・廃棄物のエネルギー化
・水質浄化
・水素燃料の生産(電気分解)
私たちは日々、食物を消化することで「エネルギー」を得ています。生物が食物(有機物)を分解して発電するしくみは「生体電気」と呼ばれています。たとえば、日本で年間に排出される下水には、新型原子炉6.5基分に相当するエネルギー(約6.5GW)が含まれているとされています。私は、このような生物の力で電気を生み出す「バイオ燃料電池」において高い発電性能を追求するとともに、農業や海洋といった分野に特化した応用方法を提案し、バイオ燃料電池の社会的な普及に取り組んでいます。
・産業副産物を利用した生態系の創成
・干潟の炭素隔離仕組みの解明
・人工干潟の造成技術
海の中でも、光合成を行う植物が生息する干潟や浅場は、炭素隔離効果が最も高い地域とされています。日本国内では、海の生態系を再生する取り組みの一環として、多くの人工干潟が造成されてきました。しかし、これまでに造成されたすべての人工干潟で、必ずしも動植物がうまく定着しているとは言えません。その原因の一つとして、「貧栄養化」と呼ばれる栄養分の不足現象が挙げられます。産業副産物である石炭灰や鉄鋼スラグは、多量のミネラルを供給するだけでなく、水中の栄養塩を吸着することで、地盤の貧栄養化を抑制する効果が期待されています。干潟造成に用いる材料は、定着する動植物の種類にも影響を与えるため、材料選定は非常に重要です。私は生態系の再生を通じて温室効果ガスの削減に貢献したいと考えています。
・富栄養化問題
・酸素枯渇問題
・悪臭問題
人間社会によって排出される下水には、多量の有機物(微生物の餌)が含まれています。微生物は人間と同様に酸素を消費(呼吸)し、老廃物を排出するため、海では酸素不足や悪臭(老廃物の生成)といった水質汚染を引き起こす原因となります。本研究では、先ほどご紹介した「微生物燃料電池」と「産業副産物」を利用して、海をきれいにする研究を行っています。