「クダン」を描いた作品クダンは西日本を中心に伝承されている妖怪で、顔が人間で体は牛、牛から生まれて予言をする予言獣でもあります。漢字で書くと件となります。私がクダンを知ったのは2009年のことです。京都国際マンガミュージアムで開催されていた「妖怪天国ニッポン」という展覧会で見た件(クダン)の剥製を見て衝撃を受けました。しばらくその場から離れられないほど、気になって仕方なかったのですが、その頃はクダンを絵に描こうとは思いもしませんでした。その後、クダンのことをすっかり忘れていた私は、友人にすすめられて内田百間の小説集を読んでいたのですが、そこに『件』という短編小説が載っていました。「これはあの剥製の妖怪だな」と思いながら読んでみると、なんとも言えない面白さにこれまた衝撃を受け「これを絵で描いてみよう」と制作をはじめたのでした。クダンは獣でもなく人でもなく、けれども獣でもあり人でもある謎の存在です。予言をするのに不思議なほど神聖さはなく、俗っぽい。また、クダンは生まれてすぐに予言をし、そしてそのまま死んでしまうとされています。その存在感に反して儚いものでもあります。そんなクダンに魅入られて作品を制作していました。