QGISとMaxENTを使った分布予測の備忘録。
MaxENT:生物の在データ(どこで見つけた、という情報)と環境データを入れるだけでその生物の分布域を予測できちゃうすごいやつ。
QGIS:地理情報システムの閲覧・編集ができるフリーソフト。気温や標高といった環境データをMaxENTで使える形に編集するために使います。ここで書く内容のほとんどはQGISでのデータ編集です(これ以外のことは他のブログに詳しく載ってるので…)。 バージョンによってメニューバーが全然違うため独学だと苦労します…。ここではver.2.18を使っています。
なお、ここで紹介する内容はシンガポール国立大学Applied Plant Ecology Labの解説を大いに参考にしています。データセットも配布されておりとても分かりやすいので、ぜひご一読ください。
1. データの入手
GADMから地図データをダウンロードします。countryから解析対象の国(ここでは日本)を選択します。
WorldClimから環境データをダウンロードします。Bioclimatic variablesの30secondsを選択。このデータの中には19種の環境データが入っており、それぞれ以下のように対応しています。
BIO1 = Annual Mean Temperature
BIO2 = Mean Diurnal Range (Mean of monthly (max temp - min temp))
BIO3 = Isothermality (BIO2/BIO7) (×100)
BIO4 = Temperature Seasonality (standard deviation ×100)
BIO5 = Max Temperature of Warmest Month
BIO6 = Min Temperature of Coldest Month
BIO7 = Temperature Annual Range (BIO5-BIO6)
BIO8 = Mean Temperature of Wettest Quarter
BIO9 = Mean Temperature of Driest Quarter
BIO10 = Mean Temperature of Warmest Quarter
BIO11 = Mean Temperature of Coldest Quarter
BIO12 = Annual Precipitation
BIO13 = Precipitation of Wettest Month
BIO14 = Precipitation of Driest Month
BIO15 = Precipitation Seasonality (Coefficient of Variation)
BIO16 = Precipitation of Wettest Quarter
BIO17 = Precipitation of Driest Quarter
BIO18 = Precipitation of Warmest Quarter
BIO19 = Precipitation of Coldest Quarter
ついでに標高データもダウンロードしておきましょう。elevationの30secondsを選択します。
★重要
QGISは全角名のファイルを使用するとエラーを吐くことがあるため、ファイル名および格納場所は全て半角英数字を用いることをお勧めします (私もデスクトップ上のファイルに保存していて痛い目にあいました)。
2. データの読み込み・編集
まずは地図を表示させましょう。
QGISを起動して、「レイヤ」→「レイヤの追加」→「ベクタレイヤの追加」を選択します。
「ソース」の右端にあるブラウズから、先ほどGADMからダウンロードしたshpファイルを開きます。
フォルダ中にshpファイルは3つありますが、末尾が"_2.shp"となっているファイルを選びます。
すると、選択した国の地図が表示されます。さらに詳細な地域指定もできますが、それは参考サイトに解説を譲ります。
次に、表示した地図をすっぽり覆うような四角形(ポリゴン)を作ります。この四角形を使って後から環境データをトリミングします。
「ベクタ」→「調査ツール」→「レイヤ領域のポリゴン」を選択します。
入力レイヤは地図のshpファイル(最初から指定されているはず)、範囲は右端の「…」→「ファイルへの保存」を選択し、適当な名前を付けて保存します。
すると、地図をすっぽり覆う四角形が表示されます。
次に環境データをトリミングし、MaxENTで使える形式(ascファイル)に変換します。
「プロセッシング」→「ツールボックス」を選択するとQGISのウィンドウ右にツールボックスが展開されます。
ツールボックス中の「SAGA (2.3.2)」→「Vector<->raster」→「Clip raster with polygon」を選択。
ウィンドウが出てきます。Inputは右端の「…」から最初にWorldClimでダウンロードしたtifファイルのうち、使いたいデータの入っているファイル1つを選択、Polygonsは先ほど作った四角形を選択、Clippedは右端の「…」→「ファイルへの保存」で適当な名前を付けて保存し、最後に「Run」を選択します。
※ここで各ファイルの格納場所に全角名が入っているとエラーになります。
変換したい環境データの分だけこの作業を繰り返します。
3. MaxENTで分布予測
…の前に、解析対象の生物の調査データを用意しましょう。
種名、緯度および経度の情報が入っているcsvファイルを作ります。
MaxENTを起動し、Samplesに生物の調査データの入ったcsvファイルを、Environmental layersには環境データの入ったascファイル(ブラウズ時に「ファイルのタイプ」を「すべてのファイル」にするとascファイルが選べるようになります)を選択します。
あとは保存先を指定して「Run」を押せば結果が出力されるはずです。
予測結果は「plots」フォルダ内に格納されています。詳細な結果の見方については参考サイトをご覧ください。