Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。
評価基準の考え方と評価の留意点
(1) 目的
○本評価基準は、苦情解決の仕組みが確立され保護者等に周知する取組が行われているとともに、苦情解決の仕組みが機能していることを評価します。
(2) 趣旨・解説
○社会福祉法第 82 条では、社会福祉事業の経営者は、利用者等からの苦情の適切な解決に努めることが求められています。また、福祉施設・事業所の各最低基準・指定基準においては、利用者等からの苦情への対応が規定されています。
○苦情解決の体制については、
①苦情解決責任者の設置(施設長、理事長等)、
②苦情受付担当者の設置、
③第三者委員の設置が求められています。
第三者委員は、苦情解決についての密室性の排除と社会性・客観性の確保、子どもと保護者の立場に立った苦情解決の援助のために設置されるもので、人数は複数が望ましいとされています。
○法令で求められる苦情解決の仕組みが組織の中で確立されていることを前提として、この仕組みが機能しているかどうか、また組織が苦情解決について、保育内容に関する妥当性の評価や改善課題を探るための有効な手段と位置づけているか、つまり保育の質の向上のための仕組みとなっているかが重要です。
○保育所においては、法令で求められる苦情解決の仕組みを構築することはもとより、苦情解決や苦情内容への対応を通じて保育の質の向上を図る必要があります。
(保育所版)
○保育所では、苦情の申出にいたる前に、送迎時の職員との対話、連絡ノート等の日々のコミュニケーションの中で、保護者等から要望や意見として保育内容や運営等の改善を求められることがあります。こうした要望や意見に対しても組織的な対応方法を定めておく必要があります。
(3)評価の留意点
○苦情解決の仕組みについては、保護者等への周知と理解の促進、苦情を申出やすい配慮や工夫、苦情受付に係る正確な記録と苦情解決責任者への報告、解決へ向けての話し合いの内容や解決策等について経過と結果の記録、苦情を申出た保護者等への経過や結果の説明、申出た保護者等に不利にならない配慮をしたうえでの公表、などの状況を総合的に勘案し、仕組みが機能しているかどうかを評価します。
○また、保育所として、苦情解決の取組を、利用者保護の視点と同時に、保育の質の向上に向けた取組の一環として積極的に捉えているかどうかを、体制の整備や解決手順・結果公表等の具体的な取組によって評価します。
○第三者委員が設置されていない場合、連絡方法が明示されていない場合、解決に係る話し合いの手順等が定められていな場合、苦情解決状況の公表を行っていない場合は、「c」評価とします。
(保育所版)
○要望や意見への対応については、「【36】Ⅲ-1-(4)-③」で評価します。