2026/03/26 CPC Spring Camp 2026 は無事終了いたしました。沢山のご参加をありがたとうございました。(実行委員長 谷口忠大)
2025年には、生成AI技術が汎用的な情報処理ツールとしての側面から、自律的に行動する「エージェント(Agentic AI)」へと進化し、複数のAIが協調・議論するマルチエージェントシステムの議論と実装が急速に進んだ。ロボティクスの分野においても、LLMやVLMの活用はVLAとして広がり、Physical AIは世界的なトレンドとなり、ヒューマノイドへの注目が集まった。AGIはEmbodied AGIへの道筋が模索され、物理世界における適応と学習が現実的な課題となりつつある。さらに2025年にはChatGPT 4oから5へのアップデート時に #keep4o 運動が起き、AIが人間の情動面にあたえる影響に大きな注目があつまり、また人間とAIの「関係性」「意味づけ」の議論が、机上の空論ではない、実際的な問題として現前してきた。このような状況下で、異質な知能たちが織りなす「社会」の動的安定性や、その身体・認知・行動との相互作用、そこにおける記号・言語の役割を理解することは、喫緊の課題となっている。私たちは、そのような問題群を見つめる視座として、記号創発システムと、その計算論的な理論化である「集合的予測符号化(Collective Predictive Coding)」に注目する。
記号創発システム論は、人間の認知や社会システムにおける記号と言語の動的な性質を捉えようとするシステム論である。人間とAI・ロボットが共生する社会において、規範や倫理をトップダウンに設計するのではなく、相互作用の中から創発させる双方向的・自己組織化的なアライメントの視点が不可欠となっている。これに対し、CPCはその数理的・理論的基盤を提供しつつある。2025年は、「Collective Predictive Coding Hypothesis」論文のOutstanding Article Award受賞や、「CPC as Model of Science」のRoyal Society Open Science誌への掲載などを通じ、このアプローチが国際的に認知された年となった。さらに、マルチタイムスケールでの認知過程を統合する「System 0/1/2/3」理論の提唱により、瞬時的な身体制御から長期的な文化形成までを統一的に扱う道筋が見え始めている。
本研究合宿は、この理論的枠組みを徹底的に議論し、実証的研究をインキュベートする場として企画する。今回はGoogleの"Co-Creative Scientific Ecosystem Development"からの支援も受け、人文科学から自然科学まで幅広い分野の研究者が集う。3日間の開催だった昨年度に比べて、今年は6日間というスロットを確保し、多くのメンバーが議論に参加できるような場をつくる。アンカンファレンス型の運営を心がけ、その場で、様々なものが創発する場作りを志す。
文理の垣根を越えた研究プロジェクトや、次世代の科学システムそのものをデザインする試みが生まれ、日本発の新たな学術的潮流(School)が確立されることを期待する。研究者間の活発な対話と共創を通じて、人間と機械が共生する未来社会の基盤となる知見を見出していきたい。
※なお日本語での本形態での開催は2025年度を最後として、来年度からは英語での開催とするか、若手育成をメインにしたSpring Schoolとする予定である。
言語創発/記号創発/言語進化、AIアラインメント、記号創発/認知発達ロボティクス、マルチエージェントシステム、科学発見の自動化、記号接地問題、記号論とプラグマティズム、ネオ・サイバネティクス、法/倫理/規範システム、協力行動の数理、情報の経済学、人工生命、計算論的精神医学、心の哲学、科学哲学、計算言語学
日時: 2026/3/21 - 26
場所: 白浜荘(〒520-1223 滋賀県高島市安曇川町下小川2300-1)
プログラム:未定
参加費:
交通費に関して希望に合わせてご支援を予定
人工生命国際研究機構 Artificial Life Institute 研究員,一般社団法人 AI Alignment Network 理事,株式会社 Humanity Brain 最高研究責任者
京都大学大学院情報学研究科・教授
立命館大学総合科学技術研究機構・客員教授
実行委員長 林祐輔(AI Alignment Network)、谷口忠大(京都大学)
委員 片岩拓也(静岡大学)、進藤稜真(北海道大学)、鈴木大地(筑波大学)、丸山隆一(フリーランス)、久保田はな(立命館大学)、廣瀬百葉(京都大学)、長野匡隼(京都大学)、堀井隆斗(大阪大学)、田島潤(静岡大学)、杉山滉平(立命館大学)、堀江 孝文(京都大学)
主催)CPC Camp 実行委員会
(京都大学大学院情報学研究科・認知システム講座・記号創発システム分野 谷口研究室)
共催)
立命館大学グローバルイノベーション機構(R-GIRO)第4期研究プロジェクト「記号創発システム科学創成:実世界人工知能と次世代共生社会の学術融合研究拠点」
一般社団法人AIアライメントネットワーク
協賛)
Google.org
協力)
JSPS科研費・学術変革領域(A)「クオリア構造学」計画研究「クオリア構造の記号創発システム論」
JSPS科研費・基盤研究(A)「記号創発システム論に基づく共創的学習の基盤創成」
ムーンショット型研究開発事業 目標1「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」研究開発項目4:CA協調連携の研究開発
本会議は招待制の会議です。取材やお問い合わせは以下の実行委員会MLまでご連絡ください。
CPC Camp 実行委員会: cpc-camp-2026@em.ci.ritsumei.ac.jp
This work was supported with funding from Google.org