判が決まらない。信がやってくれていたことに気付き、信を呼びに行く。
みんなが信に謝るが、無反応。たくさん思い出を話して、感情を思い出してもらおうとする。
様々な回想シーン。信は箱を外そうとするができない。信を責めていたゆうたが信の気持ちを理解するようになり、信は箱を外す。
○作者から
・4年生 68名 感情が0か100の子が多い。感情について考えさせたかった。
・感情を爆発させた主人公が段ボール箱をかぶるシーンがある。。必要ないのではないかと意見をいただいたが、子どもたちは実際にやっているので残した。
美術の先生と相談して、汚いイメージにしないようにしたい。喜怒哀楽がないという子どもたちがいて、話し合った。
怒りだけを無くせばいいのか?そうすると悲しみもなくなる。喜怒哀楽の回想シーンは子どもたちに考えさせたい。
○参加者から
・段ボールの色が変わるのはどうやるのか? →作者:一瞬暗くして入れ替える。
・難しいのではないか?
・喜怒哀楽、葛藤、難しい言葉が出てくる。見ている子どもたちはわかるのかな?言ってもいいけど説明が必要。
大人の単語が多い。葛藤って何?という状況を劇に入れるといい。
・負の感情もまるごと受け入れることが重要。
・箱の中は別の場所で表現したら? カメラなどを使って映したらどうか?
・自分の学校にも感情的になると段ボールなどに入る子が実際にいるので、現実的すぎて少し心配になる。
劇づくりの過程で中村先生が大切にしていることはどんなこと?
→作者:この話を示したときにこれは私、ぼくだと言っている子が何人かいた。自分を振り返る機会にしたい。
特に感情を出さない子に考えさせたい。ロイロノートを活用し、第三者の目線で自分を見つめさせるように取り組んでいる。
・感情出せない、閉じこもるという子どもがいることは、よくわかる。少しずつ気持ちを出していくきっかけになるのではないか?
・喜怒哀楽にこだわったいるところがすばらしい。4年生はいろいろな感情に出会う時期。そんな時期に此の劇に取り組むのは意味があることだと思う。
心の声が表現されるところが見せ所になるのではないか?
・一つ一つのせりふが長い、前後を入れ替えると言いやすくなる。 一文が長くて大事なせりふを整理するといいと思う。
・鏡の中に入った世界を映像でやっているのをみたことがある。別撮りの映像を使うと覚えるせりふを減らすことが可能になる。
いろんな演出ができそうだ。そのときはプロジェクターで別撮りしたものを映していた。
・4年生の子どもたちに響くといいなと思う。BGMはどうするのか?
→作者:各コーラス隊がミニソングを歌う。子どもたちの言葉を元に作ってもらっている。
・同僚の野口さん:これから一緒に作っていく。中村さんは思いを持ってやっている。子どもが自分たちのことだと思って、作っていく過程を大切にしていきたい。
9月定例会報告
(日 時)9月27日(土)14:00〜17:00
(会 場)成蹊小学校1年西組教室
(参加者)対面…赤池、池田、今井、金平、川西、木村た、久保、小宮、千野、徳田、中嶋、永野、長谷川、林、山本(15名)
オンライン…岡、保坂(2名) 計17名(会員12名、会員外5名)
今回は、会員の池田さん、川西さん、成蹊小学校の赤池さん、徳田さん、永野さん、山本さんの脚本検討を行いました。合計6本の脚本があったので2部屋に分かれて行いました。成蹊小学校では、10月11日12日の文化祭で上演予定です。脚本検討とあわせて、練習の進め方やおすすめの劇あそびなどについても話し合いました。ここでは、夏期大参加者の赤池さん、会員の池田さん、川西さんの検討の様子を報告します。
『ドン・キホーテ』成蹊小学校 赤池さん(夏期大参加者)
2年生4クラスで学年劇を上演予定。各クラス28名ほどの児童が在籍している。
1〜4場面を各クラス1場面ずつ担当する。赤池さんのクラスは、3場面を担当する。
<あらすじ>
スペインのラ・マンチャ地方の騎士「ドン・キホーテ」が、村人のサンチョを伴って悪を倒す旅に出かける。旅の途中で立ち寄る村で風車や小麦畑と戦うドンキ。
ドンキは、正義の騎士として、カラスコとの決闘に勝利する。その後、ドンキは領主のお城に招かれ、貴族たちから讃えられる。
ラ・マンチャに戻ってきたドンキは、村の人気者になる。少し経って、ドンキは、自分の信念を貫き、再び冒険のたびに出かける。
<話し合い>
★苦労したことは?書くのは大変だったのでは?
