会長挨拶

第37回日本クラミジア研究会学術集会開催にあたって

第37回日本クラミジア研究会学術集会を開催するにあたりまして、ご挨拶を申し上げます。

日本クラミジア研究会の学術集会は、昭和58年に第1回が開催され、本学術集会で37回目を迎えます。北九州市では第24回以来、13年ぶりの開催となります。

性器クラミジア感染症は性感染症のなかでは最も罹患率の高い疾患です。以前から無症候性のクラミジア感染者が多いことは問題になっておりましたが、その罹患率はいまだに高く、特に妊婦の感染は深刻な問題となっております。近年、梅毒の急激な報告数の増加が取りざたされていますが、性器クラミジア感染症の報告数はそれを大きく上回っています。これに対して、クラミジアの研究者の数は増えておらず、研究が「盛んに」研究されているとは言い難い状況です。しかし、クラミジア研究にも大きな波が押し寄せております。核酸増幅法の進歩により、短時間でクラミジアの診断が可能な検査機器や、試薬が開発されております。これらの検査法は、クラミジア感染症を含めた性感染症治療を大きく変えることになり、我々研究者は、これらの検査法をもとに、診断法や治療法を改めて見直す必要があると考えており、本研究会はこれらの問題点を深く掘り下げ、研究課題を発信していくことが出来る貴重な学術的な場といえると思います。また、新生児のクラミジア肺炎は、その数が減少しているとはいえ、いまだに小児科領域では重要な疾患です。さらに、C. psittaci 感染症などクラミジア感染症の一部は、まさにワンヘルスという我が国で取り組むべき感染症の一つであります。また、クラミジアの基礎的研究は着実に進んでおり、世界に発信できうる研究として重要です。本学術集会は、「クラミジア―我々は次に何をすべきか―」をテーマに、今後の研究の方向性を考えていきたいと思います。本会では基礎研究と臨床研究をバランスよく配し、会員以外の方にもより深くクラミジアについて知っていただけるよう努めてまいります。

残暑の残る9月の開催ではありますが、玄界灘に面した北九州の地で九州の穏やかな人柄に触れながら、クラミジアについて深く語り合えることができればと願いつつ、皆様の学術大会へのご参加をお待ちしております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

謹白

2019年 1月吉日

第37回日本クラミジア研究会学術集会

会長 濵砂 良一

国家公務員共済組合連合会 新小倉病院 泌尿器科 部長