Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。
評価基準の考え方と評価の留意点
(1) 目的
○本評価基準は、利用者満足を把握する仕組みを整備し、利用者満足の結果を踏まえて、その向上に向けた取組を行っているか評価します。
(2)趣旨・解説
○利用者本位の保育は、保育所が一方的に判断できるものではなく、子どもがどれだけ満足しているかという双方向性の観点が重要です。保育所においては、専門的な相談・支援を適切に実施する一方、利用者満足を組織的に調査・把握し、これを保育の質の向上に結びつける取組が必要です。
(保育所版)
○子どもからの把握については、一人ひとりの子どもが、保育所で安全な環境で、安心して、意欲的に過ごすことができ、その生活についてある程度の満足感を持って過ごしているかを保育者がくみ取ることが必要となります。
○また、保育の視点からは、子どもが保育士等の大人に自分の意思を伝えることができるような配慮が求められます。直接的な「利用者満足」と捉えることはむずかしい点もありますが、子どもの意見が具体的に保育の改善に結びつくような取組の推進も求められています。
○一人ひとりの子どもにとっての快適な保育は、本来は子どもが判断することですが、保護者がどのように受け止めているかという視点から評価することも、保育の改善への重要なプロセスです。
○子どもの満足の把握、保護者に対する利用者満足に関する調査の結果等については、具体的な保育の改善に結びつけること、そのために保育所として仕組みを整備することが求められます。
○保育の質を高めるためには、保育所として定められた仕組みにしたがって、継続した取組を進める必要があります。よって、随時出される個々の意見、要望等に対応するという方法のみでは、有効な改善対応と言うことはできません。
○組織的に行った子どもの満足の把握や調査結果を分析・検討する担当者や担当部署の設置、定期的な検討会議開催等の仕組みが求められます。
○このような仕組みが機能することで、職員の子どもの満足に対する意識を向上させ、組織全体が共通の問題意識のもとに改善への取組を行うことができるようになります。
(3)評価の留意点
○福祉施設・事業所の事業種別や福祉サービスの内容の違いによって、利用者満足の具体的な内容は異なるので、保育所として利用者満足の向上に向けた仕組みを整備しているか、また子どもの満足の把握、保護者に対する利用者満足に関する調査等の結果を活用し、組織的に保育の改善に向けた取組が行われているかを評価します。
○具体的には、保育士等による子どもの満足の把握、保護者に対する利用者満足に関する調査、保護者への個別の聴取、保護者懇談会における聴取等があります。利用者満足に関する調査等を定期的に行うことは、改善課題の発見や、改善課題への対応策の評価・見直しの検討材料となります。