原作を元にして執筆し、夏期大では山本茂男先生からたくさん助言していただいた。
特に、「1人あたりのセリフを短くすること」を意識して書いた。最終的には、学年の先生 方と話し合ってセリフの内容を吟味している。
★舞台はどのようになりますか。
プロジェクターで背景を映す場面と舞台セットを作る場面がある。
★上演時間は?
学年全体で50分の持ち時間で、各クラス12分くらい(出入りを含めて)で作る。
★3場面は、戦いの場面が多い。どのように作っていくか。
・林先生のアドバイスで、「しゅりけんを投げる遊び」「押したり引いたりする遊び」を事前にやっていて、劇に反映させていきたい。
・ドンキとカラスコのやり取りが中心だが、村人のセリフもあるので、村人を効果的に参加させられないか。
・ドンキを「じじい」と表現しているのが気になる。上演を様々な人が観るし、2年生の子たちが発するのが適切な表現か考えたい。
劇だからこそ、言葉遣いにはこだわりたい。
⇒作者としても「じじい」という言葉に抵抗があるので再考したい。
⇒例えば、「じいさん」「おじいちゃん」などと言い換えたら印象が変わる。
・クライマックスのためには、3場面の戦いが重要。老いぼれが若者を倒すことについての何らかの評価や称賛などがあるべきではないか。
そして、4場面につながっていく。・ドンキのどんな思いがドンキを勝たせたのか?
⇒全体の組み立てを考慮して、原作と異なるが、ドンキを勝たせる設定に脚色している。
・ドンキは高齢だけど、若者に向かっていく気合いがあって、いまの自分に満足せずに前に進む逞しさがある。
・「あのくらいの気概があったら、人生何とかなるのかもしれないな」のような教訓が、3場面の最後に残ると良い。そして、それを観ている観客の心にも残したい。
★赤池さんの考えるドン・キホーテの魅力は?
・400年前のスペインは保守的な世の中だが、ドン・キホーテの個性が最後まで続いていくことが魅力だと考えた。
「物事をやり遂げようとした気持ち」「自分を信じて進む」
・横浜で上演されている「ドン・キホーテ」を見たが、テイストが違っていた。
上演することで、演じた子どもたちに何が残るか?それを考えたい。
・例えば、うちわにそれぞれの顔を貼り、そのうちわを村人たちが持って戦いを応援をするような雰囲気作りをしてはどうか。
迫力も出るし、村人はじっと見ているだけでなく、演出への参加を促すこともできる。
・大きなうちわや画用紙に周りにふさふさを付けて雰囲気を演出する。それぞれの推しに分かれて「ド」「カ」の文字を色が異なるうちわに書いてはどうか。
色で対立を表せばよい。推しグッズのイメージ。
・応援する場面では、「どんな言葉を使ったらいい?」「どんな言葉で応援されたい?」と子供に問いかけ、一緒にセリフを作っていくとよい。
・決闘するところで、「ストップモーション」や「スローモーション」の手法を使って、村人が動きや声援を発するなどして、演出してはどうか。
・背景についても、デジタルや小道具など、視覚的な効果を工夫するとよいのでは。
★子どもたちに声を出させるおすすめの練習法は?
