※追加日を設けました!
5月10日(土)です!
衣服標本家 長谷川と一緒に展示会場を巡る
「ドレスの変遷レクチャー」です
西洋諸国が競い合うように産業革命を成し遂げた19世紀
女性のファッションも目まぐるしく変化していきました
合成染料の発見はドレスに新たな発色を与え
印刷技術の発展が最新モードを世界に伝播し
写真の発明が流行に拍車をかけます
植民地からは潤沢な原料が届き
ラダイット運動も虚しく織機は休むことなく動き続け
下の階級にも布地がいきわたりました
布の変化と共に型紙の設計も複雑化し
ミシンというテクノロジーが大量消費時代を支え
デパートの誕生が女性の心に火をつけたのです
このレクチャーでは歴史や文化のみならず、他の美術館では見ることのできない
ドレスの「内部構造」や「型紙設計」の変化にも焦点を当て
より深くヴィクトリア朝のドレスを探っていきます
あなたはヴィクトリア朝の "お針子" です
各年代の実寸大の型紙や各種道具を用意しますので
どのようにドレスが縫われていたのかを一緒に考察しましょう
このレクチャーにだけ登場するドレスが多数あります
新たな発見が、あなたの推し活や創作活動を深める一助となれば幸いです
【 縫い目で辿るヴィクトリア朝のドレス変遷 】
4月27日(日)
5月8日(木)
5月10日(土)
全日程11時開始 12時半終了
(10時半より入場可能)
参加するには「イベントチケット + 入場券」が必要です
(有料イベントに複数参加される場合は、入場券は1枚あれば大丈夫です)
おしながき
レクチャーの始まりはヴィクトリア朝初期となる1830-40年代
面白いことにヴィクトリア朝は巨大袖に始まり、巨大袖に終わる
胴体ほどの大きさを持つ袖は普通には裁断できない
限られた布地で効率よく裁断するための縫い目に着目しよう
40年代に入ると一転、細身の袖が流行しウエスト位置は下がる
女性のドレスは常に「前世紀へのカウンター」であることを忘れてはならない
見逃せないのは「高度なリメイク技術」だ
あなたの想像を超えるリメイクの妙技を解説しよう
巨大化するスカート「クリノリン」に囚われていけない
1850-60年代のドレス、特筆すべきは「ファン・ボディス」と呼ばれる上半身だ
苦節50年、ついに女性は究極のドレス型を完成させる
細いようで太く、太いようで細く
視覚情報を狂わす縫い目にあなたは騙されている
工業・芸術・文化が咲き誇る19世紀半ば
ここをひとつのドレスの終着点とみてもいいだろう
しかしそれは何百年も磨かれてきたリメイク技術との決別でもあるのだ
歴史は地続きだが1870-80年代を「ドレスの物語りの序章」と捉えるのはいかがだろうか
外見に惑わされてはいけない、見るべきは内部構造と仕立てだ
1870年代ファン・ボディスを脱ぎ捨てた女性は、横一文字の縫い目を手に入れる
恐る々る布を切っていた時代は終わりを告げた
この縫い目が新たな造形美への萌芽となる
1880年代ここからすべてが始まった
数百年続いた「ドレスの呪い」からついに解放されたニュースタイルが花開く
切って、切って、裁断りまくる!
初めて縫い目と造形がイコールで結ばれた
これこそがバッスルドレスの真骨頂
身体と布の新たな交わりを刮目せよ
激動の物語が、静かに終わりを告げる1890-1900年代
新世紀を息子に託し、女王は永い眠りについた
ドレスもまた次の世代へとバトンをつなぐ
世紀末にはヴィクトリア朝の第一歩となる巨大袖が走馬灯のように再来し、はかなく散った
新たな道を歩むドレスは、女性の地位向上を支える良き相棒となるだろう
コルセットから解き放て!スカートからの脱却を!
男性スーツをも呑み込んだ、底なしのファッションを謳歌せよ
これはきっと20世紀を彩る女性デザイナーが幼きころにみた、最後のドレス
以上がレクチャー内容になります
ヴィクトリア朝の複雑化するドレスを探るうえで欠かせないのが
印刷技術と製図道具の発展です
もっとも縫い目が複雑化する1880年代
当時のドレスメーカーを支えたのが「ガーメント・ドラフティング・マシーン」です
説明書に沿って正しく寸法さえとれば、半自動で製図がおこなえる優れもの
全6種類の器具と説明書と注文書のすべてが揃っています
1886年ニューヨークでつくられた貴重な一品
このレクチャー限定で紹介します
手芸や洋裁は長きにわたり女性の嗜みとされてきました
家庭内でドレスを仕立てる女性の一助となったのが
数多の「ファッション・マガジン」です
流行のスタイルを伝播し、実寸大の型紙まで付録されていました
19世紀末の縫い目の多いドレスも型紙があれば何とかなります
1891年にロンドンで発行された実寸大の型紙付きマガジン3冊を
レクチャー限定で紹介します