Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。
評価基準の考え方と評価の留意点
(1) 目的
○本評価基準は、子どもの安心と安全を確保し、保育の質の向上を図る観点からリスクマネジメント体制を構築するとともに、ヒヤリハット報告や事故報告等の事例の収集を積極的に実施し、その収集した事例について要因分析の実施と対応策が適切に講じられているか評価します。
(2)趣旨・解説
○保育所におけるリスクマネジメントの目的は、保育の質の向上にあります。具体的な取組としては、責任者の設置又は明確化、リスクマネジメントに関する会議等(体制づくり全般をはじめ、事故要因の分析、改善策・再発防止策等を検討する場)の設置、事故発生時の対応における責任と手順等の明確化、ヒヤリハット・事故報告の収集、これら報告にもとづく要因分析と改善策・再発防止等の実施が基本的な事項となります。
○また、これらをリスクマネジメント規程等として定めておくこと、研修の実施や個々の取組について定期的な見直しと改善を図ることは、体制の構築と福祉施設・事業所の実態にそくした効果的な取組のために有効です。
○ヒヤリハット・事故報告や事例等の収集は、保育の質の向上の観点から、職員間の情報共有をはじめ、要因分析の実施や改善策・再発防止策を講じるために行うものです。また、取組を通じて、職員の「危険への気づき」を促す効果も生まれます。よって、職員個人の反省を促したり、責任を追及したりするためのものではないということに留意が必要です。
○保育に関わる設備、遊具や備品類の日頃からの安全確認や定期的なメンテナンスも、日常的に子どもの安心・安全に配慮した保育の前提として重要です。その際、具体的な点検項目や点検日及び点検者を定める必要があります。
○また、外部からの侵入者への対応や食中毒の発生等についても、保育所の特性に応じて検討・対応します。
○リスクマネジメントの体制整備の面では施設長のリーダーシップが欠かせません。また、具体的な対策を講じる際には保育を提供する現場における知恵と工夫を活用した取組が最も 重要です。
(3)評価の留意点
○事故発生時の適切な対応と子どもの安全確保がなされていることを前提とし、リスクマネジメントに関する責任者の設置又は明確化、リスクマネジメントに関する会議等の設置・開催状況のみならず、ヒヤリハット報告・事故報告が収集され、要因分析と改善策・再発防止策の検討・実施がなされているか評価します。
○ヒヤリハット報告・事故報告の分類や一覧表の作成等に留まらず、組織的・継続的な要因分析と改善策・再発防止策の検討・実施に結びついていることが必要です。
○評価方法は、訪問調査において具体的な取組を書面と聴取によって確認します。書面がなく、職員会議等で事故防止に向けた意識啓発をしているというような取組のみの場合には、「c」評価とします。
○感染症に関するリスク(対策)については、次項「【38】Ⅲ-1-(5)-②」で評価します。