ベンチとベッドサイドをつなぎ、
最適な薬物療法を目指す
本研究室では、薬の使い方をより良くする「薬物療法の最適化」や、薬の効果や安全性に関する新しい情報を作り出すことを目指して研究しています。実際の患者さんのデータ、検査結果などをもとに、薬の血中濃度の変化や副作用の予測、使用時の注意点などを明らかにする研究を進めています。こうした取り組みを通じて、患者さん一人ひとりに合った薬の使い方を考えられる、実践力のある臨床薬剤師を育てています。
薬物濃度測定や分析を行う「Wet研究」と、患者さんのデータを解析する「Dry研究」を組み合わせながら、実際の医療現場の課題解決に取り組んでいます。附属病院を兼務する薬剤師教員のもと、研究成果を患者さんへ還元できる「臨床につながる研究」を実践しています。
同じ病気でも、薬の効き方や副作用の出方は患者さんによって異なります。年齢や体格、腎臓や肝臓の働き、併用している薬など、さまざまな要因が影響するためです。
私たちの研究室では、実際の医療現場で得られる患者さんの情報を活用し、「どの患者さんに、どの薬を、どのくらい使うと最も効果的で安全か」を明らかにする研究を行っています。
患者さん一人ひとりに合わせた薬物療法を実現することで、副作用を減らし、治療効果を高めることを目指しています。
救急外来や集中治療室(ICU)では、重症感染症、多臓器不全、外傷、敗血症など、生命の危険がある患者さんに対して迅速な治療が求められます。
このような患者さんでは、腎臓や肝臓の機能が大きく変化したり、人工呼吸器や血液浄化療法(CHDF、ECMOなど)が行われたりするため、薬の体内での動きが通常とは大きく異なります。
私たちの研究室では、重症患者さんにおける抗菌薬や抗真菌薬などの薬物動態を解析し、どのような投与方法が最も効果的で安全なのかを研究しています。
また、救急医療・集中治療・感染症診療に関わる多職種と連携しながら、患者さんの命を支える薬物療法の確立を目指しています。
薬は飲んだり注射したりしても、体の中での薬の量は患者さんごとに異なります。薬が少なすぎると十分な効果が得られず、多すぎると副作用が起こる可能性があります。
私たちは血液中の薬の濃度を測定し、その結果をもとに最適な投与量を決定する研究を行っています。
特に、感染症治療薬や抗がん薬など、適切な投与量の調整が重要な薬剤を対象として、患者さんにとって最も安全で効果的な治療を実現することを目指しています。
抗菌薬や抗真菌薬は感染症治療に欠かせない薬ですが、使い方を誤ると十分な効果が得られなかったり、薬が効かない耐性菌が増えたりすることがあります。
私たちの研究室では、重症感染症や免疫力が低下した患者さんを対象に、薬が体の中でどのように動くのかを調べ、より効果的な治療法を研究しています。
薬剤師の視点から感染症治療を支援し、患者さんの命を守ることに貢献しています。
抗がん薬はがん治療に大きな効果を発揮する一方で、さまざまな副作用を引き起こすことがあります。
私たちの研究室では、どのような患者さんに副作用が起こりやすいのか、どのようにすれば安全に治療を続けられるのかを調べています。
大学病院で得られる実際の治療データを活用し、患者さんが安心して治療を受けられる環境づくりに取り組んでいます。
病院には毎日、多くの診療情報や検査データが蓄積されています。これらの情報には、まだ解明されていない薬の効果や副作用に関する重要なヒントが含まれています。
私たちの研究室では、電子カルテや検査データなどを統計学的に解析し、「どのような患者さんに副作用が起こりやすいのか」「どのような治療がより良い結果につながるのか」を明らかにしています。
日常診療の中から新しい発見を生み出し、より良い医療へつなげることを目指しています。
薬物療法を最適化するためには、血液中の薬の量を正確に測定することが重要です。しかし、従来の測定方法は時間や専門的な技術が必要になることがあります。
私たちの研究室では、薬物濃度をより簡単に、より速く測定できる技術の開発に取り組んでいます。
分析機器を用いた測定法の改良や新しい測定システムの開発を通じて、将来的には医療現場で迅速に結果を得られる仕組みの実現を目指しています。