コレラ毒素の細胞内での輸送における詳細な制御機構を解明!(150705)

投稿日: 2015/07/05 10:19:36

Transport of cholera toxin B-subunit from recycling endosomes to the Golgi requires clathrin and AP-1.

*Matsudaira T, *Niki T, Taguchi T, Arai H.

J Cell Sci. in press *co-first authors

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26136365

細胞内でのコレラ毒素の逆行性輸送の詳細なメカニズムについて、修士課程2年の仁木君と博士課程2年の松平君が明らかにしました。

細胞は外部から取り込まれた物質を的確に選別しながら輸送し、分解や再利用を行うことで恒常性を維持しています。近年、分解や再利用を行う細胞内物質輸送とは別に、細胞膜・エンドソームからゴルジ体へとタンパク質・脂質などを運ぶ輸送(逆行性輸送)が発見され、分化・発生に必須な第三の輸送経路として注目されています。当研究室では世界に先駆け、細胞内小器官の1つであるリサイクリングエンドソーム(RE)が逆行性輸送において輸送の中継地として機能していることを見出し、REに局在するタンパク質 (evectin-2, SMAP2, クラスリン, AP-1) が協調して働くことが、REからゴルジ体への正常な逆行性輸送に必須であることを示しました。また、外来毒素であるコレラ毒素がREを通過する逆行性輸送を利用していることを示し、その輸送制御メカニズムの一端を明らかにしました。

本研究は、未だほとんど解析の進んでいない逆行性輸送の新たな機能・輸送制御メカニズムを示すとともに、逆行性輸送の生理学的および細胞生物学的意義を解明するための大きな一歩になると期待されます。