研究会の紹介

設立の趣旨

 2012年11月、慶應義塾大学で国際人権法学会の第24回研究大会が開催されました。ここで巡り合った数名の大学院生やポスドクが、今後の人権や人権研究の発展のためには若手を主体とした人権研究会が必要ではないかと話し合い、提案されたのが若手人権問題研究会の設立です。 

 研究会が正式に発足する2013年は、世界人権宣言が採択されてから65年という節目の年にあたります。人権は、世界人権宣言が採択された時期には「低次の政治問題」としてしか位置付けられていませんでした。しかし、今や人権は(実態はどうであれ)すべての国が守るべき基準として法的にも承認され、実践することを強く促されています。2013年は、国際人権法学会が設立されてから25年目の節目でもあります。学会は、「より系統的より学際的に、内外の連結を密にして、情報や知識や研究や持てる力を交換し、研究者も実務家も共に、一つのものを築き上げるべきとき」だと信じて1988年に設立されました。いまや会員数も200名を越え、「国際人権法」という一つの体系があることが躊躇なく語られるようにもなりました。 

 しかし、若手の人権研究者や実務家同士のネットワークが十分に形成されているとは言い難いと思われます。将来にわたって人権及び人権研究を進歩させ続けたいと考えるならば、それを担うべき若手のネットワーク構築は急務です。そこで、以下のような方針に基づき、研究会を設立したいと考えました。 

1.   すべての人権研究者や人権実務家を含んだ人的ネットワークを構築する。

2.   若手人権研究者や人権実務家のスキルを向上させる。

3.   人権及び人権研究の進歩に貢献する。

 第一に、人権が実践的な概念であることを考えれば、研究と実務が相互に影響を与え合い、高めあっていけるようなフォーラムが必要です。研究会は、多様な若手の人権研究者や人権実務家の交流と情報や意見の交換の場を提供することができます。

 次に、このような交流を通じて、若手人権研究者や実務家のスキルを向上させたいと考えています。国際法や憲法に留まらず、政治学や社会学など多様な分野に在籍する若手研究者を結集することで、これまでの人権研究の幅を広げ、より総合的な研究を行っていくことも期待されます。実務家は研究の成果を実務に反映させることができる一方で、実務家の経験を研究者に伝達することで、研究者はより実践を踏まえた研究を行うことができると思われます。

 こうして、結果として人権及び人権研究の進歩に貢献することができれば、研究会の目的は達成されたことになります。

活動計画

 以上の基本方針に従って、研究会の活動として、具体的には(1)勉強会や報告会、講演会などのイベントの実施、(2)国際人権法学会研究大会への参加、(3)会員相互の情報交換や交流などを行います。 

(1)イベント(勉強会・報告会・講演会)の企画・実施

 会員が全国に散らばっていることを考慮すると、ある程度地域ごとに研究会を実施する方が現実的だと思われます。現在、東京と大阪を拠点に勉強会等を実施することを計画しています。勉強会は、基本的に会員の方から発表を希望された場合に、随時開催するというスタイルにしたいと考えています。 

(2)国際人権法学会研究大会への参加

 毎年11月に行われる国際人権法学会の研究大会に参加することを考えています。具体的には、東西の合同研究会ないしポスターセッションの実施を行うと同時に、新幹事の選出も行う予定です。 

(3)会員相互の情報交換や交流

 メーリングリストなどを通じて、イベントの告知や情報提供、意見交換などを行っていきたいと考えています。また、研究会の後には懇親会を行うなどして、対面式の交流も深めたいと考えています。

幹事メンバー

秋山 肇(代表幹事)

鈴木 孟(副代表幹事)

猪口 絢子(幹事)

島本 奈央(幹事)

中尾 元紀(幹事)

根岸 陽太(幹事)

吉田 曉永(幹事)

植田 晃博(発起人)