Chapter4 講義資料
Chapter4 講義資料
子供はある一定の年齢になると言葉を覚えはじめ、3〜4才ごろには(多少の間違いはあるとはいえ)文法的な文を話すようになります。大人は、文法的な知識を一から教え込んだわけでもありません。それでも、子供は急速に言語を身につけ、文法的な文をみずから作り、発することができるようになります。なぜでしょうか?それは、人間には言語を生成する(generate)能力があらかじめ備わっているからだ、とチョムスキー(Noam Chomsky)は考えました。これが「普遍文法」(Universal Grammar)の基本的な発想です。
大人は子供に対して全ての言語的知識を教え込むわけではありません。そのため、子供にとって言語を話すのに必要な刺激は常に不十分だといえます。これを「刺激の貧困」(poverty of the stimulus)とチョムスキーは呼んでいます。このように、刺激の貧困にもかかわらず子供が(ほぼ完璧な)言語を習得できるのはなぜか、という問題を、人間の知性が知識の量に相関しないと考えたプラトンになぞらえて「プラトンの問題」(Plato's problem)と名付けました。普遍文法の概念は、このプラトンの問題を解決する一つの方策です。つまり。人間には普遍文法があらかじめ備わっているため、少ない刺激であっても、正しい文章を自分で組み立てることが可能なのだ、というわけです。
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提出期限:5月20日 23:59