【白亜学園の迎賓館】

 二人の女性が、そこでは話していた。

「……というわけで。

 貴方の望み通りにはぁ……ならなくて、申し訳ないわね」

 白い服に身を包んだ方の女性が、淡々と述べる。

 もう一人――高級そうな服の女性は、

 たじろぐようにして訴えた。

「そんな！ 約束と違うのでは？

 ウチとの契約を続けてくださるって……」

「約束を先に違ったのはぁ……貴方の方。

 少し、見通しが甘かったのだと思うわ……」

「ビジネスにハプニングはつきもので」

「あなたのビジネスは、あなたのビジネス。

 自らの責任は取らないとね。

 私には学園を守るという職務もあるのよぉ」

「く……」

 訴えていた女性は、反論できないのか唇を噛む。

 その様子を見て、白い服の女性は少し悲しそうに告げた。

「差し出がましいようだけど、

 かつての指導者として言わせていただくのなら

 仕切り直すべき時だと思うわ。雨窪さん」

「それも、私が決めることです……月居先生」

ろするぅ「ようこそ！ よく来てくれたロス！」

ろするぅ「ボクはロスルート＝ウッデォ＝シガシーヌ……ろするぅと呼んで欲しいロス！」

ろするぅ「感情界とのリンクは済んだ……キミたちに魔法の力が宿ったロス～」

【「パドルあパレル」オフィス】

 夕刻。日も暮れて、もうすぐ夜。

 一般企業の勤務時間も終わろうとしつつある。

 そのオフィスルームには、もう一人を除いて誰もおらず、

 がらん、と、寂しい雰囲気が漂っていた。

 このオフィスの長である雨窪とうろは、

 中央に佇み、電灯もつけないままでいた。

 窓からはわずかに、街の灯りが差し込んでいる。

 取り残された備品や、少しの商品を眺める。

 社員たちにはまだ説明していないが、

 遠からず、これらも差し押さえになるだろう。

 かつての恩師、月居白亜に援助を頼もうともした。

 しかし、白亜は外見ほど甘い人間ではなかった。

 もっと恥も外聞もなく泣きつけば違ったかもしれないが、

 こびり付いたプライドが、それを許さない。

 命運尽きた――

 そう、ため息を吐く。

 意外にも、胸に湧き上がる想いは、

 悲しみや寂しさではなかった。

 沸々と煮えたぎるような、怒りと嫉妬――

 ――どうして私が？

 ――なぜ分け与えられない？

 ――憎い――

 ――金も若さも奇跡も憎い――

 周囲に渦巻き、

 彼女に集まってゆく、黒い力。

「――アハッ……

 みぃんな、燃えてしまえばいいのよ……」

Data

◆シンドローム：ブラム＝ストーカー／キュマイラ

◆能力値

 【肉体】5 〈白兵〉：3,〈回避〉：2

 【感覚】3 〈知覚〉：3,

 【精神】1 

 【社会】1 

 【ＨＰ】20 【行動値】7 【戦闘移動】 17ｍ

 【侵蝕】100％

◆エフェクト：浸食ボーナス計算済み。

《渇きの主》2,《破壊の爪》2,《イベイジョン》2

◆コンボ／判定

・マイナー：『我欲の爪牙（がよくのそうが）』

 └初回：素手武器化。

・メジャー：『我欲の獣（がよくのけもの）』

 └判定値8dx+3。攻撃力+10。単体・白兵攻撃。装甲無視。

・リアクション：《イベイジョン》

 └回避値18固定。

◆詳細

 トループ扱い。HP1点につき1匹程度の扱い。浸食率固定。