Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に策定している。
評価基準の考え方と評価の留意点
(1) 目的
○本評価基準は、指導計画の策定に関する体制が確立し、アセスメントにもとづく適切な指導計画が策定されているか評価します。
(2)趣旨・解説
(保育所版)
○子ども一人ひとりの発達や状況に応じた保育の提供において、子ども・保護者のニーズ等の適切なアセスメントにもとづく指導計画が必要です。
(保育所版)
〇保育所では、保育所保育指針等をふまえ、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に即した全体的な計画を編成します。指導計画は、全体的な計画にもとづき、子どもの発達や状況に応じ作成します。
(保育所版)
○保育所においては、3歳未満児と障害のある子どもについて、個別の指導計画の作成が義務づけられています。しかし、一人ひとりの子どもの発達を保障していくためには、3歳以上児も含めたすべての子どもに対して、クラス等の指導計画とあわせて、個別の指導計画を作成することが望まれます。
○指導計画の策定にあたっては、保育所での体制が確立していることが不可欠です。具体的には、指導計画策定の責任者を明確化するとともに、アセスメントから計画の作成、実施、評価・見直しに至るプロセスを定める必要があります。
【計画策定の責任者】
(保育所版)
○指導計画策定の責任者については、必ずしも指導計画を直接作成する者を意味していません。策定にあたっては、職員の適切な役割分担と協力体制を整えることが必要であり、計画決定までを総括すること等が責任者に求められる役割です。
【アセスメント】
○アセスメントは、子どもの身体状況や子どもと保護者の生活状況等を把握するとともに、子どもと保護者にどのような保育実施上のニーズがあるかを明らかにすることを目的とします。子どもと保護者の状況を正確に把握し、ニーズを明らかにすることは、指導計画を作成する基本となる重要なプロセスです。身体状況や生活状況あるいはニーズを保育所が定めた手順と様式によって把握する必要があります。
○保育開始直後には、事前に把握していた身体状況や生活状況等が実際と異なっている場合もあるため、そのような状況も視野に入れたアセスメントが行われる必要があります。
○アセスメントについては、
①保育開始前後におけるアセスメントに関する手順が保育所として定められていること、
②手順は正確なアセスメントを行うために計画的なものになっていること、
③その手順のもとに実施されていること、
④アセスメントによって、子ども全員について、個別に具体的なニーズが明示されていることが求められます。
【指導計画の策定】
(保育所版)
○一人ひとりの子どもに応じた保育を行うためには、健康面への配慮、生活の場としての基本的な援助、子どもの発達の視点に立った援助、保護者の意向への配慮など総合的な視点から一人ひとりの子どもを捉えた上で、各保育所の全体的な計画に基づき、指導計画を作成することが必要です。
(保育所版)
○個別の指導計画とクラス等の指導計画は、双方に関連性をもって作成される必要があります。
(3)評価の留意点
○アセスメントから計画策定、実施、評価・見直しといった一連のプロセスが適切に行われていることを基本とします。また、子ども・保護者の希望やニーズを適切に反映した内容となっているか、計画にもとづく保育の提供がなされているか、保育の質の向上に結びつく活用がなされているかといった観点から評価します。
○指導計画策定における責任者の役割について、役割分担して実施している場合があります。役割分担は、保育所の状況に応じて異なりますので、保育所として指導計画の策定方法が定 まっていること、それぞれの担当者がその定められた方法における役割を果たしていること、そして責任者は、これらの内容を掌握し必要に応じて助言・指導を行っていることをもって 役割を果たしていると評価します。
○アセスメント結果が指導計画に適切に反映されているかどうかについては、アセスメント結果を指導計画に反映させる際に関係職員で協議を実施しているか、アセスメント結果から目標と、目標達成に向けた具体的な保育・支援の内容を指導計画に反映しているか等を記録等から判断します。
○子ども・保護者の意向の反映については、個別の指導計画等に子ども・保護者の意向が明示されていることによって、意向を踏まえた計画が策定されていると評価します。3歳以上児について個別の指導計画が策定されていない場合には、子ども・保護者等の意向が書面に記載され、指導計画に反映されているかを確認します。
○評価方法は、訪問調査において、指導計画の策定・実施のプロセス、責任及び役割分担体制の実態がどのようになっているかを具体的に聴取したうえで、クラス等の指導計画、子ども数名分の指導計画、及びアセスメント票等を抽出して、書面の確認と担当者への聴取を行います。
○また、アセスメントにもとづく指導計画が日常的な保育場面でどのように実施されているか、記録と職員からの聴取により確認します。
○保育所としてアセスメントをまったく行っていないことは想定していませんが、その場合は 「c」評価とします。
(保育所版)
○保育所においては、3歳未満児と障害のある子どもについては、個別の指導計画の作成が義務づけられていますので、個別の指導計画が作成されていないことは想定していませんが、作成していない場合は「c」評価とします。
(保育所版) ○3歳以上児については、一人ひとりの子どものアセスメントにもとづく指導計画の策定について評価します。
(保育所版)
○全体的な計画の作成については、内容評価(【A1】A-1-(1)-①)で評価します。