日時:2025年9月21日(日)
場所:京阪寝屋川市駅前 アルカスホール
〈プログラム〉※演奏曲目は予定です
【第1部】コンサートミストレス:後村 啓子
•バレエ組曲『コッペリア』より 「前奏曲とマズルカ」 L.ドリーブ作曲/松本 譲編曲
•杜の鼓動 ~魂の還る場所~ 丸本 大悟作曲
•『もののけ姫』より アシタカ せっ記 久石 譲作曲/石村 隆行編曲
•シンフォニエッタニ短調 U.ゼッピ作曲
【第2部】コンサートマスター:三島 弘孝
•交響的行進曲「凱旋式」 G.マネンテ作曲
•綺想的間奏曲 A.アマデイ作曲
•交響曲「ジェノヴァに捧げる」 U.ボッタキアーリ作曲
I. Largo Patetico
II. Allegro non troppo
III. Andantino mosso
IV. Allegro con brio(Scherzo)
〈メンバー〉
【マンドリンパート】
後村 啓子 今井 和子 織田 慶子
新畑 宙子 三島 弘孝 山口 裕子
【マンドラパート】
岡 正夫 西浦 裕美
【マンドセロパート】
田島 康成 大原 有樹子(賛助出演)
【ギターパート】
大島 一晃 百々 正、吉田 豊誠
【マンドローネパート】
眞鍋 高広
member's instrument
曲目解説
バレエ組曲『コッペリア』より 「前奏曲とマズルカ」 L.ドリーブ作曲/松本 譲編曲
パリで活躍したレオ・ドリーブ(1836-91年)はE・T・A・ホフマンの怪奇短編小説『砂男』を原作に、そこにエンターテイメント色を盛り込んだバレエ『コッペリア』(1970)を発表します。ナポレオン三世、第二帝政の頃のことです。その洗練されたきらびやかな管弦楽法は、 色彩感にあふれたすぐれたもので、 チャイコフスキーの三大バレエに影響を与えました。今回の演奏会では「前奏曲とマズルカ」をお届けします。マズルカは第1幕で踊られる、ポーランドの民族舞踊を基にした活気のある踊りです。このバレエ「コッペリア」のストーリーを紐解いてみましょう。
第1幕
場所はポーランドの農村 ーー
人形作り職人のコッペリウスが作ったからくり人形の少女コッペリア、明るく無邪気なスワニルダの恋人フランツはかわいらしいコッペリアが人形とは知らずに気になっています。ある時コッペリウスは町に出かけようとしますが、家の前に鍵を落とし、それに気づいたスワニルダは好奇心からコッペリウスの家に侵入します。
第2幕
コッペリウスの家 ーー
侵入したスワニルダは室内を探索しコッペリアが人形だったと気づきます。そこへコッペリウスが帰ってきますが、スワニルダは室内に身を隠します。そこへフランツもコッペリア会いたさのために梯子伝いに窓から忍び込んできますがコッペリウスに見つかってしまいます。懲らしめのためコッペリウスはフランツに眠り薬を混ぜたワインを飲ませます。その一部始終を見ていたスワニルダは、コッペリアになりすまして、コッペリウスを散々からかい悪戯の限りを尽くします。この大騒ぎにフランツも目を覚まし、コッペリアの正体を悟ってスワニルダと仲直りします。
第3幕
村の祭りの日 ーー
仲直りしたフランツとスワニルダは、めでたく結婚の日を迎え、賑やかな祝宴が始まります。そこにカンカンに怒ったコッペリウスが怒鳴り込んできますが、二人の謝罪と村長のとりなしによって彼も機嫌を直して、二人を祝福し、祝宴も本番となり種々の踊りが続き、最後は登場人物全員によるギャロップによるフィナーレを迎えます。
『もののけ姫』より アシタカ せっ記 久石 譲作曲/石村 隆行編曲
「アシタカ せっ記」は、久石譲によって作曲された『もののけ姫』の美しい楽曲です。 この曲は、映画の中でアシタカの旅や物語の重要なテーマを表現しています。
『もののけ姫』は、呪いを受けた青年アシタカと、山犬に育てられた少女サン(もののけ姫)を中心に、人間と自然との対立と共存を描いた物語です。舞台は中世の日本、アシタカは村を襲ったタタリ神を討伐するものの、自ら右腕に呪いを受けてしまいます。呪いを解く手段を探すため、西の地へ旅立ったアシタカは、タタラ場という製鉄所に辿り着きます。ここで、彼は自然を破壊する人間たちと、それに抗う森の生き物たちとの壮絶な戦いに巻き込まれていきます。
