廃食油などの食品廃棄物や木くず・竹粉など木質系廃棄物を,クリーンな液体燃料に転換する小規模分散型の革新的なバイオマス廃棄物油化装置を開発しました。
廃食油,パーム廃油,牛脂残渣の3種類の原料を対象に油化試験を実施しました。以下の写真は,それぞれの原料油と生成油です。
左から廃食油,生成油,パーム廃油(固化),生成油,牛脂残渣(固化),生成油
原料のパーム廃油と牛脂残渣は高流動点のパルミチン酸(C16)を含むため常温で固体ですが,生成油は流動点が低く,流動性の良い液体燃料が得られました。
左から生成油,ナフサ,灯軽油(2瓶),釜残
生成油は幾分,炭素分が混入しているため黒褐色ですが,留出液はナフサおよび灯軽油ともに非常に透明感の高い良質な液体燃料が得られました。この灯軽油留分は蒸留特性が軽油に近く,エンジン試験の結果は,燃料特性・排ガス特性ともに軽油に類似して良好なものでした。
(1) 含油植物の油化試験
当社の油化装置にて米ぬかや菜種を接触分解すれば,原料の含有率が10~40%であるにもかかわらず,油収率は50%以上と高く,油脂以外の炭水化物や繊維質などが油に転換していることが確認できました。また,その生成油は発熱量が大きく粘度が低いことから,ボイラー燃料などに適しています。
(2) 木くず及び竹粉の油化試験
木質系廃棄物の液体燃料化方法として,急速熱分解プロセスの開発が欧米で活発に行われています。しかし,このプロセスでは,木くず等を高温の反応炉内に投入すると急速に熱分解を起こすため,数秒でガス化し,このガスを冷却凝縮するとバイオオイルというタール状の液状物質になります。
一方,当社の油化装置は数分で接触分解するため,触媒によって軽質化され,発熱量が高く粘度の低い高品質の生成油が得られます。この生成油は燃料油としての取り扱いが容易です。
Copyright (c) 2024 Eco & Energy Inc. All rights reserved.