令和7年11月28日(金)に開会した今定例会は、 12月23日(火)に閉会しました。
補正予算案17件、条例案16件、単行案5件、人事案1件を審議・可決したほか、請願2件、陳情12件を審査しました。
一般質問では、スタジアム整備やクマ対策について多くの質問があったほか、様々なテーマが取り上げられました。
補正予算案は、国の総合経済対策関連事業、物価高騰対応関連事業、ツキノワグマ被害防止対策事業、災害復旧関連事業のほか、秋田市ふるさと応援寄附金推進事業などが審議・可決されました。
市民生活に関連するものとしては、家庭ごみ処理手数料の引き下げに向けた検討状況が報告されました。来年7月からの引き下げに向けて、準備が進められています。
このページの下部に、議案などの資料へのリンクが掲載されていますので、ご利用ください。
沼谷市長が就任してからこれまで、新設とASPスタジアム改修の2つの案について、「Jリーグのスタジアム基準を満たすことができるか」、「新設よりもコストメリットがあるか」、「新設と同程度のスケジュールで整備できるか」という観点から、比較検討が進められ、今定例会で議会に説明がありました。
具体的には、5千人、7千人~8千人、1万人という3通りの施設規模について、新設と改修のそれぞれの場合の配置案を作成し、Jリーグと協議しながら、概算事業費や整備スケジュールなどを整理したものが示されました。
<改修を選択する合理的な理由はない>
ASPスタジアム改修案については、周囲の地下埋設物の移設等を行わずに、最大で約9千席程度のスタジアムに改修することが可能であるものの、整備費用は新設の場合とほぼ変わらず、国からの交付金などの財源の面からも、改修を選択する合理的な理由はないものと判断されました。
<5千人規模でも整備費はこれまでの想定を上回る>
一方で、新設の場合でも、設計費や八橋運動公園第2球技場の代替地整備などの関連経費も含めると、整備費用は5千人規模であっても、これまで想定していた90億円程度を大きく上回る約142億円となる見込みです。
<市が単独で整備した場合の財政負担>
仮に、県とブラウブリッツ秋田の負担なしで本市が単独で整備するとなると、建設中で毎年約4~8億円、建設後15年間は、維持管理費と公債費(借金の返済)で毎年約5億円程度の負担増となる見込みです。本市では、毎年度、財政調整基金などから一般会計へ補てんして予算の不足を補いながら、年度末に残った予算から、補てん額を上回る額を基金へ積立て・積戻しを行うこととしています。
本市が単独でスタジアム整備を進めた場合、基金への積増し額よりもスタジアムにかかる将来負担額が上回り、基金は減る一方の見通しとなってしまいます。財政健全化の観点からは、長期間に渡り毎年約5億円を負担することは難しいと言わざるを得ません。
本市では、ごみ溶融炉など市民生活に直結する大規模施設の更新や老朽化に伴う小中学校の校舎改築等も控えていることから、これまで県、市、ブラウブリッツ秋田の三者で議論されてきた1/3ずつの負担であっても、大きな財政負担になります。よって、仮に、公設で整備するとしても、本市が単独で事業主体となるのは無理があります。
<市の歳入の見通し>
本市は、人口が30万人を割ったために事業所税を課税できなくなります。その減収分は地方交付税交付金で一部賄われますが、差し引きすると約4億円程度の減収となる見込みです。また、地方交付税交付金は人口の数を加味して計算されるため、人口減少が続く見通しの本市では、地方交付税交付金は徐々に減少していきます。
<維持管理費>
ASPスタジアムは、改修という選択肢がなくなったことから、施設の耐用年数や現在の利用状況から考えると、これまでどおり使用していく必要があり、ASPスタジアムに加えて、新たなスタジアムの維持管理費までも本市が負担するのは、現実的ではないと考えられます。
<3者協議に臨む市の方針>
こうした検討結果を踏まえ、市としての方針が次のとおり示されました。今後、この方針に沿って、県およびブラウブリッツ秋田と協議していくことになります。
