17th International C. elegans Meetingで李賢哲君が最優秀ポスター発表賞を受賞!(090701)

投稿日: 2011/12/13 8:50:06

6月24-28日にかけて、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で「17th International C. elegans Meeting」が行われました。本学会は線虫C. elegansをモデル生物として研究を行っている全世界の研究者が集う研究集会であり、2年に1度、西暦奇数年に開催されています。今回の学会においても約1200の演題が発表され、連日深夜まで活発な議論が繰り広げられました。

本学会では各分野の専門家がポスター発表(約1000演題)を審査し、優秀な発表にポスター賞が贈られますが、今回の学会では当研究室の博士過程2年、李賢哲君が「Cell Biology(オルガネラ、小胞輸送)」の研究部門において、「First prize(最優秀ポスター発表賞)」を受賞しました。発表の題名は「mboa-7 is required for selective incorporation of polyunsaturated fatty acids into phosphatidylinositol in C. elegans」で、線虫を用いた遺伝学的スクリーニングにより、ホスファチジルイノシトール(PI)にアラキドン酸などの高度不飽和脂肪酸を導入する脂肪酸転移酵素を発見したという内容です。

PIはグリセロール骨格のsn-3位に結合したイノシトール環がリン酸化されることによりホスホイノシタイド(PIPs)が産生され、細胞内小胞輸送やオルガネラ形成など様々な生命現象に関与することが知られています。PIはsn-1位と2位に結合する脂肪酸に関しても特徴的な脂肪酸組成を持つこととが知られていますが、本研究では線虫を用いた生物学的なスクリーニングにより、この脂肪酸組成を決定する酵素を同定しました(News:「ホスファチジルイノシトールはなぜ特殊な脂肪酸組成なのか? ~ 解明の糸口を発見! ~」を参照)。線虫の表現型を利用したユニークなスクリーニング系(遺伝学的解析)と生化学的解析を組み合わせた方法論が線虫研究者にも評価されたものと考えています。

学会ホームページ:http://www.celegans.org/