この作品は芦屋市立美術博物館の所蔵作品についてアーティストが独自のリサーチを進め作品を制作し展示する「art resonance vol.01 時代の解凍」 展で制作したもの。私は、芦屋の美術館の中で常にスポットライトを浴び続けているのスター的存在の田中敦子と、コレクションの数も少なく展示される機会も少ない日の当たらない彫刻から、堀内正和、柳原義達、エミール=アントワーヌ・ブールデルの作品を選んだ。そして、芦屋の美術館の中の力学と反対に、彫刻家たちを主役として、彼らにまつわる物語をリサーチに基づき台本などは書かず即興で演じるビデオ作品を制作した。
自身の顔に動物を描き、彫刻家らに見立てて演じている。話の内容は主に太平洋戦争の頃の話で、軍需生産美術推進隊への参加などの彫刻家としての戦争に積極的に協力した柳原と、彫刻家としての戦争協力を拒んだ堀内、その遠景に彫刻家と時代を強く結びつけるキーパーソンとしてのブールデル、そして戦争と彫刻家の物語を縁取る市井の人としての田中(の電気屋)の一人語りを演じた。すべてのエピソードは台本は書かず、調査に基づいた即興で演じた。一人語りのビデオの他に、4人が同じ展覧会に参加するために話し合いをし、お互いを知るために海へ行きバーベキューをする約束をして別れるというビデオも制作した。一人目を演じて、それを見ながら二人目を演じるやり方で、順に演じ1つの話し合いの状況を作り出した。
太平洋戦争を中心に取り上げたのは、戦争に対する恐怖と嫌悪と戒めが理由である。芸術家と戦争の関係を見ていくとわかることだが、芸術家が少しずつ滑らかに戦争に加担していくのがわかる。