・整備費用がほぼ変わらず、国の交付金等も新設の場合が有利であることから、ASPスタジアムの改修は行わず、今後も維持する。
・五千人規模であっても財政的な負担が大きく、仮に公設で整備するとしても、本市が単独では事業主体とならない。
・ASPスタジアムについては、これまでどおり維持していく必要があることから、新たなスタジアムの事業主体とならない場合、原則として、新たなスタジアムの維持管理費は負担しない。
協議の行方を見守りますが、スタジアム整備が実現するような結論に至るのは難しいのではないでしょうか。
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<クマ被害防止緊急対策>
10月29日には、県内市町村に先駆けたクマの狩猟に対する報奨金の創設をはじめ、猟友会の出動、報酬の増額、箱わなや自動撮影カメラの増設、公務員ハンターの募集・採用、通学を含めた児童生徒の安全確保を盛り込んだクマ被害防止緊急対策を取りまとめられました。
この緊急対策のもとで、クマの捕獲・狩猟が着実に進んでおり、今冬にクマの行動圏を押し戻し、人間の生活圏との境界線の再構築をしていきたいところです。
<秋田市危機管理対策本部の設置>
11月5 日には、過去に例を見ないほど出没が続き、人身被害が相次いでいる事態を災害レベルと重く受け止め、沼谷市長をトップとする秋田市危機管理対策本部が設置されました。
<公務員ハンターの採用>
公務員ハンターについては、令和8年4月からの複数名の採用に向け、全国からの公募を行います。
<地域経済対策>
独自に商店街・商工団体や観光事業者等への聞き取り調査を行い、クマ出没に伴う地域経済への影響の把握に努め、国のクマ被害対策パッケージを踏まえ、必要な対策を検討し、令和8年度に向けて本市としての総合的な対策を示すこととしています。
また、年度内に実施可能なものについて、補正予算案が提出され、可決されました。
<国・県との連携と要望>
国に対しては11月25日に、東北市長会を通じて、クマの個体数の管理強化、クマの捕獲を行う人材の確保・育成と体制の強化、市町村への財政支援の拡充等を要望しています。
今後県が設定することとしているゾーニング管理の区域を踏まえ、本市において「管理強化ゾーン」を設定し、春期の捕獲体制を強化するなど、引き続き、国・県と連携しながら、地域の実情を踏まえた対策を着実に進めていきます。
今定例会で可決されたクマ対策事業の補正予算は、以下のボタンからご覧いただけます。
大森山動物園の入園料については、令和5年11月定例会において条例案が否決されたことから、動物園を将来に渡って安定的に維持運営し発展させることと、市民負担の適正化とのバランスをどのように図るべきか検討が進められてきました。
その結果、次のようになりました。
高校生以下の子どもは、市内市外の区別なく、現行の無料を継続する。
大人料金は、他の公立動物園の料金等を参考に1,000円とする。(旭川市旭山動物園、盛岡市動物公園と同額)
70歳以上の市民については、本市の「老人保健福祉月間(9月)」は無料期間とする(現在は通年無料)
また、年間パスポートは、平成14年度に年間パスポートを設定した当初と同様の比率である当日券の2.4倍の2,400円となります。現在ほとんど利用されていない回数券は廃止されます。
この改正は、令和8年4月1日から実施されます。それ以前に購入した入園券や回数券は、4月1日以降も使うことができます。
大森山動物園、入園料値上げへ 高校生以下は無料を維持 年間パスポートは2倍近くの金額に
(AKT秋田テレビ)
令和7年11月21日に大森山動物園でクマが脱走した事案について、クマによる被害が続く中、市民の皆様をはじめ、多くの方々にご迷惑とご心配をおかけしたことについて、本会議において市長説明の際に、また教育産業委員会において関連部課長からおわびがありました。
