勉強会 2025年12月8-9日(CREST「1細胞データ科学を介した融合数理の革新」トポロジー班との合同開催)
ねらい
本グループは流体の状態を表す何らかのグラフを数理的手法を用いて解析することで、状態遷移の予測方法を模索することを目標としています。
今回の勉強会では、流体から得られる数値的データの例について谷口さん、データから得られる因果グラフを多田さん、流体の状態を表すグラフについて浅香さん、宇田さんにそれぞれ解説して頂きます。狩野はそれらのグラフの解析手法のひとつとしてマグニチュードホモロジーを紹介し、Escolarさんにはその計算コスト削減方法の案として代数的モース理論の応用例の解説を行って頂きます。(※すべて予定のため、直前に内容が変更される可能性があることをご了承ください。)
場所
流体研究所 2号館5階 大講義室 (西) (https://www.ifs.tohoku.ac.jp/jpn/access/)
スケジュール
2025年12月8日
10:00--11:00 谷口 伸隆「変分的モード分解の導入と流体安定性への応用に関して」
13:30--14:30 多田 駿介「統計的因果推論入門」
15:00--16:00 浅香 猛「乱流ネットワーク」
16:30--17:00 狩野 隼輔「因果グラフのマグニチュードホモロジー」
2025年12月9日
10:00--11:00 宇田 智紀「流線トポロジーデータ解析による因果解析」
13:30--14:30 Emerson Gaw Escolar「Introduction to Discrete Morse Theory and its Applications to (Multiparameter) Persistent Homology」
15:00--15:30 狩野 隼輔「重み付きDAGから得られる距離空間の列とマグニチュードホモロジーのスペクトル系列」
15:30--17:00 ディスカッション
アブストラクト
谷口 伸隆(東北大学)
「変分的モード分解の導入と流体安定性への応用に関して」
TBA
多田 駿介(東北大学)
「統計的因果推論入門」
本勉強会では, 統計的因果推論の入門として, まず構造方程式モデルと因果グラフ, 平均因果効果を復習し, 平均因果効果と因果グラフの辺の重みの対応関係を説明する. 続いて, 線形性・非ガウス性・非巡回性を仮定した因果探索手法である Direct LiNGAM を紹介し, Python を用いたデモンストレーションを通して,実際にデータから因果グラフを推定する流れを体験してもらう. デモンストレーションを踏まえ, 因果探索の結果をどの程度信頼できるかは, データがモデルの仮定を満たしているかどうかに依存することを, 具体例を通して確認する. 時間が許せば, 最近行った流体データに対する因果探索の試みについても議論したい.
浅香 猛(東北大学)
「乱流ネットワーク」
現実≈古典力学≈流体力学≈network≈sparse networkと近似していき現実の現象を理解しようとする一連の研究がある。論文「Network-based analysis of fluid flows:progress and outlook」を参考に、distance similaityやspectral similarityといったnetwork≈sparse networkの部分やvortex interaction networkやlinear dynamic networkといった流体力学≈networkの部分について概観する。
狩野 隼輔(東北大学)
「因果グラフのマグニチュードホモロジー」
距離空間の不変量であるマグニチュードホモロジーの亜種であるぼかしマグニチュードホモロジーはパーシステント加群になることが知られている。本講演ではLiNGAMの因果グラフから得られる距離空間のぼかしマグニチュードホモロジーのパーシステント図を特徴量とした解析方法を紹介する。
「重み付きDAGから得られる距離空間の列とマグニチュードホモロジーのスペクトル系列」
ぼかしマグニチュードホモロジーは距離空間の不変量であるため、LiNGAMの因果グラフの解析に用いる際は、前処理としてまず因果グラフを最短距離から定まる距離空間に置き換えるが、このときに多くの情報を捨てていることになる。本講演ではその情報を復元する案として、重み付きDAGから得られる距離空間列に付随するぼかしマグニチュードホモロジーのスペクトル系列を提案し、計算例を紹介する。
宇田 智紀(富山大学)
「流線トポロジーデータ解析による因果解析」
複雑な流体現象を物理量などの観点から説明する試みは盛んになされており,そのダイナミクスの理解は流体力学に限らず数理科学全般において関心の高いトピックである.本研究では,有名なテスト問題である非圧縮2次元キャビティ流れに対して流線トポロジー解析の手法を適用する.数値計算で得た長時系列データを流線トポロジー解析によって文字列の為す離散力学系とみなし,トポロジーの観点からキャビティ流れの複雑さを解析・評価する.具体的には,得られたトポロジカルな観測量に対して CCM (Convergent Cross Mapping) と呼ばれる力学系モデルベースの因果解析手法を適用し,コーナー渦の間の時系列的な因果効果関係を同定することを試みた.また,レイノルズ数が高くなるにつれて流れが複雑化する傾向が観察された.
Emerson Gaw Escolar(神戸大学)
「Introduction to Discrete Morse Theory and its Applications to (Multiparameter) Persistent Homology」
離散モース理論はモース理論のアイデアを離散構造(単体複体など)に適応したものであり,そのトポロジーを解析するための一つの手法である.特に,離散モース関数とその勾配ベクトル場を用いて,複雑な空間を縮約することができるようになる.本講演では,離散モース理論(と代数的離散モース理論)を紹介する.また,位相的データ解析において,パーシステントホモロジーの計算に対して計算コスト削減方法としての応用も紹介する.
参加予定者
狩野 隼輔、谷口 伸隆、多田 駿介、浅香 猛、宇田 智紀、Emerson Gaw Escolar、松本 健宏、渡辺 楓、木村 優太、小川 将輝、谷地村 敏明、浅尾 泰彦、劉 恩豪、井元 佑介