本編

以下の記事はネタバレモロ感なので先にほんへ視聴推奨です。

「匂い」とは?

超常現象の「匂い」の感じ方について、今回は奈々本人が詳しく説明しました。でもまだ「ちょっと足りなそう」な気がするので追加の説明を書きます。

1. 通常の匂いの認知

そもそも五感としての匂いはどのように認知されるのか。簡潔に言えば「においの元になる物質が鼻に届いたことを脳が認識する」と説明できます。匂いを発する物体から発せられるにおい分子は、空気に乗って移動します。におい分子は、無風状態では拡散し(勝手に薄く広がり)ますが、風で遠くまで運ばれたり、壁に阻まれて届かなくなったりします。そのような空気の作用を受けながら分子が鼻まで届くと、鼻腔の嗅上皮で嗅細胞に捉えられます。匂い(分子)の種類ごとに認識する嗅細胞が異なり、担当する嗅細胞が脳に信号を送ります。最終的に、それぞれの分子に応じた匂い(甘い・苦い・酸っぱいなど)として脳が認知します。つまり嗅ぐのは鼻ですが、匂いを認知するのは脳、と言えます。

急にこんなこと書いて「なんのこったよ」とせっかちなホモなら思うでしょうが、まま、そう焦んないで。

2. 超常現象の匂いの認知

奈々(SIK)は、食事をしていても鼻が詰まっていても壁があっても、超常現象の匂いを嗅ぐことができます。これは上記のようなにおい分子を嗅ぐことなく、超常現象の存在や性質を脳で認識しているからです。つまり超常現象の「匂い」とは、嗅がずに脳で直接捉える「匂いのようなもの」なのです。

「匂いのようなもの」を認識する仕組みは、奈々本人にもわかりません。能力の原因を科学的に証明できたら、それは超能力じゃなくて手品になっちゃうから、まぁ多少はね?

作中ではそこまで書けなかったのですが、泰也(野獣先輩)は奈々が嗅ぐ「匂い」について、薬学生並の知識を以って仕組みを推測しています。ここでは「出そうと思えば」出せるところまで仕組みを説明します。

超常現象そのものは匂いを発しているわけではありませんが、何らかの信号を出しています。これはにおい分子のような物質ではないので、空気に干渉されません。この信号は空気に乗るわけではないので、鼻が詰まっていても風が強くても直線的に届きます。これが脳に届いたとき、その性質や強さが、匂いの種類や強さとして認識されます。奈々が魚群レーダーのように正確に、超常現象の距離や方向を認識できるのはこのためのようです。

さらに奈々自身が多くの匂いを嗅ぎ、「この匂いはこういう性質である」と記憶しています。初めて嗅いだ匂いでも、おおよそその性質がわかる原理もこれです(私たち一般人が匂いで食べ物の味を想像するのと同じ)。

ちなみに「狐」では、奈々はわざわざ自ら危険な山に入り、匂いを嗅ぎたがりました。その動機も、この「記憶している匂いのレパートリーを増やしたいから」でした。「好奇心は課長を殺す」とも言いますが、危険を冒さないと匂いも嗅げないからね、しょうがないね。

神様の動物の姿

神様のかりそめの姿として、ムカデとヘビの写真を使いました。本筋には絡みませんが、せっかくなので紹介していきますよ〜いくいく…。

1. 百足の姿

百足の神様として使用したビジュアルは、日本最大級のムカデである「トビズムカデ」です。実際の大きさや生態は、アース製薬HPで親しみを込めて解説されています。動物好きなホモは読んで、どうぞ。

トビズムカデは通常、薄い黄色の脚を持ちます。ですが脚の色が赤く変異した個体もいて、愛好家の間では「レッドレッグ」とも呼ばれるそうです。動画編集中に百足の画像を検索しまくっていましたが、赤い体色が目を引き、ヴォースゲーと一目惚れして採用しました。


