1980年代、フィンランドにある精神病院、ケロプダス病院で生まれ、2021年にはWHO(世界保健機関)のグッドプラクティス(優れた取り組み)の一つとして紹介されました。当初は統合失調症の急性期に導入され効果が認められましたが、現在では対象は健常者も含まれ広範にわたります。開発と普及に寄与してきたヤーコ・セイックラ(バスキュラ大学教授)によれば、オープン・ダイアローグは「技法」や「治療プログラム」ではなく、「哲学」や「考え方」であると強調しています。つまり、特定の患者にしか効果がない「治療」ではなく、誰に対してでもできる「対話」であるということです。家族療法、精神療法、ナラティブ・アプローチ、グループセラピー、ケースワークといった多領域にわたる知見や奥義を統合したような方法であり、「専門性は必要」ですが、「専門家が指示・指導する」といった上下関係はなく、参加者がフラットな立場で参加するということは重要な特徴の一つです。
参考:『オープンダイアローグとは何か』斎藤環著・訳 医学書院
書籍のご紹介
『やってみたくなるオープンダイアローグ』 解説:斎藤環, まんが:水谷緑 医学書院,2021
『オープンダイアローグとは何か』 著・訳:斎藤環 医学書院,2015
『トム・アンデルセン 会話哲学の軌跡』 著:トム・アンデルセン, 著・訳:矢原隆行 金剛出版, 2022