公益財団法人東広島市教育文化振興事業団との共催で、上記市民公開シンポジウムを開催します。
会員の皆様多数のご参加をお待ちしています。また、広く周知いただければ幸いです。
「心理学」は多様な視点から人間の「こころ」の不思議、面白さを探究します。このシンポジウムでは、様々な分野の心理学の教員に登壇いただき、それぞれが専門とする心理学分野の中でも、特に「身近に役立つ」内容を、高校生や一般の方にもわかりやすく解説いただき、心理学の学問的面白さに触れていただきます。
4名の先生から、ひとり20分程度の話題提供をいただきます。その後15分程度、フロア全体からの質問などを受け付け、議論を深めます。
私たちが発達段階で身につける「ウソ」は,生活を楽しく,豊かにする側面があります。しかし,犯罪の隠蔽に使われる「ウソ」は,見逃すことができません。日本の「ウソ発見」の方法は,世界で最も妥当性が高いと言われています。それは,犯人の脳に刻まれた,犯行に関する記憶をモニターしているからです。そこで,日本の「ウソ発見」の実際と脳機能研究を紹介し,その方法が医療や産業の場面でも貢献する可能性を示します。
私たちはなぜ夢をみるのでしょうか?夢に意味はあるのでしょうか?不思議だらけの夢は,科学的検討が始まってまだ60年程度です。20年前には寝ている間の脳活動が検討できるようになり,脳 (体) が夢という心理体験を生み出すことがわかってきました。本講演では,これまでわかってきた夢を見る仕組みについてご紹介するとともに,夢と「こころ」の関連について考えていきたいと思います。
近年,保育・教育現場では,怪我や事故を減らすために,リスクマネジメントが行われるようになっています。その一方で,過度な安全性の追求も問題視されつつありますが,その根拠は十分ではありません。そこで、スリルのある遊びをめぐる大人の認識と子どもの心身の発達との関連に関する知見を紹介し、現代の子育てや保育の在り方について考えていきたいと思います。
私たちは,ひとりで生きているわけではありません。程度の差こそあれ,周囲の人々とかかわりながら生活をしています。社会心理学はそのような日常生活を切り取り,研究を積み重ねることで発展してきた学問です。「周囲との人間関係で苦しまないコツ」をテーマに,「環境(状況)が私たちの行動を変える」,「お金や地位のせいで人は他者の気持ちが分からなくなる」の2つのトピックスについてお話します。
「心理学」には、これからの我々の暮らしや社会をよりよくしていくための「知恵」を与えてくれるノウハウがたくさん詰まっています。このシンポでは、様々な分野の心理学の教員に登壇いただき、それぞれが専門とする心理学分野の中でも、特に「これからの暮らしや未来」に役立つ可能性のある最新の心理学的研究や手法について、高校生や一般の方にもわかりやすく解説いただき、心理学の学問的面白さに触れていただきます。
4名の先生から、ひとり20分程度の話題提供をいただきます。その後指定討論の先生から、各話題の要点や全体的な質問を行っていただきます。その後、フロア全体からの質問を受け付け、議論を深めます。
目は感覚器官として重要なだけでなく,心の中で行われているさまざまな認知活動を探る覗き窓として使うことができます。この話題提供では,目からどのような情報を読み取れるのか,実際に装置を使って見てみます。また,このような技術を応用して,障がいのために発話ができない子どもたちがどのように物事をとらえているのかを調べたり,ゲームを楽しんだり,言葉や文字の学習を支援する事例を紹介して,その可能性を探ります。
心理学では、心は実態のない目に見えないものであるため、直接調べることはできないと考えられてきました。そこで、人々のふるまい(行動)やアンケートへの回答を通じて、間接的に人の思考や感情などの“心”を調べてきました。しかし、現在、脳科学や人工知能の発達によって、人々の心の中を直接知ることに成功しつつあります。この方法によって、心理学だけでなく、広く社会全体の発展に貢献する可能性を探ります。
近年,うつ病に対する認知行動療法の一種として,行動活性化療法が脚光を浴びています。これは行動から否定的な考え方や感情を変える心理療法で,従来の認知行動療法よりもシンプルな方法でありながら,同等に効果的であることが明らかになっています。また,うつ病の人のみならず健康な人の幸福や生活の質向上に役立つ可能性が示されています。行動活性化療法の精神障害と健康増進に対する可能性を探ります。
社会構造の変化に伴い、非正規として雇用される人が増加しています。このため組織の現場では、安定した立場は提供できないけれども組織のため忠実に働いてくれる人材の確保、というマネジメント課題に直面しています。一方、安らぎを求めてつきあいを始めた関係がいつの間にか暴力の温床になる、というDV(夫婦や恋人間密な関係での暴力)も現代社会で解決されるべき課題の一つです。これら二つの課題は、前者が組織と従業員との弱すぎる絆の問題であり、後者が親密な二人の間での強すぎる絆の問題だと捉えることができます。とすれば、絆をめぐる心理学の知見によって解決への糸口が見えるかもしれません。