コモンズ研究会
鈴木龍也先生「コモンズと入会」
今春、龍谷大学をご退官された鈴木龍也先生に「コモンズと入会」というテーマでご講演いただきました。鈴木先生は、日本におけるコモンズ研究に法学的な側面から多大な影響を与えてこられ、特に、欧米から入ってきたcommons論と入会という日本の共的資源管理の関係を事例に基づいて整理されています。
講演ではまず、鈴木先生ご自身の入会研究のワークヒストリーを縦軸に、入会とコモンズの理論を横軸に据えて話が展開されました。研究を始めた当時は、戦争の一因とされた共同体的民主主義への反省もあって「入会は次第になくなっていくもの」という見方が支配的でしたが、コモンズ研究コミュニティからの資源管理制度としての肯定的評価に振れたことが、ご自身の研究の一つの転換点になったことが語られました。
また、日本の入会権の議論の中で、土地を分割して使う場合は入会利用と言えるのか、利用実態がないとき入会は成立するのか、入会権は私権なのか公権なのかといった議論が積み重ねられてきたことが整理されました。そうした論点の中に入会の本質とは何かという問いが含まれており、現在でもその意義は重要だと考えられます。
そして入会やコモンズに通底する「共」と「公益性」の共通点・相違点が未整理の論点として残っていることも強調されました。後半では、公・共・私の重層的な関係に触れながら「共は小さな公共性と呼べるのか」「共益が公益を僭称するリスクや、国家的な人権保障と地域の共益性をどう整理するか」といった問題提起が行われ、後に報告のあった豊田市の財産区問題など現実社会の紛争ともリンクする論点が示されました。
また、竹内の私見ではありますが、竹内の私見ではありますが、地域と紐づいた権利であるが故にしか発揮できない資源管理への考え、取り組みこそが入会権とコモンズ論に通底する公と異なる共の役割だと感じました。また入会研究者とコモンズ研究者の共通点として現場主義、フィールドワークの重要性といった共通する観点があるように感じました。。