「せっ記」とは「草に埋もれながら人の耳から耳へと語り継がれていく物語」を意味する宮崎駿監督による造語です。ちなみにこの「アシタカ せっ記」は宮崎駿監督が「もののけ姫」の正式タイトルにしようとしましたが、鈴木敏夫プロデューサーが「もののけ姫」で押し通したというエピソードがあります。
杜の鼓動 ~魂の還る場所~ 丸本 大悟作曲
「杜の鼓動」は、自然や故郷の情景を取り込みつつ、時間や空間の移り変わりを音楽によって表現しており、感情豊かで親しみやすい作品です。作曲者の丸本大悟さんは、当作品を通じて震災前の仙台や東北地方の復興への願いを音楽に込めています。
杜の鼓動は、「欅の風景」「魂の還る場所」「街の灯」の3つの楽章で構成されていますが、今回は「魂の還る場所」を取り上げました。本曲は精神的な側面や安らぎを表現しており、心に響くメロディーと共に静かで幻想的な雰囲気が漂い、この音楽の世界に聴く者を引き込みます。
第一楽章の「欅の風景」はエル第10回定演で演奏しましたがこの時は新型コロナの影響で無観客での演奏でした。今回は「魂の還る場所」を有観客でお届けする予定です。
シンフォニエッタニ短調 U.ゼッピ作曲
作曲者のウンベルト・ゼッピ(1890-1978)はイタリアの作曲家・ヴァイオリニストで、生地コモのマンドリン・ギター合奏団「フローラ」の指揮者も務めました。同合奏団ではアリーゴ・カッペルレッティも指揮者を務めており、合奏団のために作曲した作品「マンドリン讃歌 フローラ」があります。
本作品は1952年に開催された同合奏団創立60周年記念国際合奏コンクールの課題曲です。管弦楽のための小交響曲として作曲されましたが、作曲者自身の手でマンドリン・ギター合奏のために編曲されました。
交響的行進曲「凱旋式」 G.マネンテ作曲
ジュゼッペ・マネンテは1867年、イタリアのサンニオ・モリコーネに生まれました。幼いころから音楽を好み、ナポリやローマの音楽院で学びます。その後、歩兵第六十連隊の軍楽長を拝命、「交響的間奏曲」「今と昔」など作曲、1903年に歩兵第三連隊の軍楽長の時に「降誕祭の夜」「国境なし」「華燭の祭典」を作曲し賞賛を浴びました。この頃よりマンドリン音楽にも興味を持ち、「マンドリン芸術」「メリアの平原にて」「秋の夕暮」などマンドリンの名曲も多く作曲しました。
最晩年の「白鳥の楽園」は作品番号446であり、本曲「凱旋式」は作品番号439から晩年の作品と思われます。
綺想的間奏曲 A.アマデイ作曲
アメデオ・アマデイは1866年、イタリアのロレートに生まれました。マンドリン合奏の作曲は1897年頃より始めていますが、ミラノのイル・プレットロ誌主催の作曲コンクールで1906年の「マンドリン讃歌プレクトラム」で受賞、1908年には「海の組曲」が第一位の栄誉を得ました。ちなみにこの時の第三位はマネンテの「メリアの平原にて」であり、マネンテと同時代に活躍したマンドリン作曲家です。本曲は1906年に創刊されたイル・プレットロ誌の25周年を記念して贈られたものです。
交響曲「ジェノヴァに捧げる」 U.ボッタキアーリ作曲
ウーゴ・ボッタキアーリは1879年にイタリアのマチェラータ・カステルライモに生まれた作曲家です。幼少期より両親よりマンドリンを与えられ音楽に親しみ、1899年の歌劇「影」の成功により一躍新人作曲家として有名になりました。
本曲「ジェノヴァに捧げる」はジェノヴァの作曲コンクールにおいてマネンテの「マンドリン芸術」を抑えて第一位になった作品です。但し、「マンドリン芸術」の楽譜は出版されて広く知れ渡ったことに対し、「ジェノヴァに捧げる」は第四楽章を除き出版されなかったため幻の曲となっていました。マンドリン音楽家、指導者、編曲者の石村隆行さんによって楽譜が発見され、1994年にALBUM PHILODOLINOに掲載されました。ボッタキアーリ26歳ころの作品として初めてのマンドリン作品として後に発表される数々のマンドリン曲を予感させる曲想となっています。
※曲目解説はWikipedia、オザキ譜庫管理委員会様、エストゥディアンティナ フィロドリーノ ディ キョウト様、及び同志社大学マンドリンクラブ様の資料を参考にさせていただきました。