2025年10月19日(日)に第6回 研究会を開催する予定です
当研究会では、主に若手研究者向けのスチューデント・セッション、および研究相談会を随時実施します。
萌芽的な段階のアイディアを持ち寄ったり,研究上のお悩みを持ち寄って励ましあったりする,なごやかでありつつ生産的な場にしていければと構想しております。
幅広い支援を目指し,研究相談会での話題提供には以下の区分を設けております。
お悩み相談(興味はあるけどどうすればいいか助言が欲しい)
データセッション(手持ちの事例について一緒に考えたい)
研究相談(研究上のお困りごとを聞いてほしい)
本格的な研究発表(学会発表や論文執筆の準備・練習をしたい)
皆さまのご応募・ご参加を心よりお待ちしております!
※当サイトの「お問い合わせ」内の「スチューデント・セッション」用のフォームから直接応募できます。
日時:2025年05月24日(日)13:00〜16:00
場所:オンライン(Zoom)
「スチューデント・セッション」と題して、博士論文の執筆を控えておられる2名の方にご発表をお願いいたしました。
「社会的な意味の共同構築の分析に向けて:ソーシャルメディアの影響から」西山遥
これまで言葉の意味変化については、通時的なレベルを対象に研究されてきた。しかし、言葉の意味は日常的に変化しうる。特にソーシャルメディアという環境では、個々のユーザーがパブリックな場に発信でき、更にその発信を他のユーザー大衆が観察・模倣・応用可能であるという特性から、個人の言語使用が社会集団における言語使用に影響を与え、言葉の急速な流行りや変化につながる。これまでCMCの分野では、省略語や絵文字など形式的な特徴を持つ要素やオンラインでの参与方法や機能などが注目されており、意味の研究は中心的ではなかった。そこで本研究では、ソーシャルメディアにおける言葉の意味の社会的共同構築に目を向け、話題になった投稿を契機として多数のユーザーがどう模倣・応用していくかという点から変化のメカニズムを明らかにすることを目的とする。瞬間的な意味変化の事例分析を通して、言葉の解釈の多様性や言語使用の創造性にも迫りたい。
「配信者オンラインファンコミュニティにおける不調和に見られるスキーマの考察」岸田月穂
本研究は、SNS上で形成される配信者オンラインファンコミュニティの1つ(以下、対象ファンコミュニティ) を「スピーチコミュニティ」(構成員が言語レパートリーや適切な言語使用に関する社会的規範を共有しているコミュニティ)と捉え、ファン活動に見られる「ディスコーダンス」の様相を明らかにするものである。ディスコーダンスとは、「言語コミュニケーションとそれに関わる社会文化的、記号的空間において、一致や調和がない状態」(武黒他,2018:7)である。対象ファンコミュニティにおけるディスコ―ダンスは、当事者間のいさかいから不特定多数を巻き込む炎上に至るまで、様々な規模に及んでいる。
本研究では、ディスコ―ダンス発生場面だけではなく、日常のファン活動の様子を観察し、対象ファンコミュニティに存在するスキーマ(特定の社会集団に暗黙の前提として共有された知識)を考察し、ディスコーダンス発生場面において指標されるコンテクストを特定することを目指す。
日時:2024年08月18日(日)13:00〜16:00
場所:オンライン(Webex)
「「肌感」の新用法の表現効果」 谷口悠
発表者は谷口 (2023) において、「肌感覚」について言及したが、類義表現「肌感」を扱えなかった。そこで本発表では、「肌感」を取り上げ、その新用法(自分が直接感じた経験)の表現効果を考察する。「肌感」は「肌感覚」に比べ、話し言葉的な表現であり、用例が抽出しにくい。そのため X(Twitter)、ブログの用例を主に用いた。分析の結果、「肌感」の新用法は、「自分の意見を強制せずに、自分の経験と言う根拠があることを暗示できる」機能を有すると見られる。
「半角カタカナの使用の意味」 渡邊玲
卒論のテーマが半角カタカナ表記に関するものですが、先行研究が存在しないため、方法がわからない状況です。調べたい用例としては、他者の発言やオノマトペ、形容詞の半角カタカナ表記があります。半角カタカナ表記にすることがどのような意味をもたらすのかを明らかにすることを目指しています。
「ソーシャルメディアにおける意味構築:新しい動的な意味観に向けて」 西山遥
博士論文では、social mediaにおいて多数のユーザー間でアドホックに、且つ相互行為的に構築される意味について論じる予定である。研究対象は、特定の投稿や特定の語句(SNSでの新流行語など)が多様な意味で解釈され再利用される事例を扱い、短期的な意味の変遷を辿るとともに、関連投稿がその変遷に与えうる影響についても探る。そのため、相談会ではsocial media(特にTwitter (X))で関連投稿を時系列的に追う手法・データ処理方法などを中心に広くご意見を伺えたら幸いです。
「冗談と対立の境界を跨ぐ中国語テキストチャットへの捉え方からみた男女差:チャットインタビューによる意識調査の結果をもとに」 方敏
これまでの遊びとしての対立に関する研究の関心点は対立表現がいかに冗談として用いられるかということで、遊戯性を示す合図の特徴づけが明らかになった。しかし、冗談と対立の境界を跨ぐ会話、とくにテキストチャットに関して見過ごされている。こういう会話には合図の少ないため、親和的意図がうまく伝わらず、本当の対立として受け止められ、対人関係を阻害する可能性が高い。そこで本研究は、チャットインタビューの結果を踏まえ、ジェンダーの観点から冗談と対立の境界を跨ぐテキストチャット会話への捉え方を検討し、中国語コミュニケーションの一端を明らかにする。