S T O R Y 

かつて、私たちの国にある世界最大の塗装工場“エデン”で爆破事故がおきた。あたり一帯は深刻な大気汚染となり、王政の指示により労働者とその家族約二万人は、工場の地下にあるシェルターへと避難した。
救助を待てという言葉を信じ、幾日も待ったが結局助けは来なかった。それどころか、エデンは外側からコンクリートで固められ、地表へ出ることさえもできなくなっていた。被害の拡大を抑えるために、王族は私たちを見捨てたのだ。
爆破事故から数年、シェルターで生きのびた者たちの間に、角の生えた子が生まれるようになった。大気汚染が遺伝子に影響を与えたのだろうと皆は嘆いたが、これが奇跡の始まりだった。その子らが“ルーツ”と呼ばれる鉱石を口にすると、体から竜のような翼や尾が生え、超人的な力を発揮した。私たちはその子らを救世主“竜人”と呼び、竜の力を用いてエデンからの脱出、そしてこの国への復讐を計画し始めた。
計画実行のその日、何年も沈黙を貫いていたエデンは内側から決壊した。すぐに何体もの竜が飛び立ち、王都を一瞬にして占拠したのだ。
長きにわたる世界からの隔離は終わり、私たちは誓った。改めて自分たちの国をつくろう。もう誰も理不尽な死を向かえない、自分たちのための強い国を。