光を用いる科学研究において、レーザー光源は欠かせない基盤技術です。最先端の物理現象を解明するためには、既存の装置では到達できない、極限の性能を持つ光源が求められます。当研究室では、物理探索の目的に合わせて最適化された次世代レーザーの設計・開発を行っています。特に以下の光源に注力し、未踏の光技術を切り拓くことを目指しています。
GHz級高繰り返しパルスレーザー: 高速な現象のサンプリングや周波数計測の精密化、光量子情報処理の高速化を実現します。
ハイパワー超短パルスレーザー: 極限的な光強度が求められる非線形光学や高次高調波発生を支えます。
超低雑音レーザー: 究極のコヒーレンスを追求します。
繰り返し周波数15 GHzのフェムト秒レーザー (M. Endo et al., Opt. Express (2015))
光を用いた量子情報処理は、近年急速に発展を遂げている極めて重要な分野です。光の量子性を最大限に活用する「光量子コンピュータ」の実現には、特殊な光の量子状態を、極めて高い純度で生成する技術が不可欠となります。当研究室では、スクイーズド真空場、量子もつれ状態、Schrödingerの猫状態、光子数状態、そして量子誤り訂正の鍵となるGKP(Gottesman-Kitaev-Preskill)量子ビットといった、多様な量子状態を高精度かつ高確率で生成することを目指しています。さらに、状態生成にとどまらず、それらをリソースとした超高速光量子計算や量子誤り訂正の原理検証など、実用的な光量子プロセッサの実現に向けた応用研究を強力に推進していきます。
Schrödingerの猫状態がオシロスコープで測定されている様子
特殊な光の量子状態の応用先は、情報処理に留まりません。当研究室では、これまで培った光制御技術を物性物理学へと展開します。スクイーズド光やSchrödingerの猫状態などの非古典光を物質へのプローブや制御手法として用いることで、従来の光では観測不可能な新奇現象の解明に挑みます。光の量子統計性や相関を積極的に活用し、光と物質が高度に融合した新たな「量子光物性」の創出を目指します。
光の量子状態生成のセットアップ例