2. の姿

んまぁそう…自分でも使った写真の蛇の種類がよくわからなかったです(知識不足)。でも褐色の鱗、背中に走る黒いラインから、たぶんアオダイショウです。比較的身近なヘビで、投稿者もホモガキの頃に住宅街に囲まれた林で見つけたことが、ありますあります。

レッドレッグのトビズムカデが派手なビジュアルなので、対照的にヘビは身近で、やや地味な種にしました(何が地味だよ〜勝手に使ってるくせによ〜)。

舞台「軍原町」

ストーリーの舞台は、架空の町「軍原町」でした。大胆な地域名捏造はBB劇場の特権。

軍畑(いくさばた)をはじめ、実在の地名に戦(いくさ)を含むものは多々あります。軍畑の由来は、室町時代に起こった実在の戦らしいです。しかし地名の由来になっている戦が、そもそも架空の戦いである場合もあります。

伝説を基に名付けられた地名として、戦場ヶ原(せんじょうがはら)があります。これは男体山の大蛇と、群馬県の赤城山のムカデが戦ったことが由来だそうです(レファレンス共同データベース参照)。これに倣うと同時に、淫夢ファミリーである軍畑先輩の名前をもじって、軍原(いくさはら)という地名を捏造しました。

動画で何度か映った「軍原橋」も架空の名称で、東京都港区にある楽水橋の画像を加工したものです。並べてみるとお前のパースガバガバじゃねぇかよ(反省)。

百足の伝承

動画の中で説明してるし「これいる?」と思ったけど、僕が要るので書きます(鋼の意志)。

今回も「狐」と同じく、動物をモチーフにした超常現象をタイトルにしようと思いました。そこで動画編集を始める前に、伝説・伝承に困らなそうな神秘性の高い動物4種類を選び、Twitterで不人気アンケートを取りました。半数を超える圧倒的支持を得て、見事1位を獲得した百足が今回の主役になりました。

なんで?(殺意)かわいいじゃん、なぁ?

とは言え、この後ネタ探しのためにムカデ伝説を調べると山ほど出てきたので、結果的にムカデがモチーフになって助かりました。

ムカデにまつわる伝説といえば、平安時代の武将・藤原秀郷(俵藤太)による大百足退治が有名です(フマキラーHP参照)。また仏教では、毘沙門天の遣いとして位置付けられることもあるようです(大師教会金剛支部webサイト参照)。

それらの伝説も捨て難かったのですが、投稿者が特に興味を惹かれたのは沖縄の龍神伝説でした。知ったきっかけは、沖縄で発見された新種の百足・リュウジンオオムカデに関するニュースです(琉球大学webサイト参照)。このムカデの名がリュウジン(龍神)を冠するのは、琉球王国に「龍神は百足を恐れる」という伝説があるからだそうです(沖縄県立総合教育センターwebサイト参照)。

面白いことに、この龍神伝説と似た伝承が多くあります。龍神同様、水を司る存在として大蛇がいますが、その蛇が百足と争ったという伝承が、戦場ヶ原をはじめ日本各地にあります。このような事実をベースにして、「よくある伝説」として架空の軍原町の由来を捏造しました。

ちなみに戦場ヶ原伝説で百足の姿をとったとされる神様は、群馬県の赤城山を神体とします。ここの赤城神社の分社の一つが、神楽坂にあります。神楽坂の赤城神社には、山を取り囲む大百足を模したオブジェがあってかっこいいです(小並感)。このシリーズを見て百足に興味を持ったホモは参拝すると良いかもしれない。

画像編集

申し訳程度のメイキング要素。

掲示板のメイキング(全4枚)。書く文章に困った時は怪文書で埋め合わせるのが良いってそれ一番言われてるから。

鯉と百足が登場するシーンのメイキング(全2枚)。蛇もこれくらいの編集したかったけど、その頃にはぬわ疲で体力がもたなかったです。