・離れた場所で声を送り合う、ぴょんぴょん跳びながら声を発する、ボインボイン星人、早口言葉など、様々な方法があるが、他におすすめの方法があれば知りたい。
・鳴き真似「♪なんて鳴くなんて鳴く♪」例えば、しっぽを踏まれた犬、団子をのどに詰まらせた牛、泣いた赤ちゃん、怒ったお母さんなどになったつもりで、
その状況の声を出させる。その遊びをもとに、劇中のセリフを再現させる。
・例えば、「勇気100%」の歌など、テーマソングを歌ってから練習を始める。
すると、 心が解放され声帯も開くから、自然と声が出ることにつながる。
『English Rakugo − I Hate Manju』
NEW CROWN English Series2(三省堂の英語教科書より) 川西さん
中2の英語教科書にFerther Listening(付録)として載っている教材を、授業中に朗読劇の形で行う実践についての相談。
ストーリーは、落語絵本でお馴染みの「まんじゅうこわい」からの出典。
川西さんは、紙面の左側に英文を、右側に対日本語訳を併記し、生徒が言うセリフの意訳が容易に確認できるような脚本に書き換えた。
また、簡単な仕草や身体の動きをト書きで書き加えた。
朗読劇にすることで、ナレータを含め5人組でグループワークをすることができる。
一人の生徒が長文を読むのではなく、自分の担当の英文(セリフ)を読めばよいので、一人あたりの負担も軽くなると考えた。
<登場人物>
・Tatsu(タツ)・・・いつもえらそうで、友人たちをちょっとバカにしている。
・Friend1,2,3(友達1,2,3)・・・いたずら好きな3人組
・Narrator(ナレーター)
<話し合い>
・夏期大で岡さんに見てもらい「まんじゅうこわい」のテーマソングを作ってもらった。
・実際、上演するのは難しいが、希望者を集めて、演じさせてみてもよい。
・習熟が低位のクラスでも、自分のセリフを覚えればよいので、ハードルが下がり、短くても出番を作ることができる。
・落語は、本来は1人で様々な役を演じ分けるものだが、複数人で演じることで、その楽しさを感じることができる。
・脚本は、左に英文、右に日本語訳を書くことで、生徒は感情移入がしやすいようだ。
・ナレーターのセリフをFriendの子たちに割り振って、身振りと声で状況を伝えるようにしてもよい。
・演者の配置について、主人公のタツは、出番ではないときに背中を向けて立つことで、登場人物が明確になる。
まんじゅうを投げ入れた後は、タツも前を向いて演じるので、怖がっている様子が引き立つ。
・状況を表す身体表現などを伴いながら、英語のリズムで掛け合いを楽しめるとよい。
・以下のように、場面を分けて、異なるグループが交互に演じても面白い。
シーン1 お互いにこわいものについて話している場面
シーン2 タツがまんじゅうこわいと言って家に帰ってしまう場面
シーン3 友達がまんじゅうを投げ入れる場面
・演じている場面の挿絵をモニターに映すなどして、視覚でも補うことで、挿絵と演技が対応すると分かりやすい。
・この教材は、中学2年の英語学習を終えた生徒たちが、その振り返り、または、発展として取り組むという位置付けである。
・この教材の他にも、例えば、「お手紙(アーノルド・ローベル)」の英語の読み物が小学校の外国語6年の教科書に掲載されている。
ここでも、朗読劇や役割演技ができそうだ。
『ひらハピ公園』 作:池田さん
2年生活科で「まちのよさを見つけよう」というテーマで学習している。
そのことを題材に、学校近隣にある「平間公園」を舞台にして、そこにやってくる人々の様子を描こうとしたのが、脚本制作のきっかけである。
今年、小学校にねずみがたくさん出ることがあって、そのねずみを登場人物にして書いてみた。
平間小学校は、総合的な学習の研究をしている。しかし、発表の手段として「劇」をするという発想はないように思われたけれど、池田さんの呼びかけで、
学芸大会への参加をすることになったという経緯がある。3クラス、90名程度の学年。
<話し合い>
・「ねずみ」というキャラクターを2年生が演じることで可愛さが伝わる。
・ひらハピ公園らしいエピソード、公園の素敵さが伝わる要素があるとよい。
・大人(地域の人、PTAの人)のセリフは、2年生の子にとっては難しいかもしれない。
