英語で論文を書く
日本語を直訳しても英語の文章にならないことを知る
訳せばOKは,大きな間違いです,日本語単語と英語単語は一対一対応じゃない!
その意味を含んでいるけどど真ん中ではないことはよくあります
単語帳で覚えた程度の知識ではNGです。必ず英英辞典等で意味(ニュアンス)を調べる
似たような単語の場合には,検索エンジンで「〇〇,〇〇,違い」「〇〇,〇〇,difference (distinction)」と調べれば意味の違いを解説してくれているウェブサイトが見つかります
最終目標は日本語の英訳ではなく,自然な学術英語を書くことです
Google scholar(検索エンジン)で英語表現が正しいかをチェックする
自身が使用する単語の組み合わせ,文法などをネイティブが使っているかどうかをチェックする
学習には,真似をする(コピペはダメ)ことが大事
ダブルクオーテーション""で囲むと,ばらばらの単語としてではなく,その順序で出てくる語句を検索することができる
アスタリスク * は単語一個分のワイルドカード
一般的な表現であればGoogleで検索してもよいが,分野を絞りたいときにはGoogle scholarが断然よい
ヒット件数はGoogle scholarより少なくなるが,PubMedなどを使用しても,もちろん良い
さらに,雑誌や年代で絞るのもよい方法(時代によって常識や表現法は異なる)
たとえば ["the present study tested the hypothesis that"]で検索すると5000件くらいヒットするので,使ってもよさげな表現であることがわかる。これにpsychology を加えて ["the present study tested the hypothesis that" psychology]と検索しても1500件ヒットする。まあいいと思う。
ひとつだけを試すのではなく,何パターンか試すことが大事
the present studyをthe current study や this study,weに変えたり,testedを他の単語に変えたりしてどの程度ヒット件数が変化するか見てみよう
ノンネイティブ(特に日本人などのアジア圏)の論文ばかり目立って引っ掛かる場合には確実に間違った表現なので無視する
英語が苦手な人ほど,検索に時間をかけましょう
機械翻訳は使ってもいいけれどそこからの作業こそが大事
最近の機械翻訳はとても優秀であり,下手な人の英語よりは綺麗な英語を作成してくれます
しかし,特に学術論文における単語の使用は”いい感じの文章ができればOK”では済みません
学術論文では常に厳密な単語の使用が求められます
日常では許される範囲の単語の言い換えであっても,許されない場合が多いです
現時点では機械翻訳を使っても,それは正解ではありません。行程の1割が進んだ程度,と認識してください
現状のシステムでは修正すべき箇所の方が多いです
とはいえ,なんでも試してみるのはよいこと。手数が大事です
何を使ったっていいですが,とりあえずDeepL貼っておきます
英語で論文が書けない人は日本語でも書けていません
「日本語では書けるのに」って?そんなことはありません
日本語では書けるのにな,って人は,得意な日本語でごまかしているだけです。論文=論理的な文章が書けないのです
最悪,日本語で超論理的な文章が書けていれば,極端な話,英語論文は機械翻訳に任せたっていいと思います
しかし,このウェブサイトを読んでいるようなあなたは,まあ無理です
英語論文を書く過程によって論理が洗練されることが多々あります
これは,日本語でごまかしてた「論理」が通用しなくなるためです。これに気づくことが大事です
英語は日本語じゃありません,そしてあなたは日本語に熟達した日本人です
日本語に熟達した日本人は,曖昧な言い回し・どのようにも取れる単語を技巧的に使用することができます
読む側もそうです。ある程度までは苦もなく読めてしまいます
これをそのまま英語に直訳すると,恐ろしいことになります
普通の人(あなた)が書いた日本語は,「直訳」してはいけません。意味まったく通らないからね
曖昧さを省いた表現を用いる試みの第一歩
日本語の段階でカッコ良い言い回しはすべて捨て,できるだけ事実のみに焦点を当てましょう。
事実とは,たとえば「10回連続して試行をおこなったら,7回目に反応時間が一番遅かった」とか。そういう表現です。
これを,「10回連続して試行をおこなったら,7回目に反応時間のピークに達した」と書いたときには,かっこいいんですが,書き手の「解釈」に基づく曖昧さが混入します。ピークって何?達したって何?このような表現をする際には,おそらく書き手は書かれていないことを仮定しているはずです。徐々に遅くなっていったとか,「ピーク」の後に早くなる傾向があったとか。でも,本当にそれは事実ですか?事実だったらOKです。ただし,そうはっきりと書いてください
あるフレーズをネイティブが使っているのを見つけたからといってOKとはしない
文章にも,文脈というものがあります
「フレーズが存在する」ことは,あなたがどこにでもそのフレーズを使っていい,というお墨付きにはなりません
ある現象を表現するときに誰もが使う,できるだけ一般的な表現を探しましょう
文法を修正してくれるソフトウェア
Ginger
インストールするとWord等に入力した文章をチェックしてくれる
優れた文章にはならないが,誰か(指導教員とか先輩とか)に見てもらう前に,これくらいはマナーとしてかけるべき
マナーとしては,Wordの英文校正機能も併せて使おう
提案されたものすべてを受け入れる必要はない
毎日,一定単語数まではフリーで使用できる
論文の言葉づかい(共起表現)を探してくれるサイト
逐次PubMed表現検索 inMeXes
ライフサイエンス辞書
Langsmith:論文の文章を学習させたデータベースによって,論文っぽい文章を提案してくれる
Online OXFORD Collocation Dictionary
Hyper collocation:arXivに収録されている 英語論文から例文を検索するための検索エンジン
英語論文の書き方
ワールド翻訳サービスが提供しているコラム。相当のボリュームがあります。役立ちます。
アカデミックライティングについて色々な資料
Hartley and Sheridan: Resources for writing academic English when English is not your first language
第二言語でアカデミック英語を書くときの資料たくさん載っている
全体的なものもたくさんありますが,そこから日本に特化したものをピックアップすると↓
Casanave, C. P.(1998). Transitions: The balancing act of bilingual academics. Journal of Second Language Writing, 7, 2, 175-203.
Okamura. A. (2006). Two types of strategies used by Japanese scientists when writing research articles in English. System, 34, 68-79.
Barron, J. P. et al. (2005). A survey of medical journal publishing in Japan: Editorial board structure, review systems, and ethics.European Science Editing, 31, 3, 79-80.
Harrison, B. et al. (2006). A survey of medical journal publishing in Japan: Language of publication and trends in publishing formats. European Science Editing, 32, 2, 39-42.
Useful websites
COPE (Committee on Publication Ethics). 研究倫理について
EASE Guidelines for authors and translators:英語で出版する科学論文の著者・翻訳者向けEASEガイドライン 【日本語PDF】
European Association for Teachers of Academic Writing (EATAW)が提供しているアカデミックライティングに関するResources
European Medical Writers’ Association (EMWA):ここにもResourcesのページあり
International Society of Managing and Technical Editors (ISMTE):ここにもResourcesのページあるけど登録必要