幸いにも人的な被害はなく、クマは同日中に捕獲されましたが、原因の究明や安全管理体制の再確認等のために一時休園し、再発防止策を徹底した上で、脱走・捕獲から5日後の26日から動物園が再開されました。
脱走の原因は、翌日からのイベント開催に向けて、展示場において落ち葉などの清掃を行った際、その搬出のために普段使わない扉を使用し、その施錠を失念したことによるものであり、動物園の運営においてあってはならない今回の事案を重く受け止め、今後このような事案が起こらないよう、安全管理・再発防止を徹底するとのことでした。
動物園脱走クマ「鍵を掛け忘れた」
(ABS秋田放送)
大森山動物園、5日ぶりに営業再開 クマ脱走で一時休園 園長「安心して楽しんでもらえる動物園目指す」
(AKT秋田テレビ)
クマ脱走の秋田市の動物園が営業再開 脱走したルビーも元気な姿 「安心して楽しめる園を目指す」
(AAB秋田朝日放送)
本市では、平成24年7 月に、1 リットル当たり1 円の家庭ごみ処理手数料を徴収する有料化制度を導入し、ごみ減量を推進するとともに、環境施策の充実等を図ってきました。
導入から13年が経過し、ごみ減量や有料化の重要性は変わらないものの、ごみ減量の取組の着実な推進により、一人1 日当たりの家庭系ごみ排出量が令和7年度までの減量目標をさらに下回る成果をあげていることや、この間の物価上昇をはじめとする社会経済情勢の変化、東北の県庁所在市のごみ袋価格の状況なども踏まえ、家庭ごみ処理手数料の引下げに向けた検討が行われています。
引下げに当たっては、ごみ処理広域化の検討状況などを踏まえ、将来にわたって持続可能なごみ処理体制を維持できるよう十分に配慮して進めることとしています。
<引下げ額>
有料化を実施している東北県庁所在市と比較し、本市のごみ袋価格が最高額であることを踏まえ、手数料の引下げ額を決定します。
<ごみ減量の数値目標>
手数料を引き下げる場合であってもさらなる減量を目指した設定とします。
<スケジュール>
令和8年2月定例会に条例の改正案と関連予算案を提出し、可決されれば4月から市民・事業者への周知を始め、7月から手数料の引き下げを実施できるよう進めていきます。
原材料の価格高騰等の影響により売上(収益)が減少した市内の飲食店を支援するため、キャッシュレス決済によるポイント還元事業が実施されます。
紙のクーポン券については、これまでも事務費が高過ぎるとの批判が多かったことや飲食店の事務手続きの負担が大きいことから、今回は見送られました。
概要
対象となる飲食店でQRコード決済を行った利用者に対し、支払代金の20%(1回あたりの上限2,000円)をポイントで還元します。
実施期間
令和8年2月中旬頃から5月まで(還元総額2億円に達し次第終了します)
実施期間内の上限額
還元額の上限は5,000円分
対象店舗
市内の飲食店1,600店程度(大手4社のコード決済を利用している店舗)
対象となるコード決済事業者
予算成立時点で、PayPay、D払い、auPAY、楽天ペイを想定しています。
今定例会の一般質問では、スタジアム整備やクマ対策について多くの質問がありました。その他、道路の除排雪や財政、空き家対策、外旭川地区のまちづくり、中心市街地の活性化、交流人口の拡大、シビックプライドの醸成、公共交通、災害時の支援、千秋公園の魅力向上、児童生徒の健全な育成、地域の諸課題など多くのテーマについて質問がありました。
下の青いボタンから、今定例会の一般質問のページ(秋田市議会WEBサイト)にアクセスできます。質問内容の詳細は、一般質問のページ下部の「質問項目」欄にPDFファイルで掲載されていますので、そちらからご覧ください。
なお、藤田は9月定例会で一般質問を行いました。次回は令和8年6月定例会の予定です。
下の青いボタンから、 今定例会の各種資料が掲載されたページ(秋田市議会WEBサイト)にアクセスできます。
予算関係の資料は、PDFファイルに直接リンクしています。
各議案、請願・陳情に関する議員の表決の状況は、下の青いボタンからご覧いただけます。PDFファイルに直接リンクしています。