2022年8月28日「大山町いきもの調査~阿弥陀川編~」
講師に岩田貴之さん(水生生物研究者)をお迎えして、第1回目の一般参加型公開調査を実施しました。
阿弥陀川は上流・中流・下流とそれぞれ環境が異なる興味深い河川です。これまで学校や公民館活動などでスポット的に調査はありましたが記録として残っていないという現状にあります。
当日は小学生から40代まで幅広い世代10人が集まり、生き物や植物の観察および採取を行いました。
2時間ほどで45種類以上の生物を捕まえることができました。清流に棲息するカジカガエル(オタマジャクシ)や貴重なトンボ類、全国的に絶滅が危惧されているメダカが豊富にいたことは大きな発見でした。
一方で特定外来生物のオオカワヂシャが繁茂していたことがわかりました。今後、注意しなければいけません。
調査の結果は、標本などを含め、「大山町総合文化祭」(@中山農業者トレーニングセンター、2022/10/22、10/23)で展示しました。
阿弥陀川中流域は、浅く流れが速い部分と緩やかになっている溜まりの部分と2パターンの様相を呈していました。中でもタカハヤ、カワムツ、シマドジョウ類が多く、メダカの棲息も確認することができました。オオカワヂシャの侵入は警戒すべき点でしたが、外来魚は確認できませんでした。今後も広いエリアの場合は一般の方の協力を得て、町内の河川エリアの観察および調査をしていきたいと考えています。また標本の保存先やデータの共有化をどうするのか課題となっています。
大山町の山間部・国立公園のふもとでかつてヤマメなどの生け簀に活用されていた池です。
30年以上使用されておらず、現在では荒れ果て、カナダ藻類が繁茂し、落ち葉や枯れ枝によって池が埋め尽くされて底が見えません。
現在でも上流から流れ込む水と湧き水によって、年間を通して冷たくきれいな水が蓄えられています。
タモ網ですくって地道に調査
多数のアカハライモリを捕獲
(観察後は元の場所に放しています)
吸虫管を駆使して小型生物を採取
水はきれいな状態でしたが、底は長年の落ち葉などが堆積し、腐葉土になったものがヘドロ状(排水は充分機能していない状態)になっていました。魚類は確認できませんでした。両生類はアカハライモリが多数棲息、巣窟といっても過言ではないほどたくさん確認することができました。繁茂するオオカナダモを除去することでまた違った生物相になる可能性もあります。
春日神社の中にある龍が棲むという神聖な池で古来から崇められてきました。
そのことから人が入って観察や調査する機会のない禁足地でしたが、近年の池の変貌ぶりに異変を感じていた神主の了解と協力によって特別に入らせていただけることになりました。
池ではスゲ類が年々繁茂し、環境が変わってきているようなことも聞きました。
上流からの勢いのある水の流れがとまったのか近年は渇水状態にあり、雨水による水の滞留があるくらいです。池というよりも湿地状態にありました。カサスゲが池の大部分に広がっていて行動範囲が制限されるため、神主の許可を得て草刈りをしながら観察をすすめました。水たまりのある場所ではモリアオガエルの産卵地となっていて、いくつかの卵塊を見ることができました。水生生物や植物は思っていたほど確認できませんでした。