私たちは日常で様々な情報を無意識に五感を通して脳に伝達している。そこで、もし視覚または聴覚の一つの感覚で情報を取り込んだ場合、どのような特徴が出るかを調べた。
被験者 21歳の男子大学生6人
材料
・以下の2つの文章の音声データと文字(各約3分の説明文)を表示させたPC
「『わかる』とは何か」(長尾真)・・・A
(北原保雄『日本語の常識アラカルト』による)・・・B
・上記の文献を基に作成した記憶力を測るテスト用紙2種類(各8問、計16問)
被験者は洗髪を行い、脳波の電極を頭皮に張り付けた。
1人目は、最初にBの文字を見せ、対応するテストを解かせた。次にAの音声を聴かせ、対応するテストを解かせた。
2人目は、最初にAの文字を見せ、対応するテストを解かせた。次にBの音声を聴かせ、対応するテストを解かせた。
3人目は、最初にBの文字を見せ、対応するテストを解かせた。次にAの音声を聴かせ、対応するテストを解かせた。
4人目は、最初にAの文字を見せ、対応するテストを解かせた。次にBの音声を聴かせ、対応するテストを解かせた。
5人目は、最初にBの音声を聴かせ、対応するテストを解かせた。次にAの文字を見せ、対応するテストを解かせた。
6人目は、最初にBの音声を聴かせ、対応するテストを解かせた。次にAの文字を見せ、対応するテストを解かせた。
その後、Pythonを用いて計測した脳波を分析した。
筆記テストの結果は、80点満点で視覚平均点62.9点、聴覚平均点が60点と大きな差は見られなかった。
θ波、β波、α波は以下のような結果となった。
θ帯域のグラフではPzに有意差があることが確認できる。θ帯域では瞑想状態、眠気などの時に特徴が出ると考えられている。t値算出時に眼電位を測定したものがありその値が考えられていたものの特徴として表れていなかったため眼球運動などの外的要因から正しいt値であると言い切れないため考察が不可だと考えた。
α帯域のグラフではt値が大きいことが確認できる。α帯域は落ち着いている状態の時や閉眼時などに特徴が出るため、この実験では特徴が確認できるのはやむを得ないと考えたため、実験の結果から落ち着いている状態で聞いていられるなどの主張は厳しいと考えられる。
β帯域のグラフではCz,F3,F4の値に有意差があることが確認できる。β帯域は集中時などに特徴が出ること出ると考えられている。Cz,F3,F4は前頭前野から頭頂にかけて配置された電極の位置である。視覚野付近に電極を配置するPzでは有意差があると考えていたが、結果から特徴が認められなかった。そのためPz付近ではどちらでも活動に差はないと考えた。 前頭前野ではワーキングメモリーや思考を行う際に使われると考えられており、1群目が聴覚から問題を取り込んだ時のものである。その際、ワーキングメモリーなどを使用されたために特徴が出たのではないかと考えられる。そのため聴覚から問題を取り込み記憶する際に集中を要すると考えた。