・PTAの人たちの会話も、平間公園のよさや親の幼少期のエピソードを織り交ぜたセリフにすることで、公園への愛着を表せるのでは。
・公園で親がしている自慢話を子どもたちと考えた。「うちの子はテストで100点とったのよ!」「うちの 子なんて運動会で1等をとったのよ!」のようなセリフ。
・ボランティアに地域の人だけでなく、子どもも一員として参加する設定にしてはどうか。
すると、「みんながいるから(ゴミ拾いが)早く片付くね」のように子どもたちも関わっている様子が伝わる。
・子どもたちは公園のよさをたくさん発見する。そのほとんどは、遊具とかプールとかモノである。
だから、それ以外の、人々が感じている公園に対する愛着が表現できると良い。
・新しい「土地」を探しに出発しよう。⇒新しい「公園」がよいのでは。
・開校80周年記念で作った「笑顔の贈り物」という曲をテーマソングにする。歌も振り付けも子どもたちは大好きなので、この曲をそのまま劇に使う予定である。
7月定例会報告
(日 時)2025年7月19日(土)14:00~17:00
(会 場)成蹊小学校1年西組教室と音楽室
(参加者)対面…猪瀬 今井 岡 金平 久保 小宮 菅原 千野 富田 西脇 野口
長谷川 林 森公 山崎 山本留 16人
オンライン…一幡 木村た 杉原 藤内 保坂 山本茂 6人
対面16人 オンライン6人 計22人(会員18 会員外4)
1. 脚本研究
人形劇脚本「どんぐりひろばは おおさわぎ 第16話~ハロウィンのふしぎなおともだち」
作:岡信行さん
<作者から>国立音楽院の子どもたちと作った脚本。川崎市の人形劇祭りで川崎児童文化の先生たちと、パペットセラピー講座で子どもたちと、上演予定。
<あらすじ>
動物たちがハロウィンに向けて仮装の準備をしているとお化けのパンプが様子をうかがっている。動物たちはパンプが仮装だと勘違いする。
途中で気づかれ、みんなこわがり、逃げようとするがパンダのチャイナだけは「一緒に遊びたかっただけだよ」とパンプをかばう。
人間がパンダを捕まえにくるが、パンプが脅かして(チューベットの空容器で作ったスライドホイッスル)(紙で作ったカズー)追い払う。
みんなの心がつながり、ハロウィンパーティーをする。みんなでマイケル・ジャクソンの「スリラー」を踊る。パンプは「食べても減らないキャンディのかご」を置いて去って行く。
<話し合い>
・人間のせりふがうまい。チャイナだけが一人で解決しているが、他の人たちも関与した方がいい。人間をやっつけるところがメインだから、動物たちが怖がらなくてもいい。パンプが光るのはなぜ?それを生かしたい。
・パンプは透けている?→作者:透けているものをこれから作りたい。
人間のところ、声だけだが影みたいなものが出てくると迫力がある。
チャイナがパンプを唐突にかばうがその前に関わりがほしい。
・驚かす方も影をつかうと迫力がある。裏からうつすといい。→ペープサートでもいい。
・舞台構成は?→けこみ
動かすのは一人で二つ。声は別に。→音声は録音しておく。
出演者を少なくすれば小さいスペースでできる。
・上演時期は?→人形劇祭り9月末 音楽院11月
・作者:もう一ひねりしたい。どんでん返しがほしい。
・人形がたくさんいるから、ぎゅっとしたりばらけたりするシーンがあるといい。
・登場人物のこだわりがでてくるといい。お化けが仲良くなりたくてくるパターンの他に、お化けだから脅かしにでてきてもいい。脅かすがみんなこわがらない。
・パンプはおとなしいという設定だが、もっとはちゃめちゃなのがいい。
・もっとからみがでてくる。
・お化けが本当に脅かすようなものになりたいと思っているのか、仲良くなりたいのか、設定
によって変わってくる。→出てきたときはお化けとは思わない。本物だとわかったときにどうなるかという設定にしたい。本物だとわかったときの動物たちの反応。パンプの性格付け。
・動物たちが怖がらせ方を教えるのはどうか。
・パンプにはどんな能力があるのかを決めるといい。大きくなる、色が変わる。声をかえるなど。
・できそうもないことを考えるのもおもしろい。
・パンフのキャラを変える。最初は強く出る。性格をクローズアップ。実は友だちがほしかった。他の動物を絡めていくと膨らむのでは?
