ホスファチジルイノシトールはなぜ特殊な脂肪酸組成なのか?解明の糸口を発見!(080730)

投稿日: 2011/12/13 8:12:56

Mol. Biol. Cell, 19, 1174-1184 (2008) C. elegans mboa-7, a member of the MBOAT family, is required for selective incorporation of polyunsaturated fatty acids into phosphatidylinositol. Lee H.-C., Inoue T., Imae R., Kono N., Shirae S., Matsuda S., Gengyo-Ando K., Mitani S. and Arai H.

生体膜を構成するリン脂質には2本の脂肪酸が結合しています。主要リン脂質であるホスファチジルコリンには、飽和、不飽和を含めて様々な脂肪酸が結合していますが、細胞内のシグナル伝達等に重要なホスファチジルイノシトールには、ステアリン酸とアラキドン酸を結合した分子種がほとんどを占めています。しかし、そのような分子種が如何に合成されるのか、またホスファチジルイノシトールのみ何故そのような分子種でなければならないのか、という問題はこれまで全く解明されていませんでした。私たちは、線虫(C. elegans)を用いた遺伝学的スクリーニングにより、ホスファチジルイノシトールにアラキドン酸を導入する酵素を世界で初めて同定しました。今後、この遺伝子をノックアウトすることで、ホスファチジルイノシトールの特殊な脂肪酸組成の生物学的意義を初めて解明できると考えています。