← 弊社との協力関係にあるスカイダイビングクラブ関係者とのLineより
知識の無いパラシュート使用の事故事例
2024年10月 栃木県において異業種参入した企業による他社製品を模倣した自作パラシュートの開傘テストによって、地上の第三者所有の車両に80㎏の重量を吊り下げたパラシュートが衝突事故を発生しました。
風に流されてゆくパラシュートは運悪く・・・ではありません。
その発想は素人の一般発想であればそう思われがちですが、専門知識を以って扱う専門業者では風向風速から着地点予測を行って衝突を避けることが当然の作業知識です。事故を起こした企業には展示会で対面した際に当社から知識の提供を提案しましたがパラシュートはより短時間で開傘さえすれば他に専門知識を必要とするとの理解が出来なかったのでしょう、今回の残念な事故となりました。
本来の緊急時のパラシュート開傘であれば時と場所を選びにくいこともありますが、テストで行われているので時と場所を十分に選ぶことができた状態でした。
衝突は車両であり物損事故ですが、第三者が立ち入ることが可能な公共エリアなので人身事故になっていても不思議の無い状況で不幸中の幸いでした。
これが専門知識の存在を知らずしてパラシュートを扱った結末の一例です。
米軍へのパラシュート納入実績もある米国の老舗パラシュートメーカーFree Flight Entreprise社では同様のテストを行うためにアメリカからオーストラリアの広大な砂漠地帯まで行ってテストを行っています。
対してこの衝突事故が起きた藤岡遊水地は4㎞四方という範囲で行われました。
その安全認識の根拠はしれませんが老舗メーカーとの取り組み姿勢の違いは大きいようです。
今回はトラックへの物損事故でしたが万が一に人身事故だったら第三者が立ち入る場所でこのような危険を伴う実験を行っておいて「運が悪かった、風が思ったよりも強かった、思わぬ距離まで飛んでいった」と言えばその被害者は激怒することでしょう。
異業種参入で知識がないとはいえメーカーと名乗ってパラシュートの実験をするのですから第三者が立ち入る可能性がある場所で実験を行うことは論外で、さらに言えばメーカーと名乗る以上は操縦機能が無いパラシュートでも予定地点へ着地させることができて当然です。パラシュートは国外の多くの国では航空機として扱われており布と紐を縫い合わせただけの製品と誤った固定観念を持って他製品をコピーして作る姿勢のは辟易します。