・パンプをどう変えるか。酒呑童子が明るい声でやっているギャップ。ユーチューブでそういうのを見たことある。
・チャイナという名前はやめたほうがいい。パンプは何が怖いのか?お化けは人間が怖くないものがこわいという設定は?なんで寂しい?どこに住んでいる?なんで友だちがほしい?何本もできそう。
・新たなシリーズができそうだ。
・作者:「おばけがきたぞ」という脚本を前に書いたことがある 動物たちがおばけになってゴミを捨てにくる人間を追い払う話。
・パンプとともだちとか、いろいろできそう。
・人形劇祭りに去年出た。それぞれのキャラ付けの意図は?→書いてから講習生の後付け。余談だが、設定をAIに入れるとあっという間にできてしまう。
・キャラ設定のことが気になっていた。モヤモヤしていたのは後付けだったからだと納得。
・戯曲の読み込みに慣れていないので、掴みかねている。
・お化けにはいろいろな設定がある。お化けの修行に出てきたとか。→お化けは修行するとどうなるのか。成仏?人間になる?閻魔大王になれる?キャラ設定が大事。
・音がすごくいい。
・子どもたちはこの世界に引き込まれると思う。
2.太鼓実習(音楽室に移動して)
3.実践研究 演劇教育夏期大学第2、第3分科会の内容をやってみよう
(1)第3分科会 外国語授業の導入5分で使えるアクティビティ 今井洋助さん
①かぶっちゃいやよGAME
挨拶編 How are you?(3年生向け)★キーワードは、happy,hungry,sleepy
全員立った状態から(手拍子)How are you?×2→キーワードから一つ言う+ジェスチャー
リーダー役とキーワード+ジェスチャーがかぶったら、その場に腰を下ろす。再びキーワード+ジェスチャーを言い続け、リーダー役とかぶらずに言えたら復活。その場に立ち上がって、キーワード+ジェスチャーを続ける。リーダーの終了合図があったとき、立っていた人に拍手を送る。
天気編 How is the weather?(4年生向け)★キーワードは、sunny,rainy,cloudy,snowy
*音楽や図工、家庭科でも応用できるのではないか。例えば知識として身に付けたいキーワード(道具の名前や記号の呼び名など)を3=4つ決めて、ジェスチャーを考えてゲームを行う。 ②わたしの手はどこでしょう?(5年生向け)
(両手を使って)位置を表す英語[on,in,under]を言いながら手遊び歌を行った。On,in,under,where is it?×4→it is on your hand.Year!を数回繰り返す。「Year!」のタイミングで[on,in,under]のうち、言われた位置に片手を持って行く。慣れてきたら、It is on your desk.のように、手を持って行く位置を身の回りの場所に変えて楽しむ。(例えば、pencase,text book,eraserなど)
(2)第2分科会 創作を楽しむ 舞台で演じる物語につながる劇遊び
絵本「どろぼうがっこう」(かこさとし・作/絵 偕成社・刊)を使って 野口祐之さん
① 抜き足差し足忍び足…どろぼうのように、音を出さずに歩く。音を出さないようにジャンプ。
② なりすまし…二人組になって「フォークとスプーン」「おはしと茶碗」など即興でなりすます。「逃げろ」で着席。
③ 今夜は月夜だ♪…どろぼうのバンダナと警察のバンダナをそれぞれ用意。円になって座る。バンダナを隣に人に渡していく。どろぼうのバンダナが回ってきたら「今夜は月夜だ。ばっちり盗むぜ。」と言って3回拍手して回す。警察のバンダナが回ってきたら「待て。警察だ。」と言って1回拍手して回す。バンダナがだんだん追いついていく。追いつかれたらアウト。
④ 拍手宝探し…探す人を決め、その人は室外に出る。室内に宝を隠す。探す人が入室し探す。みんなは探す人が宝に近づいたら拍手する。探す人はみんなの拍手や反応をヒントに宝を見つける。
⑤ 宿題の発表…何か盗んでくるという宿題が出たら、何を盗む?考えて発表する。
⑥ どろぼうがっこうの遠足…どこに行く?どんなことがある?最後は捕まる?参加者で遊びながら作る予定。
担当者から…題材を元に遊びながらふくらませていく。遊びを通して劇をつくっていく。その子がその子らしく演じることができる舞台づくりを目指したい。
参加者から…どろぼうは本来よくないものだから、架空のものをとるようにしたい。
絵本「うえへまいりまぁす」(長谷川義史・作/絵 PHP研究所・刊)を使って 西脇正治さん
① グループになり「架空のデパートのどんな売り場でどんなものを買うか」を3点考え、紹介し合う。その中から一つに絞り、寸劇を作る。
② 共通点探し…グループメンバーの見えない共通点を話し合いながら探す。
担当者から…見栄えだけではない。作る過程を大切にしたい。参加者が話す場を敢えて作るようにしたい。
参加者から…
・「上へまいります。」というせりふやエレベーターの「チーン」という音などを生かして、初めと終わりがはっきりするようにするといいのではないか。
・リフレクションで新しい案が出てくるところがいい。
・子どもたちのことを思い浮かべながら活動することができた。
・担当している中3の子どもたちは恥ずかしがるが、競争の要素を取り入れるとやる。
・とてもおもしろかった。
次回の定例会は8月30日(土)。保坂さんと森さんの脚本検討。夏期大学で参加者から出された課題、疑問などを取り上げ、「劇作食堂・表現活動市場」を行います。
文責:千野