日程

今研究大会では「二次案内」を郵送いたしません。このウェブサイトにてご確認ください。

『発表要旨集録』は、参加費の納入が確認できた会員に対してPDFをメールでお届けします(9月20日を予定)。

Zoomミーティングに必要な情報は、メールでお届けします(9月20日を予定)。

1日

2021年9月25日(土)

9:30 ~ 9:50

受付(接続テスト)

10:00 ~ 11:40

個人研究発表

会員限定

12:30 ~ 13:30

総会

会員限定

13:30 ~ 16:15

シンポジウム


一般公開

[テーマ]

インクルーシブ教育と民主的社会の未来

趣意

 教育改革は、近現代社会におけるキーワードの一つとも言え、現代においてはとりわけスピード感と効率性を伴った教育改革が求められている。教育の現状の点検はもちろん必要であるが、同時に改革の過剰はかえって混乱を招くので、実際には「教育改革の精選」が必要である。

 そうしたなかで、永続性のある教育改革の一つのテーマはインクルーシブ教育であると考えられる。1994年にユネスコとスペイン政府によって「特別ニーズ教育世界会議」が開催され、そこでサマランカ宣言が出された。その宣言では、すべての子どもは教育を受ける基本的権利をもっており、一定の学力水準に到達し、それを維持する機会が与えられなければならないとされた。そしてまた、すべての子どもは多様な特性や特別なニーズをもっており、そうしたものを含んだ教育計画が立てられなければならないとされた。やがてインクルーシブ教育は障害のある子どもだけでなく、人種やジェンダーなども含む多様な人びとのニーズを組み込んだダイバーシティの考え方とも結びついていく。

 その後2006年には国連において障害者の権利に関する条約が採択され、我が国においても、2011年に障害者基本法が改正され、2013年には障害者差別解消法が成立し、それを受けて日本は同条約を批准した。こうした流れを受けたインクルーシブ教育や社会的インクルージョンは今後の学校教育や一般社会において、いっそうの広がりをもつようになるだろう。それはまた、すべての人びとが人種、階級、性などの壁から自由なコミュニケーションによる相互成長を志向する、デューイ的民主主義のヴィジョンとも通底すると考えられる。

 本シンポジウムでは、フル・インクルーシブ教育を実践している大阪市立大空小学校の前校長、木村泰子先生の基調講演を受けて、「障害のない社会をつくる」をヴィジョンに掲げた企業の取り組み、特別ニーズ教育とデューイ研究を踏まえたインクルーシブ教育の理論と実践などの話題提供をしながら、インクルーシブ社会と社会的インクルージョンの未来を考える。

2

2021年9月26日(日)

9:30 ~ 9:50

受付(接続テスト)

10:00 ~ 11:40

個人研究発表

会員限定

12:30 ~ 15:00

課題研究


会員限定

[テーマ]

プラグマティズムの真理論は政治、教育、知識にとって何を意味するか

趣意

 プラグマティズムの思想的出発点は意味の理論と真理の理論であった。プラグマティズムは、これらの理論を表象主義的に、つまり意味や真理を「自然の鏡」(ローティ)という観点からではなく、自然や社会で生じた諸問題に対して対処するための武器という観点から捉えようとした。この観点は、伝統的な意味の理論や真理の理論に対して異議を唱える、画期的なものであった。プラグマティズムの意味の理論と真理の理論の根底にある知識論は、デューイの表現を使えば、伝統的な理論が傍観者的知識論であるのに対して、参加者的知識論であった。

 ローティは、プラグマティズムの意味の理論と真理の理論をプラトン主義の帰結として捉えた。プラトン主義とは「我われの認識と我われの言語には依存しないが、我われの言語によって適切に表象しようとする何かが存在する」と考える立場である。認識とは、この「何か」を精確に表象することである。西洋思想の流れは、プラトン主義が「我われの言語によって適切に表象しようとする何か」に関する、またそれを認識するための方法に関する様ざまな説の展開と見ることもできる。その点でプラグマティズムの意味の理論と真理の理論はプラトン主義的な西洋思想の流れに対して、根本的な見直しを迫るものだと言うこともできる。

 しかしプラグマティズムは必ずしも反表象主義というわけではなく、表象主義的な面と、自然や社会に対する対処という面の折り合いをつけようとしてきたと言える。ジェイムズの真理の理論は「真理」を「便宜」と捉える反表象主義的立場の典型のように見えて、実際には伝統的な真理の理論を多分に含んでいる。いっぽうローティのように、プラグマティズムの反表象主義的な面を徹底させるような立場もある。

 いずれにせよプラグマティズムの真理の理論は、伝統的思想に大きな見直しを迫るものであり、本課題研究は政治の理論、教育の理論、科学や知識の理論に対するプラグマティズムの真理の理論の意義を検討しようとするものである。

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